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失われた30年と世襲総理大臣

9月27日に自民党総裁選が行われる。実質的に次の内閣総理大臣が決まるこの選挙だが、どの候補者も裏金問題などの反省や改善策を提示しないことは一致しており、根本的な政治改革を望めそうにはない。

そして、総裁選候補者の顔ぶれを見て注目を浴びたのは世襲議員の多さだ。今回の候補者の世襲議員の割合は5割を超え、現時点で党員への世論調査で上位TOP3の小泉、石破、高市のうち2人は世襲議員であり、次の総理大臣が世襲議員になる確率は極めて高い。

表1. 自民党総裁選候補者一覧

日本は世襲議員が他国と比較して多いことは指摘されているが、とりわけ総理大臣の世襲議員の割合は異常だ。

過去30年の歴代総理大臣を調べると、表2のように7割が世襲議員であることが分かる。さらに、自民党に限って言えば菅義偉を除き全てが世襲議員だ。

表2. 過去30年間の歴代総理大臣一覧 (黄色は自民党)

世襲議員が全て悪いとは言わないが、彼らは「地盤 (組織力)・看板 (知名度)・鞄 (資金力)」を生まれ持っているため圧倒的に選挙が強い。

ただ、その優位性を生かして政治をよい方向へ導いているかと言われれば、日本の長期低迷がその答えだろう。その政策の中心にいたのが世襲総理であることは間違いない。

まずは政治家の家庭に生まれなければ、総理大臣になれない国は民主主義国家と呼べるだろうか。庶民感覚から程遠い、生まれながらにして裕福な家庭に育った人物が我々の代表であるはずがない。

政治家の改革がなくては、この国の全てに共通する縁故主義はなくならないし、新しいイノベーションが生まれることもなく衰退する。

現在進行形で衰退しているこの国を次の総理はどのように導くのか。総裁選の次は衆議院解散が控えており、今後の日本の行く末を占う重要な局面となっている。



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