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開業ノウハウ|【居抜き物件】の落とし穴<設備>
物件選びをする際、[居抜き物件]の方が安く・早く出店できると考えている方も多いと思います。
結論をいいますとケースバイケースです。
ピッタリハマれば多くのメリットがある[居抜き物件]です。
【変更箇所が少ない=設備や内装工事が少ない】
となれば当然、安く・早く出店できます。
しかし、実際にはピッタリハマるケースは少ないといえるでしょう。
また、ピッタリハマること事体が落とし穴となるケースがあります。
実際に弊社で施工したケースに沿って説明します。
(今回紹介するのは弊社とコンタクトをとる前に物件契約が締結されているケース)
|設備スペックを上げなくてはならない
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居酒屋から居酒屋
6年ほど営業した居酒屋の営業中に譲渡、居抜き物件を取得したケースです。
厨房機器から食器まで、以前の店舗で使用していたものをそのまま活用できるので譲渡金150万ほどで物件契約。
追加した設備機器は[小型のスチームコンベクション]のみで、中古の良品がみつかり開業に向け準備を始めていました。
厨房屋さんが物件下見をした際に『やな予感』がして弊社に連絡があり、お客様とお会いしました。
物件は繁華街にある7階建てのコンクリート造。
『やな予感』の内容
◇ビルの供給電力が限界(電気式のスチームコンベクション導入不可)
◇ガス工事を追加しガス式に変更(北海道ガス(北ガス)の追加工事)
◇スチームコンベクションの導入で、排気ダクトの拡張
◇排気ダクトの拡張で、排気ファンの能力アップ
これにより100万以上、想定外の出費が発生しました。
とくに北ガスの工事費が半額近くになり、ガス工事の申し込みから完了するまで2ヶ月かかりました。
|ビルがテナントに供給できる電力の限界
テナントでは2種類の電気契約があります。
⑴ビルが北海道電力(北電)と契約し、テナントは管理会社へ電気代を支払う
この場合は、ビルと北電の間で容量が決められ割り振りします。
簡単にいうと早いもの勝ちなので追加電力に限りがあります。
ビル側と供給量の追加を交渉しましたが希望は通らなかったため、電気式のスチームコンベクションを導入できませんでした。
⑵各テナントが北電とそれぞれ契約し、直接北電へ電気代を支払う
この場合の供給量の追加は北電にします。
必要に応じて対応してくれますが、増量する電力に電線が耐えられない場合、供給するすべての電線を入れ替えなければなりません。
[幹線入れ替え工事]といいます。
状況によっては建物外の電柱から建物にわたっている線や、メーター類も変更しなくてはならず建物外の工事に費用負担は発生しませんが、業者が申請してから数か月(状況により変動)の期間の設定がされるます。
当然、開業時期に直接影響がでるだけでなく、家賃負担や雇用の確保など、さまざまな問題が同時に発生します。
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美容室から美容室
こちらのケースではレイアウトを効率良くすることでセット面を増やしたいという要望に加え、スチームブラシの導入を[お店のウリ]にしたいでした。
セット面が増える=スタイリストが増える(ドライヤーの数が増える)
ドライヤーは電子レンジやIH機器と同様に消費電力が大きく、専用のブレーカーを設置し配線経路は専用にする必要があります。
そこにスチームブラシの容量を加えると、先ほどの居酒屋のケースと同様に供給電力の不足となりました。
美容室においてセット面の数は、長期的な事業の展望に大きく影響がでます。
ゆくゆく複数店舗の展開には[スタイリストを育てられる環境]が必須です。
シャンプー台の数は予約時間のコントロールで工夫が可能ですが、複数のスタイリストが同時にカットできる環境がなければスタイリストを育てるハードルはあがります。
この時もビルから供給量の増加は許可されなかったため、暖房機器の熱源(灯油の導入)など、テナント全体の設備機器を見直し要望を叶えました。
しかし、
◇まだ使えるエアコンの入れ替え
◇灯油ストーブ導入(灯油タンクや配管の新設、排気経路の確保と新設)
を行うこととなり、
物件契約時に想定していなかった80万ほどの出費が発生しました。
融資サポートを弊社が行えたので出費を踏まえても、充分な運転資金を確保できました。
そして長期的な事業の戦略としてセット面の増設、差別化[ウリ]としてのスチームブラシも無事導入できました。
|業者は10分で判断できる
居酒屋のケースでは厨房屋さんがビルの前に立ったときに『やな予感』がしたそうです。
そしてテナントに入るとすぐに分電盤(ブレーカー)を見て、排気ダクトの寸法を測りました。
厨房屋さんも電気のプロではないので弊社に相談という流れでした。
美容室のケースも同様に、すぐに分電盤の確認。冷暖房設備の種類を確認しました。
いずれのケースも慣れている業者は、10分もあればその場でわかることでした。
不動産屋さんも建物のプロではありますが、正確には中立な媒介で契約を行うプロです。
弊社の印象では「建物に詳しい不動産屋さんほど自分で判断せず、弊社に早い段階で相談」をくれます。
開業そのものに影響がでることを知っていいるからこそ、曖昧なまま進めないからだではないでしょうか。
しかし、お客様の知人・友人など業者が決まっている場合は、不動産屋さんも事前下見を促すことしかできないこともあるそうです。
慣れている業者にとってはアルアルな話も、見落としてしまうと思わぬ落とし穴になってしまいます。
物件契約はスピードがもとめられることが多いです。
それを上回る素早さで各種専門家の意見や見解を集めるのがいいでしょう。
ちなみに私は建物や工事の専門家ですが、料理はカラッキシです。
メニュー表の作り方は話しますが調理や仕込みのことは教えてもらってばかりです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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