暴力に敏感すぎて髭男が聴けない
世の中五輪な雰囲気だね!NHKつけっぱなしで寝てたら、どうやら試合会場で流れている、髭男の「cry baby」って曲が聞こえてきて、嫌な気分になってチャンネル変えちゃったよね。最近、売れてるじゃん?ミュージックチャンネルのヒットチャートで必ず流れてて、なんて嫌な気持ちわるい歌詞なんだ、髭男好きなのにがっかりやねんって思いながら聞き流してるんだよ。「聴けない」と言いつつ聞いてるやんwってツッコまれそうだけど。せっかく人目に触れる文章を書くからと思って、初めて歌詞検索してタイトル確認して改めて読んだけど、やっぱ気持ち悪かった。おえ。
煮魚は若い頃にフリーターやっててね、一日中バイトしてたオフィスが、ずっとラジオの流れてる環境でね。ラジオって、自分の好き嫌い関係なく音楽流れるし、場合によっては今週のなんちゃらって何度も何度も流れる曲がよりによって大嫌いな曲だったりするんだよ。でもなんだかそういうのにも慣れたから、嫌いな曲を落ち着いて、好き嫌いとは切り離した部分で聞く、ってことができるようになったのね。そして、どうしてその曲が嫌いって思うのかという自分と向き合うきっかけにしてる。ちなみに、最近だと「香水」ってのと「別の人の彼女になったよ」って曲が嫌い。嫌いだけど、そらで歌える程に聞き込んだよw我ながらどえむ。この2曲に共通して言えるのは、かまってちゃん臭がきつくて、うわこいつめんどくせえ、としか思えないとこじゃんね。なんでこんなのが売れるんだろ、こんな事言ってる人が友達だったり飲み屋で隣に座ってたら嫌だな、ってとこが嫌いな理由。ま、これは今回余談で関係ない話。
で、今回取り上げた曲が嫌いなのは、ひとえに「暴力」だから。もう、他人くんの影響以外の何物でもないよね。影響受けたって認める・思うのも腹が立つけど、仕方ない。今でも理解できない他人くんの「暴力はエンタルピーとして正しい」って言葉、なんやのそれ、っていう。腹が立ちすぎて、なんでもググっちゃう自分がエンタルピーという言葉を未だに調べないでいる。調べたら負けだよねとも思ってる。
もうね、暴力の場にいることが歌として流れるのがだめなの。同じ理由でチャゲアンド飛鳥の「YAHYAHYAH」も苦手。あれもめっちゃ流行ったよね。ちなみに、苦手になったのは結婚後。流行ってた時はDVとは無縁だったから、気にならなかった。結婚後数年して、CSチャンネル見るようになってミュージックチャンネルでたまに聞くようになってから違和感を覚えて、段々気持ち悪くなってああやだなあ、と思うようになっていったんだ。殴りに行こうかとかぬかしてんじゃねーよボケがあ!と、今なら思う。でも、流行ってた当時は好きでもなかったけど「あらあら。男ねえ。」くらいにしか、思ってなかった。カラオケで誰かが歌っても、付き合って一緒に拳上げるくらいの余裕はあった。今は無理だね。いや、もう誰かとカラオケに行くことなんて無いけどさ。
ああ、話が逸れてごめんじゃん。髭男の話に戻すとね。あれって、男同士が他の男グループと喧嘩になってる内容でしょ?なんかもうさ、警察呼ぼうよ、とか、そこで友情確認してんじゃねーよとか思ってムカムカしちゃうのね。これは多分、自分にとって暴力が絵空事じゃない、ファンタジーじゃなくなったからなんだよね。暴力は、自分の心と尊厳を削ぎ落す、どうしようもなく黒く重いものなんだよ。そう体感してるから、正視できないんだ。その理由は、暴力崇拝者と結婚生活を送ってたから、というのに尽きるよね。
他人くんは、職場でも嫌な事あって爆発して、人を殴ったりしてた。煮魚の記憶では2回もあった。10年で、2回。それなのに何の罰も受けず訴えられることもなく済んでるってのが、信じられなかった。他人くん曰く、どう考えても殴られても仕方ないなって周囲が思うところまで我慢してるから正義の鉄拳になるんだよ、みたいな事を誇らしげに言ってて。それで気持ち悪くなったんだ。思えば、煮魚に対する暴力、この場合実際に殴るとかの体罰行為ね、それが年1から2回程度ってのも、計算してたのかなって思う。この頻度だったら、言うほどDVでもなくない?ってなるし、実際配暴センターでもそう言われたしね。いや、計算でもなくて、たまたまバイオリズム的に年1とかだっただけかもしれんけどさ。
だから、そういう、「男の世界」っての?薄気味悪くて怖くなったよね。殴り合ってお前強いな!お前もな!とか友情芽生えるとか頭沸いてるよねwwマジ無理なんだけど。自分が意図せずとも、振るわれた暴力が正当化されてしまうって恐怖しかない。今でも、思う。自分が過去数回手をあげられたことは、私が悪かったから仕方なかったことなのか、って。DV離婚だと私は思っているけれど、もしかしたらお互い様のただの夫婦喧嘩だったのかもしれない、って。
だから、あの歌は、ほんと苦手なんだ。暴力が日常で普通なんだもん。気持ち悪いよ。
ただ。ただね。
同時に、私にとっては恐怖で薄気味悪くて胃がムカムカする曲なのに、ずっとずっと何週もヒットチャートに残ってるってことは、きっとそういう事を考えつかない人たちが「髭男またいい歌だしてんじゃん」「恋愛じゃない歌もイイネ!」的に盛り上がってるってことでしょ?つまり、「暴力はファンタジー、身近にはない世界観」って捉える人がたくさんいるってことだよね?だから、それはきっと幸せな世界なんだ。あんな恐ろしい歌を、イイネ!とかって聞く人たちが一定数以上いるんだから、それはきっと平和な世界なんだ。
いつも思う。言葉狩りと表現の自由の間を。例えばさ、「”お母さん食堂”ってNGだよね」って思う人がいて、それを賛同する人と反発する人たちがいるでしょ。でもさ、ひと昔前なら、それが問題にすらされてなかったってことでしょ。そして今は、私が抱えているモヤモヤは、おそらく問題にはなっていない。今はそういう世の中ということなんだ。そして、それは実は悪くないことなのかな、とも思うのね。だからここでこうして、ぐずぐずぼやいてる程度で、幸せな世の中であることを証明できれば、それはそれでいいんだよ。あと、髭男、嫌いじゃないんだぜ。