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BtoBウェブサイト【ペルソナ設定】パーフェクトガイド

※ この記事は、弊社コンサルタントの中田が「CONTENT MARKETING LAB(コンテンツマーケティングラボ)」に連載させていただいた記事をベースに執筆させていただきました。

この記事の目的

この記事の目的はBtoBウェブサイトの「ペルソナ」と「カスタマー ジャーニー マップ」の設定方法を徹底的に解説することです。「ペルソナ」設定は「カスタマー ジャーニー マップ」の設定とセットで行わなければ有効活用できないことが多いため、この記事では、「ペルソナ」と「カスタマー ジャーニー マップ」の設定を連続して解説させていただきます。

ただし、「ペルソナ」と「カスタマー ジャーニー マップ」を設定するだけだと、「それらを、どう活用するか」があやふやになってしまう可能性があります。今回ご紹介する方法で、「カスタマー ジャーニー マップ」から「KPI」までを一気通貫に設定すれば、「なぜ、このKPIを使うのか」が「カスタマー ジャーニー マップ」とセットで確認できるので、「ペルソナ」と「カスタマー ジャーニー マップ」が宝の持ち腐れになってしまう可能性は低くなります。

【ステップ1】「ペルソナ設定から始まるPDCAサイクルの全体像」の把握

まずは「BtoBウェブサイトの改善」のPDCAサイクルの全体像の把握から始めましょう。この記事で解説するのは下記の図の【1】「ペルソナ設定」~【5】「KPI設定」の範囲です。「ペルソナ設定」から始まって「KPI設定」に至る流れを詳細に説明することが、この記事の目的です。

図33

図1:  BtoBサイト改善のPDCAサイクル 「ペルソナ設定」から始まるサイクルの全体像

【ステップ2】BtoBサイトの「ペルソナ設定」を知る

BtoBサイトのPDCAサイクルを回すために大切なことは、ターゲットとなるユーザー像を明確にすることです。ウェブマーケティングの施策を行う上で、「誰に対する施策なのか」を明確することが重要です。

【図1】の「【1】ペルソナ設定」を行うことで、
・ユーザーが抱えている課題
・その解決策としてのコンテンツ
・コンテンツを見てもらうための手法や切り口

がイメージしやすくなります。

「【1】ペルソナ設定」によって生み出されるイメージをウェブマーケティング・チーム内で共有することで、その後のPDCAサイクルの“手戻り”を少なくすることができます。複数のメンバーが関わるPDCAサイクル運用の現場では、ペルソナは「共通認識」を持つために欠かせないものなのです

たとえば「キャラクター・デザイン」が終わらなければ、アニメの「原画」を描く作業に取り掛かることができないのと同様に、「ペルソナ設定」が終わらなければ、PDCAサイクルの運用を進めることはできないはずなのです。

BtoBウェブサイトのペルソナの設定方法

BtoBウェブサイトのペルソナの設定を行う場合、ポイントは「購買の意思決定に関わる人は一人ではない」という点です。一定規模以上の法人では、購買プロセスを次のステップに進めていくための意思決定に、少なくと4~5人が関わっている場合が多いのです。

図46

図2:  見込み客企業の簡易組織図の例
「リモートワーク対応 勤怠管理システム」導入 組織内意思決定フロー・関係者構成図 

たとえば「リモートワーク対応 勤怠管理システム」の導入を検討する場合、複数の部署・階層の社員が関与することになります。このことから、BtoCの場合のような、一人のペルソナの「カスタマー ジャーニー マップ」に基づいたウェブマーケティング施策だと不十分であるため、下記の【図3】に示したような手順が必要になります。順を追って解説します。

図34

図3:  BtoBウェブサイトの「ペルソナ」「カスタマー ジャーニー マップ」等の設定手順

【ステップ3】 ファーモグラフィックス(Firmographics)の作成

購買担当者のペルソナを設定する前に、対象のペルソナが所属する企業について情報整理を行います。

具体的には、どういう企業が自社の収益源になってくれているのかを改めて確認するために「収益源上位の顧客企業のファーモグラフィックス(Firmographics)」を作成します。BtoCビジネスではユーザーの属性情報を「デモグラフィックス(demographics)」と呼びますが、BtoBビジネスではターゲットとなる企業の属性情報を「ファーモグラフィックス(Firmographics)」と呼びます。

