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或る犬の一生[詩集 夜火]
食う寝る遊ぶ、また繰り返す
いずれ訪れる、寝ころんで待つ
首をひかれて外へ飛び出す
そこいらで暮らす犬の遠吠え
同族に反響、呼応して波紋
首輪から逃れるよう、街を駆ける
難しいことなど、なにも考えず
日陰に隠れてあくびしてる
明日のことなど、なにも考えず
ただ生きるために生きてる
馬鹿に見える、ときもたまにある
獣であることを忘れてしまう
犬のようになりたい、犬のように生きたい
食う寝る遊ぶ、たまに牙をむく
良し悪しは問わず、本能に従う
かすかに残る痕跡に惹かれる
道へ飛び込む、肉片と化す
俺は見る、路上に転がる亡骸
見る、内側をさらけ出す様
潰して、潰して、なんども潰して
目に映らなくなるまで、細かく
アスファルトによって生まれた自然
その理を受け入れて、犬は生きる
コンクリートジャングルだろうが
隔離された小屋に閉じ込められようが
どんなに振り回されようが、なんだろうが
限られた時間を、犬は生きる、飯を食う
馬鹿に見える、ときもたまにある
獣であることを忘れてしまう
犬のようになりたい、犬のように生きたい
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文芸団体「煉瓦」主宰、安堂による個人詩集(ZINE)
第16・17回「文芸思潮」現代詩賞 佳作 受賞
◆全10篇の詩を収録 40P
◆商品サイズ 中綴じ製本(A5)
◆2019年発行
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