漫才#5 「一口ちょうだい」

ボ もう友達なんかいらない。

ツ どうしたんや急に。
  「もう恋なんかしない」みたいに。

ボ いらないよ絶対。

ツ 「言わないよ絶対」にやろ。
  より決意を固めるなよ。
  何があったん?

ボ この前、友達と二人でご飯食べに行ったんやけど、
  その時にカレー食べるかパフェ食べるかで迷ってさ、、、

ツ カレーとパフェで悩むの!?
  普通はカレーとオムライスとかで迷わん?

ボ もちろんカレーは甘口やで。

ツ カレーの甘口、スイーツほど甘ないねん。

ボ まぁ結局、俺がパフェで友達がカレー食べることになったんやけど、
  友達がカレー食べてるの観てたらカレー食べたなってきてさ、、、

ツ パフェ食べてるのに?
  味覚バグるやろ。

ボ (手で貰おうとするふり)
  友達に一口ちょうだいって言ったら、断ってきてん。

ツ まぁ、嫌がる人はおるんちゃう。

ボ だから、「この非国民が!」って言うたってん。

ツ 言い過ぎ、言い過ぎ。
  一口あげへんかっただけでそんなこと言うたらあかんよ。

ボ そっから喧嘩や。

ツ そらそうなるわ。

ボ どっちが悪いと思う?

ツ お前や!
  一口くれへんかっただけで罵声浴びせてるんやもん。

ボ でも、一口ぐらいくれてもいいやん。

ツ そんなにほしかったんやったら自分で頼めばよかったやん。

ボ 俺なら一口と言わず、50口ぐらいあげるけどな。

ツ あげすぎやろ。
  もはや渡してるやん。

ボ その後、喧嘩は収まったんやけど、無言で食べることになってさ、、、

ツ 最悪の空気や。

ボ (手で取りにいくふり)
  もう、気まずいからカレー食べたろうと思って、、、

ツ やばいやんお前。
  なんでそんなことするん。

ボ そっからまた喧嘩なって。

ツ なにがしたいねん。

ボ (手で取りにいくふり)
  腹立つからまた食べようとして、、、

ツ 暴君過ぎるて。
 (手で取りにいくふり)
  ほんで、さっきからなんで手でいこうとしてんねん。

ボ え?
  ちゃんと手は拭いてるで。

ツ そういう問題じゃないねん。
  ポテトとかのノリでいくなよ。

ボ ポテトは貰おうと思わん。

ツ 今、そこのこだわりいらんわ。
  カレーを手で取ろうとするなって言うてんねん。

ボ スプーンで取りたいけど、
  パフェの生クリームついたら嫌かなと思って。

ツ どこに気使ってるねん。

ボ 甘なるやん。

ツ 汚さより甘さ気にするな。

ボ 甘口やのにこれ以上甘なったらスイーツになるから。

ツ そうはならんやろ。

ボ そうなんか。
  ほんで、仮にやけどお前ならカレー一口あげる?

ツ んー。俺もあげへんかな。

ボ えー、あげへんねや。

ツ それこそポテトとかやったらあげるけどさ。

ボ ポテトはあげへんやろ。

ツ ポテトはあげるやろ。

ボ 一本そのまま食べたいよ。

ツ (ポテトフライを持つふり)
  誰がこの一本を一口ちょうだいって言うねん。
  一本あげるってことや。

ボ そういうことか。
  それならあげるわ。

ツ そうやろ。

ボ ならなんでカレーはあかんの?

ツ カレーの米とルーの食べるバランスを絶妙に保ってんのに、一口あげたら計画が狂うやん。
  俺はそれが嫌やねん。

ボ その計画書渡してくれたらそれに沿って貰うやん。

ツ なんでそこまでしなあかんねん。

ボ 三日待つよ。カレーもおいしくなるやろうし。

ツ 上からくるなよ。

ボ そんなこと分からんからさ。

ツ その友達がそこまで考えてたんかは知らんけどね。
  まぁ、しょうもないことやし仲直りしたら?

ボ そうやな。許してもらえるか分からんけど、
  ちゃんと謝って、今度からは一つ多めに頼んでくれって伝えるわ。

ツ 自分の分は自分で頼めよ。
  もうええわ。

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