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「お元気ですか、あたしは元気です。」andCURRY日誌➖20241206

金曜日なのでカレーが入れ替わる日。ティーエルというココナッツとタマリンドのベジカレーを何万年ぶりかに作る。さつまいもに酸味が絡んでいて、美味しい。わたしの推しは飴色大根キーマだったけど、今日の一番人気はフェンネルサーモンだった。
お客様にカレーを届けた時、ワクワクするような感じで、「美味しそう!めちゃくちゃ嬉しいんだけど!」とおっしゃってくださった方がいて、わたしも嬉しいんだけど!と思った。わたしの美味しい、を表現したプレートを目の前にして喜んでくださった姿に親しみを感じる。


多くの人の好きなものと、自分の好きなものは一致しない。
昔、WEBコンテンツの会社に勤めていた時、社内報を作る仕事をしていて、コンテンツプロデューサーの人にインタビューした。その人は「みんなが好きなものが好き。」と言った。自分の嗜好は特にない、みんなが好きなものが好き。プロデューサーとして、その人が存在する所以を感じた。かっこいいと思ったので、今でも覚えているのだろう。自分の好きなものをみんなにもお薦めしたい、というのはよく聞くのだけど、他人が好きなものを好きと言えるのはすごいことだ。

群衆も個の集まりなので、みんなというのはどのみんななのだかわからないけれど、多くの人が好きだ、美しい、美味しいと思う方向性というのは、一定の法則があるんだろうか?などということをここ数日ぼんやり考えている。

無事に営業が終了し、エンジェル、きのぴーとご飯を食べた。有名な俳優の訃報に驚いた。

わたしが好きな映画の一つに岩井俊二監督の『Love Letter』がある。亡くなった恋人に手紙を出すと、なんと返事が返ってきて奇妙な文通が始まるというストーリー。小説も好きだから何度も読んだ。青春の甘酸っぱさも、別れの悲しみも、初恋の切なさも、家族の温かさもたくさん詰め込まれているのに、冬の朝のような澄みきった一色の空気がずっと流れているような作品。今、本棚にあるかなと探したらあった。少し読んだ。98年の発刊だった。そんなにも前から、わたしはこの本と一緒に大阪、東京と移動してきている。(どうりで年季の入った本だこと。)大切にしている本、というわけだ。
映画化された作品は原作の方が好きな確率が高いけれど、この作品だけはどちらも好き。学校のカーテンが膨らむ感じとか、自転車のライトとか、映像でなければいけないシーンがいくつもあるから。もちろん最後のシーンも。主人公が精一杯大きな声で叫ぶ。「お元気ですか、あたしは元気です。」


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