不況は『変われ』の合図
10年前は人気銘柄、今は?
当時は最先端で人気だったお酒は、変化をし続けないといつの間にか周りが進化して昔の味になる。現状維持は退化となる。
ワインの世界はどうだろう。
揺らぐことのない格付け、ボルドーの頂点五大シャトー
ラトゥール、ムートン、オーブリオン、マルゴー、ラフィット
頂点に立つシャトーも当たり前に進化し続けている
シャトーラフィットロートシルトのランチ会
DOMAINES BARONS DE ROTHSCHILD(DBR)
インターナショナルディレクター、ジャン・セバスチャン・フィリップ氏の来日ランチが台風の影響で飛行機が飛ばずビデオレターのみの参加となる
進行は竹村栄司氏(ブランドアンバサダー)
ポール・ボキューズのクラシカルなフレンチと王道のボルドーとの相性は、それはそれは素晴らしかった。
あえて作った凹凸を組み合わせて合うでしょ?ではなく、同じ要素同士を重ねる。
Ch.Duhart Milon2017
デュアールミロンは1962年からラフィットと同じ醸造チームが手掛ける4級格付け。果実味が明るくて近づきやすくエレガント。
ラフィットが豪華な城ならデュアールミロンはシンプルでスタイリッシュなマンション。醸造は同じチームでもラフィットとは全く味わいが異なる。でも醸造技術の高さははっきり感じる。
この4級、5級クラスのボルドーを飲むとき、全てではないがボルドーの神髄のようなトップクラスのシャトーと明らかに違う「要素」があるといつも感じていた。
それをあえて言語化するなら「フルーティさ」
フルーティというのは近づきやすいゆえに厳格さを失う。
Ch.L’Évangile2013
DBRが1990年から所有するポムロルで手掛けるレヴァンジル。ラ・コンセイヤント、ヴィユーシャトーセルタン、ペトリュス、シュヴァルブランに接する畑を持つ。メルロ主体、凝縮した黒系果実のパワフルで複雑な素晴らしい香り。味わいもゆったりと大きく、複雑な構成が一つの滑らかな味わいの流れの中に組み込まれている。こういうワインを飲むとボルドー熱がふつふつと湧いてくる。
Ch.Lafite Rothschild2002 Ch.Lafite Rothschild1999
そして5大シャトーの中で最も高額で取引されるラフィットロートシルトへ
2002年のラフィットロートシルトは少しドライになった黒系果実、スパイス、土など複雑な一体感と、20年経つとは思えない程の若々しさ、酸もまだ生き生きとしており、ピークはまだ先。
味わいに集中力があり、口に含むと味に没入してしまう。巨大な城の部屋を順番に確認する作業はやはりこういう食事と共にじゃないと集中できない。普段のテイスティングなんて一瞬の切り取りだ、というのは理解している。
1999年を飲むのは2度目、複雑で緻密、華奢ながらも強く素晴らしい。ワインはつくづくインパクトや果実味が全てではない、と教えてくれるほどのエレガンス。
「真味只是淡(しんみはただこれたん)」
考えてみれば雨の多い水辺の砂礫質土壌で自然と濃厚な味になる訳がない、オールドボトルを飲む時に感じる繊細さが実はボルドーの美しさなのかも知れない。
五大シャトーの中でもラフィットロートシルトは特に繊細。
Ch.Rieussec2019
最後は1984年からDBRが所有するソーテルヌの格付け1級リューセック。実は今回のヴィンテージから見た目をガラリと変えた。賛否両論だが、トップシャトーは変わり続けている、走り続けながら。
甘口ワインの糖分が健康に悪いということで、消費が著しく落ちており、甘口のシャトーは各社食事に合わせる辛口タイプを発売している。
このリューセックも残糖を以前の150g/ℓから120g/ℓへ減らし軽快な味わいに仕上げている。
何でもそうだが、中身が良くても伝わらなければ売れない時代。
時代に合わなくなっているドリンクを「誰が」「どこで」「誰に」「どうやって」バトンを渡していくのか。
今のソーテルヌは日本酒だと思った。
ポールボキューズの料理
トップは進化し続けてトップ
五大シャトーでも時代に合わせ変わり続けている。だから最先端に居続けられる。
でもそれを伝えるに共に歩くパートナーが必要だ。酒屋の価値も更新するタイミングが来た。
「この銘柄を下さい」「どうぞ!」は作業。
時代の先を走る銘柄の価値をブーストさせてこそ存在価値
俺も変わろう
今日変わろう、この瞬間から変わろう
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