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父が異能力者になった話 その1

去年の夏ごろから今までずっと転勤で家にいなかった父が年齢ということもあって仕事をやめてずっと家にいることになった。ゴールデンウィークや盆休みに帰ってくるくらいでもう何十年も家にはいなかったのだが、それがなんでかわからないけどずっといる・・。それから半年くらいボーッと家にいてテレビや自分のスマホなんかを見てた訳なのだけども

あるとき・・・

「てーへんだ!てーへんだ!」

目が充血したのどーのこーので病院に行ってたはずが、突然泡食って帰ってきた。
話によると今から入院道具をもって大型の病院へ行って入院するとのこと。

( ゚д゚)ポカーン
え??そんな元気なのに???なんかあったん?

詳しく聞くと血液検査をしてみたら尋常じゃないくらいの貧血が見られて医者もびっくり仰天し、
大型の病院で精密検査を今すぐしたほうがいい、ひょっとしたらそのまま入院になるかもしれない。
と言われたそうで・・・はっきりとはいわなかったが血の病気の可能性があるとも・・・・

貧血で血の病気???・・・・いや、もうそれアレじゃん・・・
それにあてはまる代表的な病気って、ほぼアレしかないじゃん・・・・
頭の中に一瞬でその病名が浮かんだけどそれを言うと本人が不安がるかもしれないので病名は言わずに今現在仕事をしていない自分が一緒についていくことに・・・・

病院に着いた早々身長体重、血液検査、MRIとありとあらゆる検査をしてトータルで2時間くらいかかったような気がするけどそれより長くかかったような気がする・・・けど詳しいことはあんまし覚えてない。

「検査どうだった?」
「普通に終わった」
(え?そんだけ??)
「・・いや、どんなのやったん?」
「ん、普通」
「・・・・・普通・・・」

検査の感想はそれで終わりその日は入院せずにそのまま帰宅。
結果がわかるのは一週間後(なが・・・)ということで、一週間ヤキモキしながら今まで通りの生活を送ってた訳だけど夜熱が出るようになってなんだか生きてるだけで疲労困憊になってきた印象・・・。

いざ一週間後に結果を聞きにいくとやはり白血病の疑いがあり、貧血が大分進行してるということでそのまま入院。

「入院の手続きをするために一階にある入院窓口の方へ行って手続きをしてください」
「今手が離せないからあんた行って」

母の命により一階まで降りて手続きをしに行く。

「医療限度額を決めるために入院される方の年収を知りたいのですが・・・」
と受付の女の人が訪ねる。
(え・・・・そんなの知らん)
「え~と、ちょっとわからないんですけど・・・あとでも大丈夫ですか?」
「いえ・・それがわからないと入院の手続きができないので・・・だいたいいくらぐらいかでもわかりませんか?」
「いや、わかんないです」
「あ~・・・では市役所に電話して聞くことも出来るのですが入院患者のマイナンバーとかわかりますか?」
「いや、わかんないです」
「生年月日は?」
「いや、知らんです。性別は男です」
「あ~・・・・」
これでは埒があかないと思った受付の女性。
無理矢理限度額の紙を見せて一番上の項目をやたら勧めてくるのでよくわかんないから
「それでお願いします」と答え、受付の女性はホッとして「ではそれで進めておきますね」といって次の手続きに移った。

これがいかんかった・・・・後に恐怖の請求書が送られてくるのだけどそれはおいおい・・・。

その後、入院して点滴やら検査やらいろんなものをやってもこれといった効果がなく、いったん退院することになってPETまでやって今度こそ病名がわかるだろう・・・と思ってたのだけど主治医の先生は首を捻るばかり。。

え~~~、ここまでやったのにわかんないことってあるの~~??

その間、何度も何度も呼び出され説明もされたけど、結局決定的な診断はつかず主治医から血液内科の違う先生を紹介された・・・。
「ここまで調べ尽くしたのに診断がつかずすいません」
そうやって医者に謝られ、次の日は違う血液内科の先生に会う予約を取った。
この頃には友好な治療法が見つからず父は夜になると毎日のように37度以上の熱が上がるようになり(昼は平熱に戻る)極度の貧血で頭もまわらずヘロヘロ状態。

そして別の日、血液内科の先生とご対面。
「今日はどうされたんですか?」
「ああ・・えっと、前こちらの病院で入院してて」
「あなたには聞いてないです。こちらに聞いてます」
ぴしゃりと言い捨ててこちらの受け答えを遮る。
(はい??いや、だってもうヘロヘロで頭が回ってない父の代わりに答えたんですけども・・・)
そこをぐっとこらえ、受け答えが全く出来てない父と医者のやりとりを見てる。。

