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2024年 思い出の曲たち
2024年も激動の一年だった。21歳の時に過去の自分を背負っていく決断をしてから、毎年よくもまあ落ち着かない365日を過ごしている。
そんな人生のせいかおかげか、振り返るたびに思い出す曲と景色があって、きっと僕は素敵な人生を歩めているんだと思う。過去のnoteを見返したら、そんなことを去年の思い出の曲まとめにも書いてあって、なんか少し安心した。
こんなことを言われたことがある。
「あなたは思い出に色んな曲をこすり付けている。それで冷凍保存しているんだろうね」
その言葉を何回も思い出す。貰った言葉は体温を保ったまま、しっかりと心に仕舞ってある。
インドネシアの素敵なEMOバンドたち
もうここに全て書いしまっているので、正直振り返る必要もないんじゃないか。そう思うほどにこの1年間はインドネシアのマスロック、インディーロック、EMOを聴きまくっていました。
ライブに来て!とDMしたらeleventwelfthが本当に来日して写真撮ってくれたり、MILLEDENIALSもいつか必ず!と返信をくれたりと、無限に生活を彩ってくれた。あなたたちのおかげで夏がどんなに楽しかったことか。
eleventwelfthのYour Head as my Favorite Bookstoreを聴けば、サーフィンの帰りの突き抜ける青空の元、首都高を駆け抜けたことを思い出すし、MILLEDENIALSのPrecious Meは今年のワクワク全てに紐づいていた。思い出す空がたくさんある。
今年はぜひインドネシア現地で拝みたいです。
Avicii
結局!!!!僕らはもう一生Aviciiを青春として心に刻んで生きていくんです。きっともうDNAレベルで刻まれたんだと思います。老害ど真ん中の発言をすると、世界が明るかった最後の時代に生まれた音楽。
夭折のアーティストでもある彼を思い出すたびに、極東の島国の音楽にも耳を傾けていてくれたことに、感動を覚えざるを得ません。
Freakのクレジットを見ると
Tim Bergling, Kristoffer Fogelmark, Albin Nedler, Hachidai Nakamura, Rokusuke Ei, Justin Vernon, Sam Smith, James Napier, Jeff Lynne, Tom Petty & William Phillips
坂本九の上を向いて歩こうの作曲者である、作詞:永六輔、作曲:中村八大の名前がしっかりと刻まれているのである。1963年のアメリカにて、あらゆるチャートで1位を獲得した坂本九の「上を向いて歩こう」(英語名:Sukiyaki)は、ビルボードの歴史史上においてBTSが2020年に首位を取るまで、唯一アジア人による首位を獲得した楽曲。
ケネディの暗殺、日本初の横断歩道橋設置、 サントリーが「サントリービール」を発売したこの年に、純粋な日本語の歌が世界中の心を掴んで離さなかった。
その「上を向いて歩こう」をサンプリングし、逆輸入として現代の人々の耳に届けてくれたAviciiの功績を忘れられずにいる。
彼の死後制作され、Freakが収録されているアルバム「TIM」。Apple Musicのライナーノーツ、いわゆる紹介文には、これでもかと愛に溢れた文章が書かれている。ぜひ読んで欲しいです。
January
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2024年に聞いたインストバンドの中で頂点だと思います。
2018年の1月に結成された、タイ・リスン出身のギター2人とドラムスの変則的な3人組マス・ポストロックバンド“January。ギター担当のJannがChonやUchu Cobiniに感銘を受けて、今までとは異なる音楽と追及するためにポストロックをベースにした新しいプロジェクトとして、“January”の活動を開始。
美メロマスロックの極みのようなフレーズが至る所に散りばめられており、「あ、楽器って歌えるんだ」と脳天をぶん殴ってくれます。
なにより緩急をつけた曲展開、キャッチーなメロディ、日本人に刺さりまくると思います。前述しているとおり、宇宙コンビニにも影響を受けているのが頷ける。だいじろー偉大すぎてため息が出ますね。
変則的な働き方をしていた2024年。執筆の案件があるときはJanuaryのOverflowを流して、喫茶店でクソデカアイスティーでカフェインを注入し、脳に溢れるアイディアや文章をOverFlowさせていました。
ちなみに日本語で歌ってくれている曲もあるんです!インストバンドなのに!ああラブ!
