ベランダコーヒーで気づけた幸せ
そもそもこのコロナ禍がなければ、ベランダでコーヒーを飲むことなど思いつかなかったかも知れません。外出を自粛する期間が長引き、少しでも外の空気を吸いたくなったのが、ベランダコーヒーのきっかけでした。
お花の定期便で、ダイニングテーブルにお花を飾るようになり、コーヒーの定期便で、毎月違った味わいのコーヒーを飲むようになり、私の自粛生活は確実に質が上がっていきました。視野が少し狭まったようにも感じた2020年でしたが、その分、細部に目がいき、感覚が研ぎ澄まされていったようにも思います。
何より良かったのは、小さなことで幸せを感じられるようになったことです。
例えば、
ベランダで陽の光を浴びながらコーヒーを飲んでいると、その光が自分の中で踊っているような高揚感を味わい、背中から太陽に抱きすくめられているような安心感を覚えました。
景色がいつにも増してキラキラして見えてきました。
木々の緑の濃淡に改めて気づきました。
ベランダコーヒー時間を充実させようと、コーヒーの淹れ方も一層ていねいになりました。するとまた新たな世界が広がりました。
挽きたてのコーヒーにお湯を投入してできたドームにプツプツ泡ができてそれが弾けていく音。
時計の針が秒を刻む音が聞こえる朝の静けさ。
お湯が湧いてくるときのだんだん高くなる音。
ミルクが泡立つにつれて、だんだん低くなるフォーマーの回転音。
コーヒーを淹れることそのものが充実感を与えてくれるようになりました。ひとつひとつの動作を丁寧に、なるべく音を立てず、少しだけゆっくりやってみることで、心の中まで静かになることにも気づきました。
そして、一旦凪いだ心は、生活の他の小さなことでも幸せを感じやすくなります。
掃除した部屋を朝日が照らしていると、まるで褒められたような気持ちになる。
部屋にこもって本を読んでいると、繭の中で守られているような安心感を味わえる。
炊き上がったご飯の香りが充満した部屋に帰ると力が湧いてくる。
お風呂でかじかんだ手足がほどけていくと素直になれる。
近所から煮物の香りがしてくると、あー、お隣さんも元気だと嬉しくなる。
小さなことを積み重ねることがこんなに効果があるなんて。久しぶりに仕事に出かけるためにはいたパンプスが、足にとてもフィットして歩きやすく、そのことで嬉しくなるなんて、今までにはなかった感覚です(笑)
Beforeコロナにも苦しいことはたくさんありました。
Withコロナだけが特別なことではありません。
Afterコロナになっても、また別の試練が確実に待ち受けています。
それでもなんだかやっていけそうな気がするのは、
Duringコロナで自分の足元を見つめ直せたからだと思います。
今あるものを確認でき、ないと思っていたものは、実は既に手元にあったり、なくても、意外と困らないものだったことにも気づけました。
そうなのです。
世界は小さな幸せであふれているのです!
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