実らなかった恋のはなし 第三話 カンナの告白(つづき)
カンナは夢を見ました。
ヤス、ゲン、ゴン、そしてカンナの四人で楽しく遊んでいる夢です。
ピクニックに来ているようです。
四人が集まって、それぞれのハートマークを見せ合っています。
そう、四人のうち三人にはそれぞれ、身体の一部にハートのように見えるあざがあります。
ゲンとゴンは胸のあたりに。
カンナはシッポの先に。
でも、ヤスにはありません。代わりに、ハート型のペンダントをしています。
「ハートマークが僕たち四人をつなぐ印だね」
そう嬉しそうにヤスが言っています。
そこで、ハッとカンナは目覚めました。
「なんだ、夢か」
いや、ちがう。夢は夢だけど、夢じゃない。
ほんとだったんだ。
カンナはヤスとの会話を思い出していました。
ヤスのお母さんは二年前に亡くなりました。
病気がちだったお母さんは、それでもバーを経営して、女手ひとつで一人息子のヤスを育て上げました。
お母さんには若い頃、好きになった男性がいました。
その人の子どもを身ごもったとき、とても幸せでした。
でも身体の弱い自分が、その男性の将来のお荷物にはなりたくない。
だから、お母さんはその男性には何も言わず、ある日突然、姿を消しました。
その時の子供が、ヤスだったのです。
「ふぅ〜ん」
という感じで話を聞いていたカンナは、その続きを聞いて、とても驚くことになります。
それはまた次回、ヤス本人に話してもらいましょう。
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