東南アジアのバンドはどうしてこんなにも日本の文化に対して好意を寄せてくれてくれるんでしょうか。もう愛が溢れてしまいます。インドネシアのEastcapeやDochi Sadegaとかも、PVに日本を使ってくれたり、曲名に日本の都市を使ってくれたりと、本当に大好きやで。
Charli XCX
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今地球上で生きている生命体で一番セクシーだと思うんですが?????異論??2012年のリアーナと比較されたら少し考えます。
MTVを契約してやっとこさ自宅で海外のチャートを追えるようになったおかげで、アルバム「brat」をリアルタイムで追うことができました。
やっぱりイギリスのクラブシーンの人なんだと再認識させる曲ばかり。リードトラックの360は彼女自身が持つポップさと、ロンドン叩き上げのバックグラウンドを感じさせる、重厚感と小気味良さを兼ね備えたトラックが病みつきになる一曲。
PVのメンツが豪華すぎやしないですか….??
(((2:08-見えてません….!?!?!)))
僕はいにしえの人間なので、彼女を聴くたびにIcona PopのAll Nightも聴いていました。この感覚がわかる人は同じ時を生きていると思います。
こっちも最高すぎて笑ってしまうな?AviciiのWake Me Upも、この名盤「This is… Icona Pop」も共にリリースが2013年。先ほど述べたように、「まだ世界が明るかった時代の曲」だと言った意味が伝わるのではないだろうか。眩しいんだって。メロディもトラックも歌詞も。
2013年時点でIcona PopのI Love Itに参加してたCharliは凄すぎるし、今でもトップを走り続けていることにただただ感銘。
ちなみに彼女の旦那さんはThe 1975のGeorge Daniel。なんというビッグカップル。カッコ良すぎて頭おかしくなりそうです。
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のはらしんのすけ&アクション仮面 とべとべおねいさん
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なぜかこの曲を聴きまくっていた1年でしたね。なんでだろう。この楽曲が使用された映画は『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』『爆発!温泉わくわく大決戦』『嵐を呼ぶジャングル』の3つです。僕は嵐を呼ぶジャングルのセリフを全部覚えているくらい見まくっているので、ここがフラッシュバックしたんだと思います。
嵐を呼ぶジャングルで、爆発頭こと「パラダイスキング」をアクション仮面と共に空中戦で倒すシーンで、「とべとべおねいさん」のアレンジバージョンが流れるんだけど、それがまたすこぶるカッコ良いんです。
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今聴くとこの曲は本当に凄いんだなと、ため息が出てしまう。
まずタイトル。おねえさんではなく「おねいさん」なのだ。強いこだわりを感じる。しんのすけは大原ななこを「ななこおねいさん」と呼ぶ。決してお姉さんとは言わないのだ。
何より凄いのが「しんのすけの歌い方」。明らかに音程を外しているのに全くもって不快感が湧かない。しかもキャラの動きが安易に想像できる。声優さんってプロなんだな。楽曲制作の段階でこの音程でしんのすけに歌わせることを想定して作っていたのであれば、どういう脳みそしているのか神経を疑いたくなる。
また最後のサビである
「とべとべ もうちょっと 目がさめるまで」
をリフレインさせることで、1番最後の歌詞にある
「とべとべ ゆめの どんどんづまりまで」
という歌詞に呼応するかのように、しんのすけの声から進んでいく力強さを感じられる。僕はこの曲にたくさん勇気づけられてきた1年間でした。
ちなみに作詞作曲は頭文字Dの楽曲で知られるm.o.v.eのmotsu氏。ちょっと待って振り幅凄すぎないか!?!? 他にもV6や倖田來未、AAAの楽曲の作詞作曲に携わっていた。彼は天才かもしれない。
Cetow
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eleventwelfthのライブに行ったら彼らがいました。京都発、インストマスロックバンド。先ほど紹介したJanuary同様に、彼らも楽器が歌っています。どういうことなんですかね?
