発達障害の人への、手帳のススメ
何故手帳を書くのをおススメするのか
1.体調不良についての記録
私はASDで障害者手帳を持っています。
就労移行支援事業所に入り、いろんな発達障害者の方と会ったり、また、Twitterで発達障害者の方たちのつぶやきをみかけたりしてきました。私もそうですが、皆さん体調不良に悩まされている方が非常に多いです。
そこで、手帳に記録をつけることをお勧めします。最初は一言くらいでいいです。「頭痛がする」とか「そわそわする」とか。記録が溜まってきたら見返すと、自分が体調不良になる条件がわかるようになります。
また、主治医にも相談がしやすくなります。「先生、頭が痛いんです」よりも「先生、何々をしたときやこの一定の気圧の時とかに頭が痛くなります」のほうが、主治医にもわかりやすいと思います。自己対処もしやすくなります。「ああそろそろ頭が痛くなる気圧だな、薬を飲んでおこう」とか。
また、睡眠時間や食べたものを記録しておいてもいいと思います。「最近調子が悪いのは6時間くらいしか寝てないからだな、早く寝よう」と言った判断が出来るようになります。
2.忘れることを恐怖しないために
人間は忘れやすいようにできています。国民健康保険料の支払い日とか、クレジットカードの引き落とし日とか、歯医者の予約日とか、そういう大事そうに見えないけど大事なイベントも忘れます。何もかも忘れます。ましてや我々発達障害持ちの人間は、他に気がかりなことが無数にあるので大変忘れやすくなっています。
でも大丈夫。他の記録媒体に記憶してもらっておけばよいのです。手帳にペンで記録しておけば、書いたことが記憶にぼんやりと残りますし、「あれいつだっけ」となってもすぐに手帳を開けばわかります。
それでも忘れてしまう人は、アプリと併用しましょう。例えば病院で予約をした後すぐにアプリを開き、記録してください。記録したらリマインダーをつけるのをお忘れなく。一息ついたら、手帳にペンで記録してください。そうすると「この前病院行ったのはいつだっけ?」となった時に、さっと手帳を開いて確認できます。
手帳とアプリ、両方に記録しておけば安心して忘れることができます。
3.感情、記憶、心の整理
心や脳がごちゃごちゃになって、片づけられなくなって絶望した経験はありませんか?人間は生きている限り、そういったことから逃れられないものです。仕事での人間関係、家族や友人関係、この前起きた出来事、もうすぐ起きる引っ越しや転職のライフイベント…etc.
一人で対処するのは大変です。家族や信頼できる人の力を借りるのはもちろんですが、紙とペンの力も借りてみてください。紙に気になることを箇条書きにし、どうやったら対処できそうかを横に書き添えましょう。どうにもならないもの___例えば、迫りくる世界恐慌など___はとりあえず放っておいて、自分で対処できそうなことに一つずつ対処できることを書いていくと、とりあえず落ち着きます。また、信頼できる人の力を借りる時にもその紙が助けになります。自分がどうしてほしいのかを考えられる資料になるからです。手帳に書いておけば、後で見返すのも便利です。
どう書けばいいのかわからないよって人へ
そんなに難しく考える必要はないです。あなた自身の言葉で、自分が今何を考えているのか、どのような予定があるか、どのようなことをしたいのかを書いていってください。また、睡眠時間や体重、食事などをただ書き込むだけでもいいです。それでもわからないよ、という人は本屋に行きましょう。手帳の書き方がわからない人向けに、書籍がたくさん売っています。または、YouTubeで動画を見ることも出来ます。
もしほぼ日手帳やジブン手帳を買ったら、毎年出ているガイドブックを買うのがおススメです。いろいろな人の手帳の中身を見ることができます。
どんな手帳がおススメなのか?
ここではマンスリー、ウィークリー、デイリーの三つに分けて紹介していきたいと思います。
1.マンスリー
おススメ度…☆
毎月の予定を見開きページで確認することができる手帳のことです。薄くて軽く、持ち運びしやすいです。百均ショップから文房具専門店まで様々な店での取り扱いがあり、入手もしやすいです。
手帳初心者向けですが、たくさん記録することができないので、私はあまりお勧めしません。予定を書くだけならこれで十分だと思いますが、体調不良についての記録などをしたい場合、スペースがとうてい足りません。
2.ウィークリー
おススメ度…☆☆☆
週単位で予定を書き込むことのできる手帳のことです。レフトとバーチカル(垂直)二種類に分けることができます。
レフトは手帳を開いて左側のページが曜日単位でわけられており、予定を書き込むことができます。ほぼ日手帳のウィークリーがこのタイプです。
バーチカルはページに垂直に曜日で区切られており、スケジュールを時間単位で書くことができます。ジブン手帳やcitta手帳がこのタイプです。
体調不良について記載したいと思ったらバーチカルをお勧めします。時間ごとにかけるので、それがいつ発生したか、どう対処したかを書き込むことができます。欠点は書くのにハマると物足りなくなることです。
3.デイリー
おススメ度…☆☆
1日1ページ書くことが出来る手帳のことです。ほぼ日手帳のオリジナルとカズンはこのタイプです。また、EDiTにもこのタイプがあります。書くスペースが大きいため、何でも自由に書くことができます。ですが、自由すぎると大抵の人間は途方に暮れることが多いです。何を書きたいか、どこにどう書くかルールを決めてから書いた方がいいかもしれません。上級者向けですが、使いこなせるようになればあなたの人生の無二の相棒となってくれます。
手帳は無理だよ!とお嘆きのあなたに
大丈夫です、そんなあなたのためにおススメアプリご用意しました。
1.TimeTree
家族やパートナーとスケジュール管理が出来る大変便利なカレンダーアプリです。予定を入れておけばリマインドしてくれますし、もし家族に伝え忘れておいてもここにさえ入れておけば見てもらうこともできます。予定の色分けなどもできるので、貴方と家族の予定がごっちゃになることもないです。
2.muute
日々日常に起きたことを書き留めておけるジャーナリングアプリです。人ではなくAIが自分の日常に起きたことを分析してフィードバックを送ってくれます。SNSに書けないことも書いて感情を整理できます。質問に答えることで自己分析をすることもできます。
3.頭痛ーる
気圧と共に体調を記録することができるアプリです。記録を続けると自分がどのくらいの気圧で頭痛が起きやすいのか教えてくれます。頭痛のほかにメモ欄に他の体調不良も記録しておくと便利です。
記録をつけることが大事
「周りから見るとわからないけど、助けてほしい時」に「助けて」だけでは相手もどうやって助けてほしいのかわかりません。助けてもらうために状況を整理し、自分が今何が必要なのかまとめましょう。そのために記録は役に立ちます。今回手帳をおススメしたのは、デジタルでは記憶には残りにくいですが、アナログならば記憶に残りやすく、まとめやすく、自分の思うようなレイアウトで書けるからです。ペンは使う手帳にもよりますが、多色のボールペンがおススメです。
この一年、手帳での記録にずいぶん助けられました。病院の診察の時に主治医に症状を説明するのに役立ちましたし、心のモヤモヤを整理するのにも役立ちました。また、予定の整理をすることで生活リズムを整えることも出来ました。
ここで紹介した三種類の手帳の他にも様々な手帳があるので、皆さん文房具屋さんでいろいろな手帳を見て、ご自身の使いやすそうな手帳を探してみてください。
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