「ファーモグラフィックス」では、まず自社の収益源上位20%の顧客企業を洗い出します。

図6

図4:  自社の収益源上位20%の顧客企業を洗い出す

次に、洗い出した上位20%の顧客企業について、「事業規模」「業態・商品」「課題」「キーマン・購買関与者」などで分類していきます。これで「ファーモグラフィックス」が完成しました。

図7

図5:  「ファーモグラフィックス(Firmographics)」(出所:【実践解析特集vol.4】BtoBの「ペルソナ」と「カスタマージャーニーマップ」設定 | CONTENT MARKETING LAB

【ステップ4】 購買関係者一覧の作成

BtoBビジネスにおいては、購買プロセスを次のステップに進めるのに、様々な部署や階層の人物が関わることになります。そこで提案したいのが、

・メインの窓口としてコンタクトを取ってくれる人物を「キーパーソン」に設定する。

・「キーパーソン」が「キーパーソンを取り巻く関係者」との円滑なコミュニケーションを進めることができるように支援する。

という方向性です。

購買プロセスを次のステップに進めるのに、様々な部署や階層の人物が関わるからと言って、関係者全員のペルソナを設定することは現実的ではありません。ペルソナが複数ある場合、それぞれに対して別々の「カスタマー ジャーニー マップ」を設定することになります。全ての「ペルソナ設定」と「カスタマー ジャーニー マップ設定」ができたとしても、今度はそれを現場で使いこなせないということにもなりかねません。そこで上記のような「キーパーソン」「キーパーソンを取り巻く関係者」という形で、状況を単純化して考えられるようにすることが有効です。

ここからはBtoBペルソナ設定の具体例を解説します。

【事例商材】
ヒートマップ解析ツール(ウェブサイトのどの部分が熟読されたのか等が分かるウェブ解析ツールの一種)

【見込み客企業の設定例】
ウェブマーケティングに力を入れているスマホアプリ受託開発の「〇〇〇アプリ開発株式会社」。
自社のウェブサイトにヒートマップ解析ツールの導入を検討中。

企業のイメージは下記の通りです。「自社の見込み客の平均的なイメージ」を1社のイメージとしてまとめて作成します。

図9

図6:  複数の見込み客企業のイメージを統合して作った、仮想の企業イメージ

【図6】の企業で、メインの窓口としてコンタクトを取ってくれる人物(=「キーパーソン」)以外で、どのようなペルソナ(=「キーパーソンを取り巻く関係者」)が関わり、どのような「情報ニーズ」を持っているかを具体的に想定します。

ここから、購買関係者一覧の作成に入ります。上記の企業で、ツール導入に関係しているのは下記の5人です。

図8

図7: 関係者一覧のイメージ  

上記の1行目に挙げてある五反田さんが、メインの窓口としてコンタクトを取ってくれる人物「キーパーソン」です。BtoBウェブサイトが果たすべき役割は大きく分けて2つあります。

役割1:「キーパーソン」が必要とする情報を提供する。

役割2:「キーパーソン」が「キーパーソンを取り巻く購買関係者」とのコミュニケーションを円滑に進めることができるように、支援する。

なお、【図7】の「関係者一覧」は、これまでの営業活動やマーケティング活動から得られた情報を最大限に活用して作成します。見込み客の企業内部の情報ですから、必要な情報が全部揃うことはなかなかありません。しかし、情報は不十分でも整理すれば“たたき台”にはなります。完璧を求めずに、とにかく手に入る情報を最大限に活用して「関係者一覧」を作成することをおすすめします。

【ステップ5】 キーパーソンのペルソナ設定

ここからは「キーパーソン」のペルソナを設定します。「キーパーソンがどういう人か」をマーケティングチーム全員がイメージできるように設定します。

図10

図8: キーパーソンペルソナのイメージ 

また、上記のキーパーソンが、後述する「カスタマー ジャーニー マップ」の各プロセスにおいて、どんな情報が必要になるかも、下記の図のように整理しておく必要があります。

