kurayamisakaのfarewellを聴いたら切なさが限界突破してしまいました
春が始まり、新しいことがけたたましく身の回りで変化し、それに伴って見事、自分の精神的健康が乱されてます。
おかげで音楽がどこまででも響く響く。
ある文豪が、自分を追い込まないと良い作品が書けないように、自分はメンタルがきてる時に、音楽に対して共鳴する人間なんだなぁと、ちょっとカッケェじゃんオレ!なんて思ったりして、日々をやり過ごしております。
そんなまさしくうだつの上がらない日々を過ごしている時に出会ったのが「kurayamisaka」というバンド。
こんなん早くしないとライブハウス埋まりまくって見れなくなっちゃうんじゃないか???
ここ最近TwitterのHoliday Recordsさん経由で、マスロックやミッドウェストエモにハマっていたのですが、Apple musicの自動再生で聞き流していたところkurayamisakaに出会うことができました。
女性Vo.特有のシューゲイザーが好きな人なら絶対にハマると思います。羊文学、My Bloody Valentine、初期のきのこ帝国、LUSHを聴く人。ようこそ。
まじで最近優秀だよApple music…。調子いいぞ…!
Youtubeのレコメンドは最近では完全に死んだし、TikTokでバンドは流行らないし、情報が増えていくとの反比例して、音楽をディグる方法がどんどん難しくなっていく中、こうやって偶発的な音楽との出会いを生み出してくれるのは本当に貴重なんです。
最近のクソッタレレコメンドアルゴリズムにそっと中指を立てたくなる。2010年代前半のYoutubeのレコメンドが僕の青春でした。最高だったなー。
とりあえずこちら見て下さい!!おなしゃす!!
圧倒的に平成を感じないですか?なんだこの込み上げる懐かしさは?
似ている音楽で例えるのは本当に邪道だとわかっていても、平成初頭のMy little lover感を思い出さずにはいられなくなって、胸が何回も何回も締め付けられる。
何よりこのフィルムカメラとも、昔のデジカメとも言える画質に、1:1の画角。
そう1:1の画角…!! これなんですよ。このMVを見ていて、異様に感傷的になってしまうのは..!
触れられそうで触れられない、遠い昔にあるけど記憶にこびりついた記憶。それを外から垣間見ているかのような感覚を呼び起こしてくれる。
そこに突き刺さるシューゲイザーサウンドがなんとも心地よく、浮遊感と共に、僕たちをどこまででも遠く運んでくれる。
なにより思ったのが、曲展開に抜きどころが一切なくて、全てにおいて感情をかき乱されるところだ。
めっちゃいい。イントロが長めなのも相まって、その分どんどんと引き込まれる。Aメロ、何か始まりそうな予感。もう逃げられねぇな!
めっちゃいいじゃんなんこれ??このサビの感じ、儚い声とバンドサウンドがマッチしてもうなにも言うことないですよ。本当にありがとうございました。2番のサビ待ってます。はやくはやく。
え?え??さっきのサビじゃないんですか??あれだけ完成度マックスの曲展開とメロディ作っておいて、こっからさらに裏切るんですか??
ここのサビ、もう完全に持ってかれました。
少し落ちたところから、ドラムがまた全体を作り替えて、ポップなんだけど、、、ポップでもあるからこそ、Bメロの儚さを凌駕して、悲しさの中にある気丈さ、みたいなものを感じずにはいられなくなってしまう。
車で移動中流し聴きしてた時に、ぼんやり「あー、シューゲイザーっぽくていい曲だなー」くらいしか思っていなかったのに、サビかと思っていたBメロが終わった途端、畳み込んでくるサビに思わず「!?!?!」となってリピートしたのを覚えている。
曲の展開やメロディもさることながら歌詞ですよ!歌詞!!
夏は影の中。影の中なんです。暑いからなんですかね?知らんけど。
はたまた涼しくなる夜を影と捉えているのか、それとも暑すぎる中、日陰に佇んでいるのか。
長い髪が揺れているのを見ているのは男性。現時点で登場人物は2人で、この曲は男性目線なのかな。
君は陽炎のように、つかみどころもなくて、届きそうで届かない。そんな存在なんだろうか。間違いなく都会の夏、というよりも少し田舎の夏をイメージしてしまうのは僕だけですか?
え??死んでる??
突然の死に混乱して頭が追いつかない。
長い髪の陽炎みたいな女性は旅立ってしまった。
どうにもならない感情を僕は無理やり、胸にしまった。のかなって想像を巡らせる。
だからAメロの歌詞は「僕も、夏も」いつまでも影の中なんですか。
失ったあなたのことばかり考えてしまうから。差し続ける陰からずっと抜け出せないような。
もうサビの時点で、季節とか特定の時間軸で話は進んでいなくて、「僕」が過ごしてきた時間を振り返るような歌詞になっている。
失った人が徐々に自分から離れていく感覚。まるでそれは掴もうとしても一生掴めない、近づけば近づくほどに消えてしまうような、そんな陽炎と重なる部分があるんじゃないかって。
ここから2番。
あ、死んでない。よかった…!!無事を祈ってて良かった…!
