
開業ノウハウ|なぜ大企業の方が、シッカリやっている?商圏調査。立地はどんな業種にも重要
繁華街に出店したい、人通りの多いエリアで出店したい、人流を掴める場所で出店したい、という希望を持つ人は多いです。
マクドナルドやスターバックス、牛丼チェーンなどがあると「大手の商圏調査を経て出店しているから大丈夫」という意見もよく聞きます。
この考えは間違いではありません。
チェーン展開している大企業のほとんどは、多額のコストを使い、あらゆる側面から商圏調査や分析をし、驚くほど慎重に進めます。
一方で、開業者の中には「自分自身の記憶」「印象や思い込み」「数人から聞いたウワサ」などを根拠に、大胆に出店場所を決めている方も一定数います。
良いとか悪いという話ではなく、開業には決断と行動の連続です。
「わからないからやらない」では何も進みません。
しかし多くの開業者は一人、もしくは数人で立ち上げます。
大企業ができることではあらゆる側面で違います。
より大胆な決断が必要となる場合があるでしょう。
しかし、決断し行動するのには2種類あり、
「あとは、やってみないとわからない」*可能な限り調査・分析して行動
「わからないけど、まずやってみよう」*考えることをしないで行動
では間違いなく結果は大きく異なります。
調査や分析、何より客観性をもたない決断は[無謀、無策]といえるでしょう。
想定外の問題や、やってみてわかったことに対処する前に運転資金が尽きてしまったら元も子もありません。
今回は、大手企業が市場調査や分析をする際に、絶対に外さない5つの基本的なポイントをあげながら開業者に当てはめた場合にやるべき行動を紹介します。
1. ターゲット顧客の特定と分析
顧客プロファイルの作成
最初のステップは、ターゲット顧客の詳細なプロファイルを作成することです。
年齢、性別、収入、職業、ライフスタイル、購買行動などを分析し、ターゲット市場のニーズや嗜好を理解します。
開業の場合は、潜在する顧客の中から中央値となる「ペルソナ」を設定します。
ペルソナ設定
顧客の属性や行動パターン、ニーズを具体的に理解するために作成される架空のキャラクターです。マーケティングにおいてペルソナを設定すると、より顧客目線に立った施策の立案につながります。
デモグラフィックデータの利用
国勢調査データや地域の人口統計データを活用し、ターゲットエリアの人口構成を詳細に把握します。
例えば、若年層が多いエリアでは流行の商品が求められる一方、高齢者が多いエリアではシンプルで使いやすい商品が求められます。
j-stat MAPは国税調査結果などをもとに、誰でも無料でレポートを入手できるツールです。
調査のとっかかりとしては最適です。
2. 競合分析
競合店舗の立地と戦略の把握
競合他社の店舗がどこに位置しているかを確認し、そのエリアでの成功要因や失敗要因を分析します。
これにより、自社の立地戦略や差別化ポイントを明確にします。
開業前にポジショニングマップの作製は非常に有効です。

競合商品のラインナップと価格設定
競合商品の種類や価格設定を調査し、自社商品との競争力を評価します。また、競合他社のマーケティング戦略やプロモーション活動も観察し、ベンチマーキングの参考にします。
ベンチマーク
『自社が目指すべき競合他社』という意味合いで使われます
3. 経済環境と市場トレンドの把握
経済指標の分析
ターゲットエリアの経済状況を把握するために、失業率、平均所得、消費者信頼感指数などの経済指標を分析します。
これにより、地域の購買力や市場の安定性を評価できます。
このレベルの調査レポートを入手するには有料の調査アプリが必要となります。
開業時には、解約条件などを調べたうえで物件が決まるまでの限定期間でアプリ課金するのもいいかもしれません。
市場トレンドの予測
最新の市場トレンドや消費者行動の変化を常にモニタリングし、未来の需要を予測します。
例えば、エコ製品やサステナブル商品が注目されている場合、その分野に力を入れることで市場のニーズに応えることができます。
しかし、消費行動が急速に伸びている場合は一過性バブル効果の場合もありませすので、より大きな都市、東京や大阪などの動向を調査するのも指標になります。
地方であれば最も近い政令指定都市の動向を参考にしてみるのもいいでしょう。
4. 交通アクセスとインフラの評価
交通の便の良さ
ターゲットエリアへのアクセスのしやすさを評価します。
主要な道路、公共交通機関の利用状況、駐車場の有無などが重要です。
交通の便が良い場所は集客力が高まりやすいです。
開業前では、実際に店舗の前に行きカウントするのは昔から最も有効な手段であることは間違いありません。
その際にアクセス以外にも近隣動向は特殊性も発見できることが多いです。
ポイントとしては「平日と週末」に分け、「営業する範囲を時間帯」で分けるのが基本です。
つまり根気が必要ですが、ここでの努力は後の事業に直接良い影響がでます。
5. 法規制と行政サポートの確認
地域の規制と許可
商圏エリアの土地利用規制や営業許可条件を確認し、法令遵守のための準備を行います。
特に、新規開業の場合は事前に必要な許可や認可を取得することが重要です。
地図上から必ず調べるようにしましょう。
景観計画地区、防火地域、準防火地域、条例、でもファサードだけでなく、内装設備に求められる施工スペックが大幅に異なる場合や、そもそも実現が出来ないのに物件契約してしまったらそれで終了です。
事前に調べるだけで回避できます。
参考:札幌市の都市計画マップ
行政からの支援
地域の行政機関から提供される支援策や助成金についても調査します。
新規開業者に対するインセンティブや補助金制度を活用することで、初期コストを抑えることが可能です。
これらのポイントをしっかりと押さえた商圏調査を行うことで、ターゲットエリアでの成功確率を高めることができます。
大手企業がこれらの要素を慎重に分析し、戦略的な意思決定を行うことで、競争優位性を確立しています。
大手と同様の調査・分析は非常に難しいですが、認知度やブランド力を持っている大手ですら高雅な費用をかけ、徹底的に分析と調査をすることを考えると、事前にできることは最大限の努力をするのは非常に重要です。
さらにいうと、その判断力や行動力がある方は、お店を継続させやすく、予期せぬ事態にも対応や行動ができるといえるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。