夏
盆か正月のどちらかに、長野県に住む母と、同じく長野県に住む祖父母に会いに行っている。なんとなくこの正月と、前の盆は行かなかったので、1年半ぶりに行く予定を立てている。かれこれ17年続く文化だ。
今回行く理由も別段無いが、何となく母に連絡を取ったら、なぜか7月末を打診された。珍しい。私は本当に察しが悪いので、2ヶ月前に「祖母(86歳)が入院している」という話を聞いたのを本気で忘れていた。
便りが無いのは良い便り、ということで………と思おうと思ったが、やはり7月末が引っかかっていた。盆を避ける理由。盆より早い理由?
母は祖母と折り合いが良くなかった。ちなみに父方の叔母と父方の祖母も仲が悪いので、娘と母というものはあまりうまくいかないのだと考えている。その母を、母は喪おうとしている。
なお母は祖父が好きなのだった。ちなみに父方の叔母が文句を言いながら父方の祖母の面倒を見ている(といっても父方の祖母は健康な人で、98歳の今なお自宅で生活し介護の必要がほぼ無い)のは、父方の祖父が亡くなるとき、叔母に「母さんを頼むな」と言い残したという、その一点に尽き、他の理由は無いと言う。私は未だに父を可哀想な人だと思っており、母を許せない気持ちが残っている。父方の家系も母方の家系もなんだか似ているので、私は自分のアイデンティティにあまり疑問を感じない。
さて、母は今かなり参っているのだということに気がついた。最後までどうにも許せない祖母が、あろうことか祖父を残して逝くのだ。逆ならまだよかった。なぜ祖父を悲しませて終わるのだ。この人は一体どこまで。
恐らく今母は、祖母を許せなくて苦しんでいるだろう。許さないといけないと苦しんでいるだろう。祖父母は内孫である私を可愛がってくれたけれど、祖父母の住む町は田舎である。母は私が嫁に行かないことを当然あれこれ言われたことと思う。(まぁ誰のせいなんですか円グラフを作るなら7割くらいは母にすると思っているのであれこれ言われれば良いとも思う)だから、ここ5年くらいはあまり母は私を祖父母に会わせたがらなかった。それでも危篤となれば。
ここまですべて憶測である。しかし私は、母の課題である「母を許す」に組み込まれ、なんだか母を許さなければいけないような気持ちにさせられている。母は許せないし、私はその元凶を祖母に求めないこともない。
夏になってしまう。