しかも全く前情報なしでライブを見に行って、見事にどハマりさせていただきました。ギターの人柄も素敵なことながら、演奏中の楽しそうな表情たるや..。演奏が始まったときは客席は割と棒立ちだったのにも関わらず、最終的にはみんな頭や体が揺れていたあの様子を忘れられません。本当にすごかった。
全曲カッコ良すぎて笑っちゃいます。この曲も執筆中やドライブ中に一生流してました。頼むからApple Musicで全曲配信してください…本当お願いします。
ちびまる子ちゃん アララの呪文(feat.爆チュー問題)
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なんでこの曲???メンタルが死んでいた時期があったので、歌詞に救われました。本当です。
ふとした 弾みで 喧嘩をしちゃったけれど
ごめんね言えずに 一人 走る帰り道
友人の会社に入って仲違いし退職した2023年。やっとのことで仲直りできた2024年。それはもう本当に嬉しくて、この曲を聴くたびにいろんなことが込み上げてきました。
迷って 悩んで
涙あふれ出しても
明日はお日様
もっと輝いているよ
何かで つまづいたり
立ち直れなかったり
色んなことがある
人生だから
時には間違えたり
叱られてしまったり
色んなことがある
人生だけど
あははは。そりゃもう自分勝手に好き勝手に人生さまよってきましたからね。ツケが回ってきて不安定になったり、先が見えなくなったことが何回もあったけれど、そのタイミングでこの曲に救われてきました。昔、友人から「今日も飯が美味いなら大丈夫だよ」と言われたことを思い出して、この曲を聴いてなんとかなったと思います。
ちなみに作詞にはさくらももこ先生も携わっています。そりゃもうハートに届きますわ。
天
大学の友人が教えてくれた一曲。彼から突然、「なんか沁みたから送りつける!」と、この曲のリンクと共にLINEが入った。聴いたら問答無用でドンピシャ。琴線が震えまくりでした。
素敵な曲に出会えた感動ももちろんありましたが、何よりも友人が「この曲、コイツに響きそうだな..! ほーれ!」と共有してくれたことが本当に本当に嬉しかったです。彼とは大学時代からジャンルは違えど、好きな曲をシェアしあっていたので、それがこのタイミングでもできて幸せでした。ちなみに彼はIcona Popで「うおーー青春!」と感じてくれるタイプの人間です。そんな人に出会えたことが、大学にわざわざ行った意味だとも思えます。
肝心な曲ですが、どこか懐かしさを覚える感覚が止まらないです。気だるい中に突き抜ける青さを感じる。まだ青い僕らを遠いどこかへ連れて行ってくれるような、そんな曲だと思います。この曲を10代の頃に聴ける人が少し羨ましい。もちろん僕にも10代の頃に出会えた宝物のような曲が無数にあります。
昨今蔓延っている、とりあえずハイトーンで歌うのとはまるで真逆。複雑な曲展開を用いて、曲が一瞬で消費されるSNS時代のメインストリームには絶対に上がってこない曲調。90's-00'sのパワーポップやブリットポップ感が溢れていて大好きです。
彼らがどんな楽曲に影響を受けてきたのか、そもそも彼らが一体何者なのか、情報がどこにもなくて震えています。
実は彼らに出会えたからこそ、Apple Musicのレコメンドのおかげで後に続く新進気鋭の若手シューゲイズ、ポストロックバンドにたくさん出会えました。本当友人には頭が上がらないです。ありがとう!!!
Sidenerds
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彼女たちは別でしっかり書きます。それくらい凄まじいバンドでした。2年前にkurayamiaskaを聴いて、「すげーのがいる」と思ったのを遥かに超えてきました。
Vo, Gtのみにあまる雅、Gt.のねぎしのはんが強すぎて。最近のバンドってこんな上手いんですか?しかも二人ともまだ20歳とかそこら。いつ海外に見つかるんですかね?いつFuji Rock立つんですかね?
音はマスロックよりでありながらEMO要素満載でとことんキャッチー。それを裏付けるのはボーカルのアニメ声にも近いような声質にあると思う。それでいてロックバンドとしての体裁がまったく破綻せずにいるから度肝を抜かれる。
個人的に好きなのは「toumei na sekitan EP」に収録されている「わたし」。もう擦り切れるほど聴きました。
らしさが足りない 私はいつも ジェネリックどこかの誰か
から始まる歌い出し。こんなにも個性と魅力に溢れているバンドのフロントマンがこんなことを歌うんです。
言葉は形のないもの 目には見えず浮かんでは消える
時に姿を変えて 手のひらとなり 人の心を撫でる
声は形のないもの 空気を揺らし 耳に伝う
それが一つの種となり 人の心に深く根を張る
中島みゆき????大森靖子???本当に10代??こんな言葉の繋ぎ方、何百年生きたら出せるんですかね?
止まらないのでここまでにしておきます。
國
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そりゃ僕はきのこ帝国も羊文学(初期)もめちゃくちゃに好きなんですから、こんなもん大好物に決まってますよね!!