図11

図9: キーパーソンペルソナの「情報ニーズ」

【ステップ6】 購買関係者からキーパーソンへの想定質問整理

【図7】「導入関係者一覧」で見た五反田さん(キーパーソン)以外の4人の購買関係者たちは、導入を検討するプロセスにおいて、キーパーソンに色々質問を投げ掛けてきます。キーパーソンがこれらの質問にうまく答えられないと、導入が進まない可能性が高くなります。

既に「見込み客側のキーパーソン」と「売り手側の営業担当者」がコミュニケーションを取れる関係にあれば、営業担当者が「キーパーソン」を支援できます。しかし、そうした関係を築く前の段階では、「キーパーソン」を十分に支援することができません。

その場合は、ウェブコンテンツが「キーパーソン」を支援する役割を担うことになります。このように考えると、「キーパーソンが社内の関係者に何を質問される可能性があるのか」をできる限り具体的に細かく想定しておくことは、受注の可能性を左右する重要な作業であると位置づけられます。

次の表は、キーパーソンが社内関係者から受けるであろう想定質問を整理した例です。

図12

図10: 関係者からキーパーソンへの想定質問整理イメージ

【ステップ7】 キーパーソンの「カスタマー ジャーニー マップ」設定

【ステップ6】までで説明した「ペルソナ」設定を行うことで、「誰に」が明確になります。

設定した「ペルソナ」に従って「カスタマー ジャーニー マップ」設定を行うことで、どのような順序でコンテンツを利用してもらったらよいかを明確にできます。

4段階の購買プロセス(「認知」「情報収集」「比較検討」「購入」)それぞれに対して、下記の表にある「状況」「マインド」「情報ニーズ」「行動」の4つの要素を整理しながらマッピングします。

図13

図11: 「カスタマー ジャーニー マップ」の要素

「カスタマー ジャーニー マップ」は、下記のようなフォーマットになります。横軸が、
購買プロセス=「認知」「情報収集」「比較検討」「購入」
縦軸が【図11】で見た、
要素=「状況」「マインド」「情報ニーズ」「行動」
です。

図38

図12: 「カスタマー ジャーニー マップ」のフォーマット

【ステップ8】 「カスタマー ジャーニー マップ」の「状況」「マインド」「情報ニーズ」「行動」を設定

【図11】にあるように、「状況」は「ペルソナが各段階で置かれている状況」を記述します。実際に「状況」の行を記述すると、下記のようになります。

図44

図13: 「カスタマー ジャーニー マップ」に「状況」の行を追加

【図11】にあるように「マインド」は、「ペルソナの心理」を記述します。
「状況」の下に「マインド」を追加すると、下記の図のようになります。

図27

図14: 「カスタマー ジャーニー マップ」に「マインド」の行を追加

【図11】にあるように「情報ニーズ」は、「各プロセスにおいて、ペルソナが必要としている情報」を記述します。
「状況」の下に「情報ニーズ」を追加すると、下記の図のようになります。

図39

図15: 「カスタマー ジャーニー マップ」に「情報ニーズ」の行を追加

【図11】にあるように「行動」は、「各プロセスにおいて、必要な情報を得るために、ペルソナがどういう行動を取るのか」を記述します。

図40

図16: 「カスタマー ジャーニー マップ」に「行動」の行を追加

「カスタマー ジャーニー マップ」に「コンテンツ マップ」「CTA」「KPI」を追加

「カスタマー ジャーニー マップ」を「作って終わり」とならないためには、下記の図にあるように、「カスタマー ジャーニー マップ」に「コンテンツ マップ」「CTA」「KPI」を追加することが必要です。

図41

図17: 「カスタマー ジャーニー マップ」に「コンテンツ マップ」「CTA」「KPI」を追加

【ステップ9】 「カスタマー ジャーニー マップ」の下に「コンテンツ マップ」を追加

「コンテンツ マップ」「コンテンツ」を考えるにあたっては、「カスタマー ジャーニー マップ」「情報ニーズ」を参照しながら進める必要があります。「こういう『情報ニーズ』があるから、こういう『コンテンツ』が必要だ」という形で、「コンテンツ」を設定していきます。

