ゲーム障害に関する政府の対応
参議院・地方創生消費者特別委員会で質問に立ちました(#^.^#)
いや、質問に立ったのは私ではなく、参議院議員 藤末健三(ふじすえ けんぞう)さんです(#^.^#)
藤末さんのお人柄は、次の画像で察せられよう。
若い人から、おじさん呼ばわりされている、親しみやすい国会議員です(#^.^#)
ですが、顔に似合わず(?笑)、施策の企画力や行動力は抜群です。その一端をこの記事で紹介させて頂きます。
藤末さんの、2020年12月2日の委員会における質疑応答が次のサイトにまとめられています。
私は、このサイトの中で「1.ゲーム障害に関する政府の対応」に関心がありました。
ただ、残念なことに、このサイトの情報だけでは、問題点とかツッコミどころがわからないです。このままでは、せっかくの藤末さんの努力が明確にならないです。
そこで、問題点を明確にしてみました。
論点1:消費生活相談員向けの対応マニュアル
国の組織である消費者庁が「オンラインゲームに関する消費生活相談員向けマニュアル作成に係るアドバイザー会議」を開催しました。(名前が長い)
趣旨は次のとおりです。(趣旨も長い)
オンラインゲームに関する消費生活相談の件数は、増加傾向にある。相談内容としては特に未成年者からの課金に関する相談が多く、2009 年度は契約当事者が 20 歳未満は 4 分の 1 程度だったが、2019 年度では半数以上が 20 歳未満からのものであり、小学生 40%、中学生 40%、高校生 15%と低年齢化が進んでいる。それらの背景には、ゲーム依存が疑われるものが存在するのではないかと考えられる。
これを受け、消費者庁では、ゲーム依存に関する相談が本人や家族から寄せられた際に医療機関や自治体などの適正な窓口につなぐなどのためのオンラインゲームに関する消費生活相談員向けのマニュアルを作成して相談員に配布することとし、マニュアルを作成するに当たり第三者的な観点からマニュアル内容の適正化を図るために、有識者に助言を仰ぐ会議を開催する。
https://www.caa.go.jp/policies/future/meeting_materials/assets/future_caa_cms201_201111_03.pdf
要するに、ゲーム依存を念頭に置いた、相談員向けのマニュアルを作るので、その助言を有識者から聞く、という会議です。
この会議の構成員に注目です。構成員に樋口 進(ひぐち すすむ)さんが含まれています。
樋口 進(ひぐち すすむ) 独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 院長
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の成立において、大きな役割を果たした御仁です。
私は、この条例を勉強していくなかで、藤末さんと出会いました。「藤末フォーラム」という会合でです。
下の写真は、2020年8月の藤末フォーラムで頂いたミネラルウォーターです。記念にまだ持ってます(2020年12月現在)。俗に言う、ワイロっていうもんですな(笑)。
樋口さんに関するエピソードは次のとおりです。
(久里浜医療センター/樋口進 院長) 「親が時間を守らせる。子どもはゲームをしたい。未成年者の行動規範を条例で示していただくと、ここにちゃんと書いてあるということを根拠にいろんな指導ができるんじゃないか」
医療従事者であるにも関わらず、社会制度である条例の制定にまで踏み込んだ発言をする御仁です。
この御仁に対する、他の専門家の評価は次のとおりです。
この国立久里浜医療センターの樋口センター長、精神医療の中でも殊に各種依存問題に関しては国内でも随一の知名度を持つ医師であり同時に研究者であるワケですが、私が関係各所に話を聞いて廻ったところによると、マスコミに向かってこの様なセンセーショナルな発表を流して耳目を集めては関係学会の中で批判を浴びるという事を繰り返しており、今回のギャンブル依存問題の前にはアルコール健康被害問題が社会的に大きな注目を集めだした時にも類似の行動を起こして学会から大きな批判を浴びたことがあるとのことでした。
樋口さんに関して、良からぬウワサがあるようですね。
以上の経緯を知っておかないと、藤末さんの質問の趣旨は分からないでしょう。藤末さんのブログによると、次のとおりです。
