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暗がり[詩集 夜火]
沈黙に落とした声は届かず
恐れを隠すために唾を吐いた
引いた血、流せずに帰り支度
水面に映った顔が消えない
敷き詰めた砂利、ひとつだけ
握り込む、ひとり、独白を待つ
逃げ道は抑える、罠を仕掛ける
焦るな、裏付けはどうにでもなる
くだらない言い訳が溢れ返る
吐いた嘘がその身を蝕む
どうせ足跡が残る、ほっとけ
積み重ねる嘘、不都合な事実
繰り返す不幸、毎夜死にたくなる
八方塞がり、癇癪、八つ当たり
両耳を塞いで遠回り
死にたがりの盲目の餓鬼、悪巧み
掃き溜めの街をさまよう
曇天模様、嫌に蒸し暑い
雨雲の外側を知らない
悪事を知らない餓鬼が語る
望まずとも、その身を焦がす朝焼け
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安堂による個人詩集(ZINE)
第16・17回「文芸思潮」現代詩賞 佳作 受賞
◆全10篇の詩を収録 40P
◆商品サイズ 中綴じ製本(A5)
◆2019年発行
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