「株式会社タイムカプセル社」を読んで
未来の自分に宛てて手紙を書いたことはありますか。
私はありません。
だから、この本を読んで、書いてみたくなりました。
理由はいろいろあります。
ー今自分が思っていることを書くことで、気持ちをはき出す
ことができる。
ーただ書くだけではなく、たとえそれが自分自身宛てであっ
ても、誰かに宛てて書く方が、考えを整理しやすい。
ーちょっと想像してみただけでも、過去の自分から手紙が届
くというのはなんだかワクワクする。
ー未来の自分が悩んでいるかも知れないことに対して、過去
の自分の言葉がヒントになるかも知れない。
こうしてみると、手紙を未来の自分に宛てて書くという行為は、今の自分にも未来の自分にも、前向きな効果がありそうです。
この本に登場するタイムカプセル社は、何らかの理由で宛先不明で戻ってきた手紙を、その人物を探し出して届けるのが仕事です。
それも、白の上下のスーツに、白いハットを被った、ちょっと変わった出で立ちの男性が届けてくれます。
十年後ともなると、人生はかなり変化しています。
小学校四年生だった十歳の子どもが、二十歳になっていると考えただけでも、どれほどの変化があるのか容易に想像がつきます。
宛先不明で戻ってきた手紙を書いた人たちには、往往にして、複雑な事情があります。
その手紙を受け取ることを拒否したり、容易に受け取れる状況になかったりと様々な事情があります。
だから、全身真っ白なこの紳士は、ただ手紙を配達するだけではなく、心理カウンセラーのような役割も果たします。
この本には、励まされる言葉がたくさん登場しますが、それは、実際に本を読んでご自身で触れていただくのが、一番効果がありそうです。
作者の喜多川泰さんがあとがきで書いた一段落を、引用します。
言霊を侮ってはいけません。
とても大きな影響力があります。
本を読んで、たくさんの前向きな言葉を自分の中に「友」として蓄え持つことで、自分で自分の支えを作ることができるような気がしています。
主人公が思いの丈を話す場面があります。この言葉を伝えたかった相手は、残念ながら、もうこの世にはいません。でも、だからこそ、余計に、この言葉の威力が強くなっているように感じられます。
苦しいことが多い人生。でも、苦しいときこそ、一気に高く飛び上がれるチャンスでもあると、この言葉に励まされます。
ちゃんと使えば、「言葉」はやっぱりいい。
さあ、私も、数年後の自分に宛てた手紙を書いてみようかな。
ちなみに、世の中には、さまざまなタイムカプセルサービスがあるようです。ひとつだけここに挙げてみます。興味がある方は、ぜひ、調べてみて下さい。