開業ノウハウ|飲食店はステージ:スタッフは俳優として働く
私は飲食店を訪れるたびに、そこはまるで劇場のように感じることがあります。
スタッフ一人ひとりが舞台の上で役割を演じているのです。
今回は、飲食店を「ステージ」として捉え、スタッフが「俳優」として働く事例を紹介しながら、その魅力を掘り下げます。
残念なことに、今回紹介するお店はいずれも世界的に有名なのですが、私は行ったことはありませんので、先輩達から聞いた記憶をもとに再度調べた内容になります。
1. 演出されたサービス
レストラン・ガイ・サヴォア(フランス)
フランスのミシュラン三つ星レストラン、ガイ・サヴォアでは、ウェイターはまるで舞台俳優のように、ゲストを迎え入れるそうです。
彼らは、料理を運ぶだけでなく、料理の背景やシェフの哲学を語り、ゲストの興味を引きます。
まるで観客に物語を届けるような接客スタイルは、食事を芸術の一部にします。
2. テーマパークのような体験
古城の国のアリス(日本)
東京池袋にある古城の国のアリスでは、スタッフは「不思議の国のアリス」のキャラクターに扮しています。
お客様は入店するだけで物語の世界に引き込まれ、スタッフはその世界観を保ち続けます。
衣装や台詞、演技を通じて、まるで物語の一部になったような体験ができるとのことです。
3. 即興劇の舞台
ダイアログ・イン・ザ・ダーク(ドイツ発祥)
ドイツが発祥の「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」では、客は完全に暗闇の中で食事をします。
1988年にドイツの哲学者 アンドレアス・ハイネッケ氏によって発案され、これまで世界約50カ国で開催。延べ800万人以上が体験した世界的なムーブメントとなっています。
視覚を奪われた状況下で、ウェイターは声や音を使ってゲストを案内し、安心感を提供します。
このシチュエーションは、即興劇のように、スタッフがその場でゲストとの関係を築く独特な体験を生み出すそうです。
これは実際の経験をしないと想像もできない「ここにしかない空間」は説明できませんね。
今回は、世界的に有名な店舗を紹介しましたが、上記3店舗のような完成された世界観までいかないにしても、瞬間瞬間で「非日常」を感じる演出は、飲食店にとって非常に大切な要素です。
飲食店を舞台と捉え、スタッフが俳優のように働くことで、料理は単なる食事ではなく、感動的な物語に変わります。
このアプローチは、単に料理を提供するだけでなく、忘れられない体験を提供する力を持っています。
俳優と自覚することでプロとして、仕事に対する気持ちの切り替えにもなるでしょう。
お店の数だけ舞台があると考えると、お気に入りの「劇場」を探す楽しみが増えるのではないでしょうか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。