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日常と学問の狭間。

(2/2,15:00:あまりにもタイトルと本文が違うので変えました)

こんばんは。
本日は先日読み終えた本の記録です。

実はこの本、高校生のときにも読んだことがあります。
ただ、タイトルを完全に忘れていて、年末本屋でタイトルに惹かれて買ったのですが(ここで中身を見なかったのが敗因)、中身を読んでいるうちに「これ読んだことあるな…」と。

でも久々に読んでも面白かったのでご紹介したいと思います。

日常の不思議を解決します。

今回読んだのは、福岡伸一さんの「遺伝子はダメなあなたを愛してる」です。

日常でふと思い浮かぶ疑問や悩みを、生物学者である福岡さんが、様々な生物学の知識とともに解決したり、しなかったりするお話です。

そうです、これかなりの生物学的知識が出てきます、全ての話に。

初めてこれを読んだ高校生の自分は、確か生物基礎の授業を受けている途中だったし、こういう本よりは小説を読む方が好きだったので、あんまりよく分からず読み進めていた気がします…。

でも、生物を多少学んできた身としては、知っている知識も知らない知識も出てくるので、結構面白い。パンダの進化についてとかあるんですけど面白いですよ。

あと先ほどと言っていることが逆転しますが、多分興味があれば生物の知識が無い人でも読みやすいし、何より分かりやすいと思います。日常生活のあれこれがこんなに生物学につながるのか…!と思える1冊なので導入編としてもいいと思っています。

日常的・生物学的な言葉

自分が特に気に入っているお話は、情報化社会についてのお悩みから始まる『情報』についてのお話です。

情報という言葉、私たちも日常生活でたくさん目にする機会がある言葉だと思います。

例えば電子辞書(デジタル大辞泉)で調べてみると

「ある物事の内容や事情についての知らせ。インフォメーション。」「文字・数字などの記号やシンボルの媒体によって伝達され、受け手に状況に対する知識や適切な判断を生じさせるもの。」

という風に書かれています。

しかし、生物学的な情報はこれとは少し意味が異なります。
福岡さんの言葉をお借りすると、

生命にとっての情報は「現れてすぐに消えること」がもっとも重要なのです。…(中略)…生命にとっては変化そのものが情報であり、変化の幅(差分)こそが、次の反応を引き起こす手がかりとなりうるものだからです。(p.76-87)

という風に情報が扱われています。

私たちが日常生活で使う情報は、ずっと何かしらの形で残るもの。
一方で、生物学的な情報は、一瞬現れてすぐに消えてしまうもの。

全く正反対なのに、同じ言葉なんです。

こんな感じで、日常生活と生物学で意味が若干違う用語っていくつかあると思うんです。例えば、進化とか。高校の授業で「ポケ〇ンの進化は進化じゃなくて変態だからなぁー」という話はよくされたりするんじゃないでしょうか。

この違いを理解してもらうのって、今後の生物教育の課題じゃないかなと考える今日この頃です。というか研究対象なので突き詰めたいと思います。そしてこないだゲームやアニメが生物学的知識の理解に影響を与えるかどうかを調査した論文を見つけたので(余裕があれば)今度紹介します。

それでは。

あんどぅー。(2021/02/01)

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