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カレー作りの哲学。andCURRY日誌➖20241102

「スパイス感が最初にくるのではなく、スパイスで素材を生かそうとするカレーだと思いました。」
そんなふうなことをお客様に言われた。雨の土曜日。

カレーは個性がめちゃくちゃ出る料理だと思う。

ある程度決まった工程があるけれど、スパイスや食材の組み合わせ、素材の切り方や、油の種類、トマトの有無など、無限大の掛け合わせがあるから、否が応にも個性が出てしまうんだと思う。わたしのカレーの個性は、食べてみるとわかります。言葉にすると、どう表現したらいいかわからないし、どんなニュアンスで受け取ってもらえるかも定かではないから、伝えるのは難しい。個性を表現できないのだから、わたしのカレーの作り方をお伝えするのは至難の業。レシピでひとつ一つのカレーの作り方を料理教室でご紹介することは、できる。でもなんでこのスパイスを使ったのか、じゃあ他の素材だったらどう作るのか、そういう細々してる本質的なわたしのカレーの作り方を言葉にして誰かに渡すのは相当時間もかかるだろうし、わたしも相手もかなりの根気が必要だ。だから、キッチンでのカレーはわたしが基本的に作るし、お手本のカレーを食べてわたしの分量のメモを見て作れるのは、過去も現在もエンジェルしかいない。エンジェルは自分でも間借りカレー屋をやってるし、and CURRYのカレーを結構長い間食べてくれているし、何より一緒に働いて多くコミュニケーションをとってるし、感性の重なるところが多いと(わたしが勝手に)思っている。

でもエンジェルにわたしのカレー作りの、何って言ったらいいかわかんないからここでは哲学と呼ぼう、カレー作りの哲学をお伝えしたとて、彼女にはなんの得があるんだい?彼女は自分の個性でカレーを作っているし、作るべきだし、既にそこにある哲学を壊しそうで嫌だな。引き出しが増える、という意味ではいいのかな〜ゆきなってばめっちゃ偉そうやないか〜何様やお前!とか色々考えたけど、エンジェルは賢いから自分で取捨選択してくれるだろうと、哲学を伝えてみようと試みている。(できるかは不明、未知数)

レシピがあったら誰でも作れる、というのは飲食ビジネスをしていく上でめちゃくちゃ大事なことだ。だけど個人店のいいところって、そうじゃないでしょうと思う。働いている人の空気感とか、そこでしかありえない雰囲気とか、あの人にしか、ここの店でしか、味わえないものを求めてみんな好きな店に通っているんだ。もしかしたら”美味しい”ことすら二の次かもしれない。

今まで二店舗目を出そうかとか、恐れ多いながらも考えたことが何回かある。何度考えてもやっぱり無理〜、やりたいと思えない、が回答となった。自分の経営者としての器量が足りないのが一番だけど、自分の店なのだったら、自分がカレーを作っていたい。だってそのために作った場所だから。他の人の考えた料理を出すならそれはand CURRYではないんだもんな〜


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