「コンテンツ マップ」の「コンテンツ」と「メディア」の設定例は下記の通りです。

図42

図18: 「コンテンツ マップ」の「コンテンツ」と「メディア」を設定

上記の例では、「メディア」の行は全て「ウェブページ」になっていますが、「ウェブページ」の他にも「動画」「PDF」「note」など様々なメディアの候補があります。

適切な「メディア」「フォーマット」の選定

ユーザーに「コンテンツ」を提供する際には、「コンテンツ」の役割に適した「メディア」と「フォーマット」を選ぶ必要があります。

Smart Insights社による分類を見てみましょう。同社は、コンテンツの役割を4象限に分けて、それぞれの位置づけに適した26項目のメディアやフォーマットを”Content Marketing Matrix”(英語)として紹介しています(注)。

(注)英語Smart-Insights-Content-Marketing-matrix(https://www.smartinsights.com/content-management/content-marketing-strategy/the-content-marketing-matrix-new-infographic/attachment/smart-insights-content-marketing-matrix/

図24

図19: Smart Insights社のコンテンツマトリクス
出所:【実践解析特集vol.2】「カスタマージャーニーマップ」に「コンテンツマップ」を追加する | CONTENT MARKETING LAB(コンテンツマーケティングラボ)(https://contentmarketinglab.jp/application-method/content-marketing-analytics-vol2/


CTAとKPIを設定

ここまでのところで、「カスタマージャーニーマップ」の下に「コンテンツマップ」を設定しました。ここから先には、あと2つのステップがあります。「CTA」設定と「KPI」設定です。

これから設定する「CTA」「KPI」の定義を確認しておきます。

■「CTA」とは

「CTA(Call to Action)」とは、ユーザーにしてもらいたいアクションを呼びかける要素です。たとえば、「無料会員登録をしてもらう」「お試しサンプルを購入してもらう」というようなアクションを呼びかける要素です。「カスタマー ジャーニー マップ」「次の段階へ進んでもらうためのアクション」「CTA」です。「CTA」は「今いるプロセス」から「次のプロセス」へユーザーを遷移させる役割を担います。

「KPI」とは

「KGI(重要目標達成指標)」は「月間売上30%アップ」といった最終的なビジネスゴールの達成指標です。一方で「KPI(重要評価指標)」は「会員登録フォームへの到達率」など、KGI達成に向かって各プロセスが最適化されているかを評価するために設定される指標です。ウェブ マーケティングでは、見込み客が「カスタマー ジャーニー マップ」上を意図した通りに遷移しているかどうかが重要ですから、この記事では「カスタマー ジャーニー マップ」のプロセス間に設定される「CTA」を計測可能な指標にしたものを「KPI」として設定することを提案します。

「CTA」と「KPI」の関係を図で表すと、下記のようになります。

図37

図20: 「CTA」と「KPI」の関係

「カスタマー ジャーニー マップ」の「認知」の前の段階にも「広告運用」「SEO施策」「SNS施策」といった集客施策がありますが、この記事では、ユーザーがウェブサイトに入ってきてからの行動を対象とさせていただきます。

ここからは、「カスタマー ジャーニー マップ」「コンテンツマップ」に対して、CTAとKPIをどう設定したらよいかを、「認知」⇒「情報収集」⇒「比較検討」⇒「購入」のプロセスに沿って見ていきます。

【ステップ10】 「認知」プロセスの「CTA」と「KPI」を設定

図17

図21: 「認知」プロセスで「目的別 ヒートマップツールの選び方」を見せたい場合

前出の「コンテンツマップ」を検討した際に、「認知」プロセスにおける「情報ニーズ」は、
「ヒートマップツールが気になっているが、具体的にどういう目的で使ったらいいか分からない」
だったとします。これに対応するコンテンツとして【図21】の「目的別 ヒートマップツールの選び方」を用意しました。この場合、「CTA」「KPI」は下記のような設定が考えられます。

「CTA」 =
 「目的別 ヒートマップツールの選び方」への導線

「KPI」 = 
 (1) 上記「CTA」のCTR(注1)
 (2) 上記「CTA」の遷移先「目的別 ヒートマップツールの選び方」の
  ・平均滞在時間
  ・離脱率
  ・読了率(注2)

