「子ども」を車で学校に送迎する「大人」のモヤモヤ【コスモス 感想】
「学校まで、車で送ってよ。」
小雨の日。遅刻しそうな日。寮母のわたしと親しい女の子は送迎を頼んでくる。
車での送迎を頼まれるとき、わたしはいつも迷う。他の生徒は自分の足で登校しているのに、この子を車で送迎することは甘やかしていることになるのではないか。子どもの自立を妨げることになるのではないか。
母と子の、寮母と高校生の、ちょうどいい距離間って。
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ある日、母親が家を出ていった。父親と二人暮らしをすることになった小学3年生の女の子「花」さんが登場する漫画。花さんがお父さんや親せき、クラスメイトを見ながら冷静に考え、ときに感情が揺らぐ日々が描かれている。
花さんとお父さんは親子に見えない。母親が家を離れたばかりである第1話、花さんは父に敬語を用いて会話を行い、父は花さんのことを「きみ」と呼んでいた。
子どもにとって大人はどう見えているのか。子どもの見える景色、そして花さんと父の関係性から、親子のちょうどいい間合いを考えてみたい。わたしは思った。
「立場」ではなく「人間」として
父や子どもを見る
子どもは親を「人間」として見たくない
「お母さん」と呼ばれること
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この作品を読み終えたあと、「他人」を辞書で引いてみた。
た‐にん【他人】 の解説
1 自分以外の人。ほかの人。「他人まかせの態度」「他人のことはわからない」
2 血のつながりのない人。親族でない人。「赤の他人」「遠くの親類より近くの他人」
3 その事柄に関係のない人。第三者。「内部の問題に他人を巻き込む」「他人の出る幕ではない」
他人(たにん)の意味 - goo国語辞書
「1」は自分以外の人、「3」は事柄に関係のない人。そして「2」は血縁関係のない人が他人であるとのこと。
家族は他の人間ではあるが、やはり「他人」として区別することはむずかしいのかもしれない。子どもにとって家族は特別な存在であることをあたまの片隅に置いておこう。寮母として、母として。
しかし、母になることは嬉しくもあり、ときとして母であることは苦しい。
『コスモス』
出版社: イースト・プレス (2019/4/7)
著者: 光用 千春
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最後までお読みいただきありがとうございました。
あんどう