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医者の本音 中山裕次郎

本書は、がんの執刀医でありながら、医局に所属しない著者が、これまで誰も書けなかった「医療のブラックボックス」に切り込む企画! 「薬を減らしたいとき、なんといえばいいか?」「袖の下は渡したほうがいいのか?」といった切実な悩みから、「製薬会社からの賄賂は本当にあるのか?」「玉の輿に乗るならねらい目は?」のような、お金と恋愛の話題まで。面と向かっては聞けなかったギモンが、氷解する。

 

昼の方が値段が安い


・「時間外」:平日朝6時~9時まで。夕方18時~22時までは255円の追加
・「休日」:日曜日と祝祭日、年末年始(12/29ー1/3)9時~18時は750円の追加
・「深夜」:どんなひでも夜22時~早朝6時は1440円

 お薬代も高くなることがある(3割負担の人がその病気で初めて受診した場合で計算。病院の体制等により若干料金が異なることがある)

  平日の日中にかかるほうが断然お徳だ。

 
 

夜の医者は寝ぼけている


 お医者さんも人間なので夜中の3時に病院に罹った場合、出てくる医者は
間違いなくボーッとしている。
 夜中に診察する医者は、すでに前日の朝から通常通りの病院で仕事をし、そのままぶっ続けで夜中も働いている。
 つまり、前日朝8時から連続19時間勤務中。
医者は超長時間連続勤務が当たり前になっている。
 ゼロ交代制。
 夜中には診察と治療のクオリティは下がる。


 おまけ
 日中だと他のお医者さんがいるので、自分(医者)の手に負えない時はすぐに相談できる。

 


 薬を多く処方すると、病院の収入は減る仕組みになっている。
 具体的には、7種類以上を処方した場合処方料が13点(42点→29点)、処方箋料が28点(68点→40点)低くなる。
 1点10円の換算だから、130円、280円低くなる。
 
 これは厚生労働省が行っている、医師の商法を抑制するための措置です。
だから、収入や病院経営という視点だけから考えれば、薬は7種類を超えない方が医者としてはありがたい。

 

お薬手帳


 ポリファーマシー
 多く薬を接種することによる弊害 
  
 お薬手帳は薬の減少の解決策にはなっていない。
医者はチラッと見て、同じ効果の薬を重複しないように気を付けるだけで、薬を減らす効果には繋がっていない。


 

ロキソニン

 

 ロキソニンは「消炎鎮痛剤」というカテゴリのお薬です。
「消炎」とは炎症を消すという意味です。
 ロキソニンは対処療法(病気の原因を除去するための根本的な治療ではなく、出てきたつらい症状を抑え込むが為だけの治療)のお薬です。

 ある研究によると、ロキソニンは風邪の症状を和らげるが、治癒を遅らせる可能性があるという結果が出ている。

・ロキソニンで風邪が早く治るわけではない
・しかし辛い症状は軽減してくれる


 

科でわかる医者の性格


 内科 
 細身の眼鏡男性が多い。几帳面で緻密な計算が得意。真面目でコツコツ勉強タイプ。論理的、ただし心臓が専門の循環器内科医、胃腸が専門の消化器内科医は少し体育会系の雰囲気が加わる。女性内科医は時に厳しく患者を指導する。

 消化器外科 
 やや小太りの体育会系のおじさんが多い。大胆で豪快に振る舞い、大酒飲みが多い。一夜漬け型だが、ピンチの時には超人的な体力と技術を発揮。その実小心者が多い。女性はほとんどいない。

 小児科
 男性も女性も、見るからに優しい雰囲気をまとう。真面目で誠実、一本気。子供の治療に情熱をまっすぐに向ける。しかし多忙のためかぬぐいきれない疲れがにじむ。

 精神科
 真面目な人も、不真面目な人も、色々な人がいる。他の科の医師とは一線を画す、独自の雰囲気を持つ。児童精神科という、小児を相手にする医師たちは、信じられないくらい優しい。

 皮膚科
 美人な女性医師が多い。男性医師でも、皮膚科は肌が綺麗だったりする。


 整形外科
 細身マッチョのよく日に焼けたイケメンが多い。女性でもスラっとしたタイプ。かなりのスポーツマンで、医者になってからも定期的に運動をしている人が多い。酒飲みだが、飲み方はそれほど汚くはない。若い整形外科医はモテる。


  

死亡


 一年で亡くなる人

 自死7で亡くなる人  2万1017人
 交通事故で亡くなる人 5378人
 溺れて死ぬ人     7705人
 他殺で死亡       290人

医師が希望する死に方

 ・肝臓がんや肝硬変などで肝不全になって逝く
 ・事故で一瞬にして逝く

 理由は
「どちらも苦しくないからです」

 肝不全は、体にアンモニアという毒素がたまっていきぼんやりしたなか、眠るように旅立ちます。
 事故は一瞬の出来事だから、痛みも何も感じず旅立つことができる。

 結局のところ、痛いことと苦しいことが嫌いだとそうなる。

 
 他にも治療の話、医局の話、治療の話、とてもためになるお話でした。

 読んでいて思ったのは、お医者さんも人間で、恋愛もするし、お金になびく人もいる。
 ようは人間性だ。

 普通の感覚を持っていることに安心もするが、既得権益に対する認識が皆無なのはやはり、特権階級の上級国民であることを否めない。

 けれど、そのことをおくびにも出さず、全てを曝け出す中山先生は人格者だと思いました。

 この本はおすすめです。

 

 

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