(注1)CTR(クリック スルー レート):「導線のリンクがクリックされた回数」÷「導線が掲載されているウェブページのページビュー数」
(注2)読了率:対象ページを閲覧したユーザーのうち、本文最後まで閲覧したユーザーの割合。これが高ければ、最後までしっかり読んだユーザーの割合が高いことになる。多くのヒートマップツールで計測可能だが、ヒートマップツールが導入できない場合でも、Google アナリティクスのイベントトラッキングで計測可能。

【ステップ11】 「情報収集」プロセスの「CTA」と「KPI」を設定

前出の「コンテンツマップ」を検討した際に、「情報収集」プロセスにおける「情報ニーズ」
・「ヒートマップツールはどうやって選んだらよいのだろう」
・「ヒートマップツール導入に際しての社内からの質問にも回答しなくてはならない」
というものでした。これらの「情報ニーズ」に対しては、次のコンテンツを用意します。
・「後悔しないヒートマップツール選びチェックリスト」
・「導入前FAQ」
「導入前FAQ」の内容が充実していれば、「導入に際しての社内からの質問にも回答しなくてはならない」という「情報ニーズ」にも対応できるはずです。

「後悔しないヒートマップツール選びチェックリスト」については、「CTA」「KPI」は下記のような設定が考えられます。

図18

図22: 「情報収集」プロセスで「導入後に後悔しないヒートマップツール選びチェックリスト」を見せたい場合

「CTA」 = 「導入後に後悔しないヒートマップツール選びチェックリスト」への導線

「KPI」 = 
 (1) 上記「CTA」CTR
 (2) 上記「CTA」の遷移先「導入後に後悔しないヒートマップツール選びチェックリスト」の
  ・平均滞在時間
  ・離脱率
  ・読了率

「導入前FAQ」については、「CTA」「KPI」は下記のような設定が考えられます。

図19

図23: 「情報収集」プロセスで「導入前FAQ」を見せたい場合

「CTA」 = 「導入前FAQ」への導線

「KPI」 = 
 (1) 上記「CTA」のCTR
 (2) 上記「CTA」の遷移先「導入前FAQ」の
  ・平均滞在時間
  ・離脱率
  ・読了率

【ステップ12】 「比較検討」プロセスの「CTA」と「KPI」を設定

前出の「コンテンツマップ」を検討した際に、比較検討プロセスにおける「情報ニーズ」
・「ヒートマップを活用したサイト改善の事例を見たい」
というものでした。これらの「情報ニーズ」に対しては、次のコンテンツを用意します。
・「業種別 ヒートマップを使ったサイト改善事例集」

「業種別 ヒートマップを使ったサイト改善事例集」は、
「改善事例集TOP」
  ┗「業種別TOP」
    ┗「事例詳細」
という階層構造にすると仮定します。

図21

図24: 「比較検討」プロセスで「ヒートマップを使ったサイト改善事例集」を見せたい場合

従って、「CTA」「KPI」は下記のような設定が考えられます。

「CTA」 = 
(1) 「改善事例集TOP」→「業種別TOP」の導線
(2) 「業種別TOP」→「事例詳細」の導線

「KPI」 = 
(1) 「改善事例集TOP」→「業種別TOP」の遷移率(注)
(2) 「業種別TOP」→「事例詳細」の遷移率

(注)遷移率:「遷移元⇒遷移先と遷移したセッション数」÷「遷移元のページ別訪問数」
Google アナリティクスの指標の一つである「ページ別訪問数」は、あるページに何回訪問があったかをカウントする指標です。「訪問」の回数をカウントしますので、1回の訪問で、同じページが2回以上閲覧されたとしても、「1」としかカウントしません。

【ステップ13】 「購入」プロセスの「CTA」と「KPI」を設定

前出の「コンテンツマップ」を検討した際に、購入プロセスにおける「情報ニーズ」
・「設定、操作は難しくないか知りたい」
・「サポートの対応スピードは速いのか知りたい」
というものです。これらの「情報ニーズ」に対しては、次のコンテンツを用意します。
・「操作・設定ガイド」
・「ユーザーサポート ガイド」