ゲーム規制の方向で進むことのないよう、ゲーム依存の専門家である周愛荒川メンタルクリニックの八木先生のようなゲーム依存の実態をよくご存知の方や、ゲーム業界から意見を聴取するなど、幅広い意見を聞くべきであり、ゲーム業界を所管する経済産業省をオブザーバーとして入れるべきと質問しました。
以上のことから、私が思うに、「樋口進さんを排除せよ」という過激な言葉を使わないよう配慮しつつ、要するに、そ~ゆ~よ~な趣旨で質問をした、ということでしょう(笑)。
論点2:ゲーム依存症に関する実態把握
これも、国立病院機構久里浜医療センターに関わる話題です。
厚生労働省では、「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」を所管しています。
会議の趣旨は次のとおりです。
近年、ゲームに過度にのめりこむことにより、日常生活や社会生活に著しい悪影響を及ぼすゲーム依存症が問題となっている。このような中、令和元年5月には、WHO(世界保健機関)においても、ゲーム障害が、精神疾患の一つとして位置づけられたところである。
このため、関係省庁及び関係機関等で構成される「ゲーム依存症関係者連絡会議」(以下「連絡会議」という。)」を開催し、ゲーム依存症の認識を高めるとともに、課題や対策等を共有し、ゲーム依存症対策の推進を図ることとする。
ゲーム依存症対策ということです。病気という観点からの会議ですね。
この会議のメンバーには、あの御仁も含まれています。
依存症対策全国センター センター長(国立病院機構久里浜医療センター院長) 樋口 進
この会議は、2020年2月6日に第1回が開催されました。
第1回会議の資料3「ゲーム依存症に係る関係府省庁の取組」>「4.調査研究 (課題)効果的な対策の実施に向けたさらなる知見の蓄積」(7ページ)に項目が載っています。
●10~20代を対象にした調査は、昨年11月に、次のPDFファイルのとおり結果を公表しています。
https://www.ncasa-japan.jp/pdf/document15.pdf
●全年齢層を対象にした調査は、昨年実施しましたが、現在、集計中(2020年12月4日現在)で、まだ公表をしていません。
上記両方の調査は、国立病院機構久里浜医療センターにおいて実施しました。
藤末さんが、ブログで「厚労省が現在実施しているゲーム障害についての実態調査」とは、後者の全年齢層を対象にした調査を指します。
藤末さんのブログでは、この全年齢層調査について「進捗状況とこの調査が科学的根拠になるものではないということについて確認しました。」とあります。
また、「この調査がそのまま政府の政策の科学的根拠となるものではないということは確認できたのではないかと考えています。」とあります。
しかしながら、私の感想ですが、調査が取りまとまっておらず、調査結果を見ていない今の時点で「科学的根拠にならない」ときっぱりは言えないのではないかなぁ、と思います。
事務局側で、あらかじめ、「科学的根拠にならない」と決め打ちをしてしまうことは、事務局の客観性・第三者性が損なわれる、と思います。
会議の場で、専門家として参画している当事者(樋口さん)を前にして、「科学的根拠にならない」と言いにくいと思います。また、そういう方向で議論を取りまとめると、それはそれで、もめると思います。
科学者という立場で参画しているので、日本学術会議論争の観点からも、内容はどうあれ、調査結果や科学者の論評は、それはそれで尊重される方向に進むべきだろうと思います。
そうしないと、樋口さんの立場から見れば「政治が科学的見解をゆがめた」ということになるでしょう。
科学者に対しては、他の科学者(ゲーム障害調査研究会など)で対抗する方向が望ましい、と思います。
論点3:ゲーム障害調査研究会
ゲーム障害調査研究会は民間の機関です。
ただし、この文字列で、ネットで検索しても、ヒットしません(2020年12月4日時点)。
参議院の議事録に残る貴重な文字列であるため、事前に、関係者と調整をして、興味関心のある人がネットで学習できるようにしておけばよかったと思います。
これに関する、藤末さんのブログによると、政府機関がこの研究会と「調査検討への協力を促していく」との回答を得た、とのことでした。
これは、とても望ましいことです。
樋口さんの研究結果や知見を凌駕していただきたいです。期待してます。
そして、それを厚生労働省のゲーム依存症対策関係者連絡会議などの結論へと導いていただきたいです。
また、この研究会の成果を公開し、一般市民と共有できれば幸いです。
以上
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