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死体の教科書 上野 正彦
死因特定のミスが相次いでいる。なぜ、そういうことが起きるのか。元東京都監察医務院長で何度も逆転鑑定も行っている名監察医が、
1・いつ(時間)、2・どこで(場所)、3誰が(犯人、4・誰と(共犯)、5・何ゆえ(動機)、6・誰に対して(被害者)、7・いかにして(殺害方法)、8・いかにした(結果)
など、実際の2万体の検死のときに用いた8何の原則を初めて明かした、死体のすべてがわかる一冊。
上野先生は監察医として、検死や解剖を行い、死体が語る声なき声に耳を傾けてこられた。
しかし、昨今凶悪かつ巧妙な犯罪が増えてきたためか、その声なき声を聴くこともなく、闇に葬られる死体が増えてきた。
時代とともに、事件の様相も、犯人も様変わりする。
この本は2万体以上の死体を検死されたきた、上野先生の集大成の本である。
内因死
病気で医者にかかり、死亡した場合は内因死(病死)と言い、主治医が死亡診断書を発行する。
それ以外の理由によって死亡した場合は全て変死扱いになり、警察に届けられることになっている。
病死(内因死)と思われても、医者にかからず死亡したり、元気な人の突然死などは、不審酢案のある死に方なので、 変死扱いになる。
外因死
外因死は自殺、他殺、災害事故死で 警察の捜査によって事実をあきらかにしなければならない。
全死亡の15%くらいが変死扱いになる。
届出人は医師や救急隊員はもちろんのこと、死体を発見した人でもよいし、死因に疑いを持った身内の人でもよい。
監察医務制度
監察医務院に医学的な「検視」の依頼が入る。
監察医務制度は全国各地にない。
現時点では(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸)のみにしか監察医制度はない。
都内では一日平均30~40の検死があり、その3割程度は、犯罪性がなくても監察医の判断で死因究明のため行政解剖を行っている。
だが、それ以外の地域は、警察嘱託医(警察署の近くで開業している臨床医で、普段の役割は、そこの警察署員と留置人の健康管理をする医師で、法医学の専門医ではない)が、検視をすることになっている。
専門性が高い「検死」は初動捜査が重要であるので、死体所見に精通した監察医、法医学者にまかせるべきである。
しかし、法医学を専攻する医師は極めて少ないため、残念ながら明治以来、我が国の検死様式は旧態依然として改善されていない。
メッタ刺し事件の犯人
メッタ刺し事件の死体の場合の犯人は弱者なのである。
強者の場合は、どこをどのようにやれば倒せるかを知っているから、一刀のもとに相手を刺殺できる。
しかし弱者はそうはいかない。
残忍な性格だからメッタ刺ししているのではない。
弱者の心理がそうさせているのである。
メッタ刺しは保身の心理が働くための弱者の犯行である。
本当に残忍な犯罪というのは、局部だけをえぐり取るとか、目玉をくり貫くとか、その手の猟奇的な犯罪を指すのであって、メッタ刺しは、残忍な犯行ではない。
バラバラ殺人の犯人
死体をバラバラにして捨てるバラバラ殺人。
意外にも犯人は女性が多い。
冷酷で残忍な女性ではなく、殺した後、一体のままでは重いし、搬送中にみつかってしまう。
バラバラにして死体を早くどこかに隠すために、女性の場合、力がなから、運びやすくて、捨てやすいようにバラバラにしているのである。
上野正彦先生は臨床経験がないまま、法医学を専攻し監察医になられた。
2万体以上のもの変死体を警察官とともに処理された。
声なき声を聞き、事件を解決される手腕は、推理小説を超越する。
他にも、遺体が出産した話や、ニュースになった事件を細かく分析された話したとても面白かったです。
面白いというと不謹慎になるので、とても勉強になりました。
未解決事件も戦国武将も死亡診断書で、見事解決される本も確か前に読みました。
その本もまた読みたくなりました。
この本はおすすめです。
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