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学者のウソ 掛谷英紀

学者や言論人の嘘八百を暴き出す学問論!
文系・理系それぞれにまかりとおる学者のウソの数々に舌鋒鋭く切り込んだ一冊。
どうしてウソが横行してしまうのか、学問やメディアの側の諸問題を視野に入れて論じぬく。

 学者の世界が歪んでいる
 学者の不祥事が相次いでいる。この種の報道により、学者の世界に何らかの歪みが生じていいるのではないかとの疑念は、学会の外にいる人の間でも大きくなりつつある。
 これら個別の事例は、あくまでモラルの低い一部の学者の問題であるという意見もある。
 だが、不正を生みやすい土壌が、学会内部で醸成されているという。

 M・スコット・ペック博士は
「本当に悪い奴は塀の外にいる」と説いている。

 これらは現在の学会にも当てはまる。
論文の捏造や研究費不正流用で処分される学者の背後には、処分の対象にもならないすれすれの線を行きながら私利私欲を満たしている学者が散見されるのである。

 

現在


 学者の不正の社会的意味は増大している。
一部に非常に大きな社会的影響力を持つ学者が生まれる社会的構造が出来上がっているからである。
 文系の学者であれば、政府の審議会や諮問機関に入って、国家の制度設計に大きな影響力を及ぼす存在となることがある。

 理系であれば、研究費における競争資金の割合が増大した結果、一人の学者が巨額の研究費を使える立場に置かれるケースが増えている。
 
 それは、学者による個別の不正が大きな社会的損失に繋がることを意味する。


 

マスコミの既得権益


 現在、テレビ、新聞などの大手のマスコミは、最後の既得権益として君臨している。

 構造改革において、土木建築業、金融業、郵便、教育機関(大学)など、種々の機関に改革のメスが入ったが、テレビにおける電波利権、新聞における再販制度、過剰な著作権保護にみられるように、マスコミの既得権益は安泰のままである。
 デジタル放送開始に伴い、多くの公的資金がテレビ局に投入されたことについて、マスコミが取り上げることはない。

マスコミの利益

 彼らの最も大きな収入源は広告である。
約5兆円の市場規模を持つ広告業において、約2兆円をテレビ広告、約1兆円を新聞広告が占めている。

テレビ局の給料
フジテレビや朝日放送は、平均30歳後半でも、平均年収は1500万円を超えている。(2006年9月)


 

中年フリーター博士


1980年ぐらいまでは、大学院自体の数か少なく、定員も少なかった。
また、進学希望者の増大で、大学院の新設も相次ぎ、教員需要も大きくなった。
 そのため、博士課程を修了さえすれば、どこかの大学の教員になれるといって間違いなかった。

 しかし、2003年には、日本全国で大学院博士課程号取得者は、毎年1万人を超える世になった。
 一方、大学進学者は頭打ちで、入学者不足からは医学を余儀なくされる大学も出てくる状況では、大学の常勤教員や、研究所の研究員の需要を全てかき集めても、毎年3000人程度にしかならない。

 博士課程を修了して、定職に就けない「博士」が、2004年時点で1万2500人誕生していることになる。

 20年後には滞留したままラインに乗ることができな中年のフリーター博士が5万8500人を超えると言っても過言ではない。


 しかし、大学や研究機関に安定した就職が難しいとなれば、長期t期には企業への就職に進路を取る者の割合は増えてゆくのが自然の流れだろう。

 さらに、今後若年性人口は減っていくので、博士取得者も同数を維持できない可能性が高い。

 日本の博士の「こだわり」が今後改善されれば、アメリカ並みに企業就職が増えれば、フリーター博士の数は多くて3万3400人、少なくて1万500人になることも予測できる。


 

エリートの堕落


 大きな要因として、学歴エリートだから生じてくる価値観の存在である。
学歴主義はある種の実力主義である。
 努力して良い学歴を得れば道が拓ける。
 これと対極にあるのが世襲制度をベースとする封建主義である。
封建的なやり方には多くの問題があるのは事実である。
 政財界やメディアの実力者の多くが、子息を大手広告代理店などにコネ入社させている実態は、とても健全とは言えない。
 政治の世界における世襲議員の存在は、国家の損失にもなりかねない、国防の危機でもある。
 
 
 エリートは公共性を考える余裕のある人たちである。
公共の利益を優先しても、生計を立てることができるのである。
 ところが公共心という価値が喪失した結果、公共の利益のために仕事をして普通の暮らしをするよりも、公共の利益に反する仕事で贅沢な暮らしを実現する生き方を選択する学歴エリートが増殖してしまった。

 昨今のLGBT,移民政策、不安定な太陽光パネルの再エネ利権、コロナ利権、政財界や経団連、マスコミの行動がそれを如実に表している。

 倫理の後退が日本の経済を弱体化させている。


 先生と呼ばれると人間がダメになる。
学歴エリートの特権意識は、自覚がないまま倫理観を崩壊させる。

 特権階級のエリートが、自省の意識を持たないまま、利己的な行動を起こしてしまえば、日本は崩壊するしかない。

 今が天王山なのか?、引き返し不能地点を超えてしまったのか?

 まだ間に合うなら、どうかよりよい未来に進めますように。

 この本はおすすめです。


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anco
ありがとうございます!! がんばります!!