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シュヴァルブランの夜

先日ボルドーのブラインドテイスティング会をした際に、話題に上がりふと過去のテイスティングコメントを確認した

今考えてもあり得ない経験…
(今でも台湾に足を向けて寝られない)

シュヴァルブランはサンテミリオンのトップに君臨する第1特別級Aの生産者

最新ヴィンテージで1本10万円前後
もちろん古いヴィンテージはもっと高い

しかしあの頃の仕事後の終電までのグラス洗いは本当にためになった。今でも自分の人生の一部だ。グラスを洗いながら隙間でテイスティングしマッハでコメントを打ち込む。

その当時のテイスティングコメント

●シュヴァルブラン 2009年

香りはコーヒー豆、黒系果実の柔らかい印象、複雑、なめし皮、上品なロースト香、ハーブ、燻製のニュアンスも。
アタックは滑らかで厚みがあり、凝縮感とキメ細かい酸、ウルトラエレガント、ミッドパレットは滑らかでタイトにつまったミネラル、酸味、上質なタンニン、後口は繊細なタンニンの余韻と、大きなミネラルの塊、余韻のボリュームが巨大。

●シュヴァルブラン 2006年

香りは09より発展していて、先ほどの香りに少し熟成感が入り混じる、プルーン、黒系果実のジャム、濃くて深い、まだ閉じている印象。ムスクや、スパイスの入り混じり。歯に食い込むパワフルなタンニン
アタックは練れているが力強く、果実味の大きさと、滑らかながらグッと押してくるパワー。ミッドパレットのタンニンは滑らかなテクスチャーのまま深く食いこむ。融合した味わいの大きな塊はそのまま余韻へ向かう。後口のタンニンは09より粒が大きい、ミネラル感が大きくクリスタルウルトラシルキーで、長い余韻に繋がる。

●シュヴァルブラン 2005年

香りはさらに深く、しっとりとした熟成感、森の下草。黒系果実主体だが、赤系果実も入り混じる。なめし皮、ヨード感も。香りは閉じているが、ギッチリ。アタックは果実味が開いており、近寄りやすい、滑らかだが、深い、テクスチャーは最初は柔らかい。酸味は練れているが、しっかりと存在する。ミッドパレットのタンニンは上のヴィンテージの中でも、量が多く面で押される。酸味と果実味もまだ支配的で、中間、後口のボリュームは果てしない、タンニンもまだ活き活きしている。ミネラルも巨大。凄すぎる、アタックの印象は近づきやすいのに中間から一気に本性を見せる。

●シュヴァルブラン 1998年

香りはさらにもう一段階深く、森の下草、香りは発展している、ドライブルーベリー、プルーン、チョコレート、ドライハーブ、複雑すぎて言葉に出来ない(小田和正)アタックは滑らかで甘やかにさえ感じる。果実味は素直で、透明感、テクスチャーはウルトラスムース、これは別格のテクスチャー。酸味、タンニンは融合して一つの味になっている。
中間はベルベッティなタンニン、これが本当のベルベット。伸びのある果実味とミネラル、酸味はきめ細かく後口はコーヒー豆のニュアンス、軽やかにさえ感じるミネラルのフィニッシュ。
カチリとしたミネラルの余韻、硬く凝縮し長い。後口のキックバックの風味、下草、なめし皮、香りの量はやばい。後口のタンニンもまだまだ現役。鴨フォアグラと、フォアグラ、トリュフ、パイ包みに。

●シュヴァルブラン1990年

香りはなめし皮、ジビエ、燻製、ドライハーブ、複雑、ローストしたコーヒー豆、エスプレッソ、アタックは滑らかで凝縮感、甘味、ベルベッティな質感、ミッドパレットも滑らかに大きく繋がり、後口まで滑らか繋がり、ミネラルと柔らかな大きい余韻でフィニッシュ。このヴィンテージでタンニンがまだしっかりと活きているのは凄い。

●シュヴァルブラン1982年

香りはローストコーヒー、ナッツ、かなり枯れてきているが、むしろ今が本領発揮。ローストナッツ、黒系果実は解放され、燻製の肉など官能的なアロマ。
アタックはほぐれるような柔らかさ、果実味、酸味、タンニンは溶け込み、こんな美味しい液体は初。甘くて滑らかで複雑で素晴らしすぎる。
アタックからフィニッシュまで、滑らかな一つの塊が通る感覚。余韻は滑らかで極上の液体。アタックは滑らかで果実味が甘くで、ベルベットな質感、酸味も練れ、タンニンは細く生きている。ミッドパレットは滑らかな甘さで繋がり、フィニッシュの柔らかさと、このミネラル、ボリュームはシュヴァルブランならでは。
「味覚」という概念を超えた味。

●シュヴァルブラン1975年

香りはヨード、下草、大地など複雑で動物的。香ばしいローストのニュアンスが強い。
アタックは死ぬほど滑らか、一つの味に融合している。しかしまだきめ細かいタンニンは存在しており、酸味もエレガント、ミッドパレットはベルベッティな質感で繋がり、フィニッシュも滑らかで余韻にふっとタンニンが残る。味わいの発展があり、まだ生きているタンニン。

●イグレック ド シャトーディケム2014年

香りは若々しく、フレッシュ、マーマレード、熟したレモンのジャム、洋梨のジャム、フレッシュハーブ。ソーヴィニョンブラン、若いメロン。熟した林檎。完熟梅。
アタックは洋梨!フルーティで、フレッシュ、透明感とフルーツ感が凄い。果実味は爽やかで、甘みはそこまで強くない、若すぎる感じはわかる。溌剌として、若々しい。ミッドパレットは酸味も豊富で、甘味も上質。後口は爽やかな酸味とキレ、長いミネラルでフィニッシュ。ミネラル大きい。丸氷の大きさ。フレッシュでメリハリがあり、キレが素晴らしい。ミネラルの伸びと長さがハンパない。

●シャトーディケム2001年

もう、見ただけで美味しくないですか?超旨そう

香りは完熟オレンジ、蜂蜜、液体は黄金でグラスに張り付くねっとりとした粘性。プラム、黄桃ジャム。アタックは死ぬほど美味い。オレンジジャム✖️100!滑らかで濃厚、とろりとした黄金の液体。酸味も甘味も凝縮!美味いワインを煮詰めたような旨さ。中間は滑らかで塊の移動、旨すぎる、天国の味わい。甘味と酸味、ミネラル、全て兼ね揃えていて、後口もそのまま複雑で大きな余韻を残す、リッチ、スパイスの溶け込み。存在感の大きさ。間違いなく、世界一。

総括

シュヴァルブランの熟成は言葉を失うほど、表現する必要がないほど素晴らしい。若いヴィンテージでもその凄さはビシビシと感じるが、熟成させた時の香りの複雑さや、味わいが融合した時のあの「塊」の大きさ、82年はもう、驚くほど美味しかった。05年、06年などはまだタンニンが強く、後5年ぐらい寝かせた方が良いのかなと思った(このテイスティングが2017年なので、まさに飲むなら今ぐらい)

そしてイケムの01年は世界一旨いと思った。

イケムはどの年を飲んでもイケム
以前飲んだ1987年の成熟した風味も最高だし、1995年の熟成と若狭の狭間も旨い、2005年の熟成途中のセカンドステージも素晴らしく、2013年の若々しい味わいも甘美だ。

でもその中でも01年は別格

例えるなら
鮨の小肌や日本料理のお椀と同じく、別格なのだ。


このレベルのワインをワイン会に持って行けるように仕事をしよう

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