図23

図25: 「購入」プロセスで「操作・設定ガイド」「ユーザーサポート ガイド」を見せたい場合

「CTA」「KPI」は下記のような設定が考えられます。

「CTA」 =
(1) 「ユーザーサポート」→「操作・設定ガイド」の導線
(2) 「ユーザーサポート」→「ユーザーサポート ガイド」の導線

「KPI」 = 
(1) 「ユーザーサポート」→「操作・設定ガイド」の遷移率
(2) 「ユーザーサポート」→「ユーザーサポート ガイド」の遷移率

以上の「CTA」と「KPI」を全て設定すると、下記の図のようになります。

図43

図26: 「CTA」と「KPI」を設定した状態

ここまでで、「カスタマー ジャーニー マップ」「コンテンツ マップ」「CTA」「KPI」が設定できたことになります。また、これらを設定する前に「ペルソナ」を設定しました。

おわりに

以上が、「ペルソナ」から「KPI」設定までの一連の流れになります。「ペルソナ」と「カスタマー ジャーニー マップ」を設定するだけだと、「それを、どう活用するか」が現場任せになってしまう可能性があります。今回ご紹介した方法で「カスタマー ジャーニー マップ」から「KPI」までを一気通貫に設定すれば、「なぜこのKPIを設定したのか」が一つの表で確認できるので、「カスタマー ジャーニー マップ」が使われないという可能性は低くなります。

「PDCAサイクルがうまく回っていない」という課題を抱えているBtoBサイトのウェブ担当者は大勢いますが、「そもそもどの部分がうまくいっていないのか」が認識できていないという状況が多く見られます。

サイト改善のPDCAサイクルが回っていないBtoBサイトに共通しているのは、「CTA」と「KPI」の設定がしっかり行われていないことです。「CTA」と「KPI」の設定について、ウェブマーケティング・チーム内で十分な検討が行われないまま、PDCAサイクルを回そうとすると、その後に続く「ウェブ解析」もうまくいかなくなります。

「CTA」がしっかり設定されていないということは、解析ツールによって必要な指標を計測するために求められる設定など(例:Google アナリティクスのイベント トラッキングの設定)が終わっていないことを意味します。また、「KPI」が設定されていないということは、見るべき指標、すなわち、「どの数字がどうなったら、このBtoBサイトのパフォーマンスは良いと言えるのか」があやふやな状態であることを意味します。

改善の前に「ペルソナ」「カスタマー ジャーニー マップ」の設定が欠かせない

弊社にBtoBサイトのウェブ解析のご相談を頂く場合、よく次のようなご相談をいただきます。

「PDCAサイクルがうまく回っていない。すぐにウェブ解析を始めて、成果を出して欲しい」

「すぐにウェブ解析を始めて、成果を出して欲しい」という状況下で弊社が出来ることと言えば、次のようなものです。

Google アナリティクスとヒートマップツールでユーザーの行動を解析してUI改善と導線改善を行い、CVRを少し上げる。

これだけでも多くのお客様は喜んで下さいますが、これは例えるなら、“手術をしないで包帯を巻き直しただけの状態”です。成果を出さなければならないタイムリミットまで、ある程度の時間があるのであれば、弊社では、今回ご紹介したような「ペルソナ設定」から始めさせていただきたいと提案させていただきます。

お客様の中には、「ペルソナが大切なことは分かります。しかし、いま私がお願いしたいのは、すぐにできる改善施策でCVRを上げることです。ペルソナの話を聞かされてもオーバースペックです」と言う方もおられます。「時間がないのですから、過去の知見からうまくいくと分かっている施策を当てはめて、PDCAサイクルを回し始めてください」と言われることもあります。

こういう考え方でPDCAサイクルを回し始めた場合、お客様側は、いつも次のような思いにとらわれることになります。「なにか根本的な課題が、そのまま放置されてしまっているのではないか」という思いです。こういう思いを抱いたままだと、本当の意味でのウェブ マーケティングの成功体験は得られません。BtoBサイトのウェブマーケティングは「ペルソナ設定」から、ということが、この記事でお伝えしたかったことです。

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