2番で歌われているのは、君がいなくなった夏。もしこのまま一緒にいたら、なんてありもしない空想に思いを馳せる。
静かに揺れた火、無事を祈る僕。
具体は一切述べられていないけれど、僕はこういう余白だらけの世界観と歌詞が本当に好きです。シューゲイザーのような異世界に連れていってくれる音楽性とは相性が良くて、なによりfarewellという曲のサウンドにマッチしすぎて頭にこびりついてる。
farewellという曲名からもわかる通り、「別れ、惜別」が込められていて、聴いている人それぞれが持っている、farewellの記憶に入り込んで、そして寄り添ってくれるような楽曲感じました。
僕は勝手に昔フラれた子の記憶をトレースして勝手に悶えてます。嘘です。
このfarewellが収録されたEP「kimi wo omotte iru」
ローマ字で書く日本語タイトル、そして学生二人をTikTokのAIエフェクトで加工したようなジャケットに親近感と、自分からは遠い青さを感じさせるものになっている。
自分が通ってきた道なのに、どうもこんなに遠くに感じてしまうのか。学生時代って不思議だよな。別に戻りたいとも思わないくせに、なぜか切なくなってしまう。同じ景色、匂い、感覚をもう一回味わうことはできないって知ってるからだろうなって勝手に思っている。omotte iru!!!
実はこのアルバムのジャケットにはちゃんとストーリーがあって…
だそうです。
なんそれ??音楽だけじゃなくてジャケットにもそんな裏話で俺らのこと泣かせてくるん???
色々調べてみると、どうやらメンバーは「せだい」や「yubiori」のメンバーでもあるらしい。
だからシャッフル再生でこの辺りのバンドも流れてきたのか、すごい納得。
というか、このあたりのバンド豊作すぎませんか??黄金世代?
もうアラサーになってしまい、昔の曲にしか脳汁反応しないようなカスい人間になってしまったと、悲しい自分を無理やり受け入れていたけれど、最近のバンド、バッチバチにかっこいいじゃないですか!
自分がネットに遅れてキャッチできてかなっただけじゃんか!バーカ!バーカ!俺ってまだ最近の曲で心燃やせるんだぜ!
yubioriの「ギター」って曲とかまじとんでもなく良いよな。
さらに、kurayamisakaのメンバーかつ、せだいのうんにょんさんこと清水さん(作詞作曲、メインコンポーザー)の全曲解説noteを発見!アツすぎる!
Big Up Zineさんの記事から辿り着けました。
こんな贅沢な答え合わせができるのも、こういうフェーズのバンドならではだと思う。聴き手側との距離の近さ、みたいなのを感じられると、自分だけの宝物みたいな存在になれるからすっごい素敵よね。
こう考えると、正解を提示し続けてくれるマキシマムザ亮君ってすげぇな…。「俺の正解はこうだから!てめぇら全員勘違いするな!!ちんこ!!」って思いっきりぶん投げてくれるのがすごい好きです。
まず今回のアルバムのコンセプト。それを清水さんは「あらすじ」として下記のように述べている。
良かった…。死んでなかった...! ってかそもそも女の子二人のストーリーじゃねぇか!
物語の登場人物の性別を勝手に変えて、勝手に殺めてしまうところでした。危ない危ない。
この背景がわかった瞬間、「farewell」という曲がどのような意味を持つのかが、一気に明確になる。
((遠い昔に振られた子のことなんて思い出しているんじゃないよ全く!!))
進学を機に別々の道を歩むことになる2人の関係が、1つのストーリーとして、「kimi wo omotte iru」というアルバムを通して進んでいくことになる。
もうさ、僕達みたいな色んなところに思いを馳せちゃって、感情がぐわんぐわんしちゃう人間は、このあらすじだけで想像がどんどん膨らんじゃう。雑魚人間として現実世界に打ちのめされているんだから、こういうところに拠り所を求めていいじゃんね。
地方の街並み、夕暮れ、切なさを帯びた校舎、待ち合わせの駅、そんな当たり前だったけどもう二度と戻れない情景たちが、容易に浮かんでくる。
そこで初めて思い知らされる「kimi wo omotte iru」というタイトルの意味。
先も述べたように「farewell」という言葉の意味。別れ、惜別。
きっとこのアルバムとこの曲たちは、僕らリスナーそれぞれにある大切な存在への「farewell」、つまり「はなむけ」として心の中で途切れることなく鳴り響いて、寄り添ってくれる存在なのかもしれない。
改めて歌詞を見返すと、それぞれの言葉の意味が全く別のものとして見えてくる。
清水さんがこうして丁寧に背景を共有してくれたからこそ、音楽の楽しみ方が何倍にも広がってくれる。
「kimi wo omotte iru」に収録されている他の楽曲は、サウンドも歌詞も鳥肌レベルで良すぎるので、清水さんの解説を見ずに一回、解説を見てもう一回聴いてみて欲しいです。
曲の余白に入り込み、自分の思い出をそそいで、あったかもしれない未来や、成し得なかった過去に空想を巡らせるのも、こういう曲の素敵な楽しみ方だと思うんです。
2022年の10月にこのEPをリリースしたばかりの彼ら。せだいやyubiori、The dim islandなど、kurayamisakaメンバーの別プロジェクトも含め、シーンを牽引していく存在になるのは間違いないと思います。
ちなみにライブ行こうと思ったら、すでに取り置きのチケットSOLD OUTしてて早速観に行けなくなってました(てへ)
みんな急げ!!