(それにしてもなんか始終イライラしてる医者だな・・・この医者大丈夫なんか?)
父に質問してるわりには父の受け答えを遮って自分の言いたいことばっか喋ってるし・・・
大分黙って聞いてたけれどなんかこのままだと流されそうだなと思って「以前担当していた医者が次は骨髄穿刺してやれば何かわかるかもしれないとの事で・・・」といったら医者が突然ブチギレモードになり(はじめっからなんかブチ切れてたけど)「それは!貴方が決めることではありません!」とかすごい剣幕で怒られて(いや、前の主治医の先生がそう言ってたんじゃ!自分が決めたことじゃないわ!)とか言い返してやろうかと思ったけど我慢して終始険悪モード。

もうココの段階でこの医者に対しての印象は最悪だったしこれからこの先生がかかりつけになって毎日見てもらうにはちょっとさすがにいやだ、と考えてた矢先

「私はアナタの前の主治医ではまた最初からまずは血液検査、体重、体の検査をまんべんなく調べることをします、それでもよろしいならこのまま診察を続けます」

プチッ・・・・・

頭の中で何かが切れた。

「それってまた最初からやり直しってことですか?」
「ですから今の話聞いてましたか?私は前の主治医ではないので・・・」
「そんなの引継ぎでカルテみればわかるでしょーが!?今まで散々やってきたんですよ!MRIもPETもCTスキャンも!血液検査だって今日ここに来るまでなんっかいも調べました!それでまた最初から調べ直しってどうゆうことですか!?」

この一言で医者も今まで溜まってた鬱憤を晴らすかのごとくプチンと切れて
バトルモード全開でしばらく医者と言い合いの喧嘩に突入。
実はここまで来るのに半月くらいかかっててありとあらゆる検査を全部やり終えてこの医者に来たのだ。

それを脇目に意識朦朧の父。

「じゃあそれでいいです、もう診察しないならここから出てください!」
その一言で診察室から出てく自分と父。

(なんなんだあの医者!)もう腹が立って腹がたって仕方がなかったのだが、少し時間がたって冷静になると

(でも血液内科の先生は二人しかいなくて一人は長期休養に入って実質あの医者しかいないって言ってたしな・・・こんな大きい病院もそう何個もあるわけじゃないし・・・・このまま診てもらえなかったら先の治療に進まない・・・・でもあの医者とは金輪際会いたくない)

そうウダウダ考えてたらすぐさま別の診察室に呼ばれ、そこには前の主治医がいた。
「経緯は聞きました・・・・なんか初対面でこんな喧嘩別れのような状態になってしまってこっちもびっくりで・・・」
「あー・・・・自分もまさかこうなるとは・・・なんかすいません・・・・」
「いえいえ!こちらこそすいません!」
別にこの人が謝ることじゃないのだけど何とかまたあの医者に話をつけて診察してもらえるようにします。とのことで、その間また待合室で待ってて5分後・・・・

「わあ(私)にこれ以上働けってかあ!!」
その医者の診察室の扉からこちらの方まで聞こえるくらいの怒号

どうやら医者同士でやりとりしてる小さな電話で話してるみたいだ

「1人で30人も見てんだぞ!30人!この上これ以上患者診ろって!?バカじゃねえのかぁぁ!!!」

バンッ!

時折、机でも叩いてるのか何度かバンバンという音が・・・・

診察室の扉は結構普通に頑丈な扉なのに、それを貫いて待合室にまで響き渡る怒号。。
周りの人たちを見ると絶対聞こえてるはずなのに皆黙って下を俯いている・・・・。

(え?え?ひょっとして聞こえてるの自分だけ??)

不安になって隣にいる父に耳打ちをする。
「ねえ・・・あの医者の診察室から怒鳴り声が聞こえてくんだけど・・・聞こえてる?」

こっくりと頷く父。

ああ・・・なんだ。聞こえてるの自分だけじゃなかったわ。

その後さらに続けて聞いた。

「あのさ、あの医者にこれからも診察してもらいたい?」

ゆっくりとかぶりを振る父。

ーーーーーですよね。。。。

その後、結局その医者と対面することはなく、また前の主治医の元に行って地獄の底から生還してきたようなやつれきった顔で、違う病院の医者に診てもらった方がいいと勧めてきた。

その前に母に電話してことの経緯を伝えていたのだが母からも一言。

「そんな医者とはこっちから縁を切りなさい」

病院で怒鳴り散らす時点でもうおかしいし、そんな医者に診てもらっても謝った診察をしかねないから早めにそこから切り上げて来い、とのこと。

らじゃー。

そして早々と紹介状と次に行く病院の予約を取り、その病院を後にした。

余談だがその後、イライラした人やせっぱつまった人をみると「○○(医者の名前)先生みたいになるぞ!」が個人的にマイブームになった・・・・・


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