2020年結成、東京初オルタナティブバンド。僕はどうしてもオルタナティブというジャンルに明確なイメージを持てないでいるんですが、どんなに考えてもオルタナティブでしか形容できませんでした。シューゲイズっぽさももちろんあるけれど、厳密には違うしな。
このバンドを表現するなら、透明感。
全てが透けるような世界ではなく、コントラストとしての透明感とでも言うのでしょうか。演奏隊とボーカルにはっきりと陰影があって、そこでキャッチーさも乗っかり、あっという間に引き込まれてしまう。
玻璃校了
いや読めねぇよ!はりこうりょうと読みます。
2022年結成、ポストロック、マスロック、EMOの要素をふんだんに盛り込んだバンド。これまた世界観が独特で大好きです。まず普通こんなバンド名つけないよね。
まず曲名をチェックして欲しいんだが
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「東欧色が強い」
ヴェルニサージュ(vernissage)とは、フランス語で絵画展覧会の前日や、そのオープニングパーティーを指します。
なぜ?なぜ?どうしてこのタイトルなの?絶対に意味があるじゃん教えてよ…。調べてもちっとも分からないよ....。お手上げです。
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最近リリースされたEP「卅」の曲名も意味深。だから読めねぇって!「そう」と読みます。
六番目のミシカおそらくこれだし
エオリアはギリシャ神話から。ただなぜ六番目?
ペチカはロシア式のストーブのことらしい。
謎だ。。。
ただし実力は本物。伸びやかなボーカルに多彩な演奏隊。変拍子を交えたと思えば、空間系のエフェクトを巧みに使用したり、難解なフレーズなど表現の聞き出しが無数に出てくる。そしてどこか親しみやすさも兼ね備えているという抜け目なさ。
ぜひEP「卅」を通しで聴いてみてください。たった5曲、18分の中で十分過ぎるほど想像の世界をより遠くへ連れて行ってくれます。一曲目の「始終」から始まり3,6,9 と曲の階段を経て、「終始」で締めくくられる構成。
このアルバムを聴き終わって、文字通り息を飲みました。壮大なストーリーを見終わったかのような読後感。聴後感? ぜひ感じてみて下さい。
Wisp
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これもしっかりと別で書かなきゃいけないです。というか彼女もオフィシャルのアー写が出てこないのが不思議でしょうがない。
19歳の少女が、シューゲイズの新星として世界中に轟いた一年でした。
既存の音源を購入し、そこにオリジナルで入れた歌がTikTokで瞬く間にヒット。そしてたった数曲足らずのリリースで米インタースコープとの契約にまで発展。インタースコープといえば、エミネム、ガガ、ビリーアイリッシュなど錚々たるメンツがいる大手レーベル。
シューゲイズというメインストリームになりえなかったジャンルのアーティストが、こうして世界のトップに躍り出る瞬間をリアルタイムで見ることができました。
間違いなくMy Bloody Valentineに変わるシューゲイズアイコンになる。
TikTokでは「Wispcore」なるタグで無数に彼女に熱烈な支持を捧げる若者の投稿が見れます。全世界の若者の間で同時多発的にシューゲイズや、EMOがヒットしているのは、閉塞感のある現代社会に対するアンチーテーゼなのか。それとも今の世界の投影か。
アジア系の彼女が新たな音楽シーンを牽引する存在になってくれることが楽しみで仕方ありません。デカデカとキティちゃんがペイントされた、リアピックアップのみのストラトで世界を切り裂いて欲しい。
ちなみに彼女の初めてのフェスでの演奏はlollapaloozaとかいう化け物っぷり。またSystem of a DownのツアーでKORNとの対バンとか言う、世界中で大ニュースになった一番アツい日程にWispも抜擢されています。もう正真正銘アイコンになっていました。凄すぎて笑っちゃった。
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終わりに
歳を重ねると、感性の鈍化に直面してしまうじゃないかといつも怯えています。何も響かなくなってしまうんじゃないか。10代の頃に聴いていた曲しか聴けなくなってしまうんじゃないか。
好きだった歌が、響かなくなったな
誰のせいでもない 僕のせいでもないんだろう
そんなふうに思わせているのはGalileo Galileiの夏空がそう歌っていたから。
蓋を開けてみればそんなことはまるでなくて、一回り近く歳の離れた人が紡ぐ音楽に涙腺を緩ませ、人生まで救われている次第。「ちっとも大人になれていない」と言われてしまえばそうなのかもしれないが、この感性をいつまでも守ってこれたと、僕は誇っていたい。
どうかこのまま、音楽に、ずっと感動していられますように。