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ヒトはこんなことで死んでしまうのか 上野正彦

「こんなことで死んでしまうの!?」と言いたくなるような日常にひそむ死の危険から、
生と死の境界線、意外な死の真相、死の医学までを徹底解説!

「知っておけば死なずにすんだのに……」
「人体はどこまで耐えられるのだろうか……」

知っているようで意外と知らない、「こんなことで死なない」ためのトリビアを気楽に学べる一冊!

 

死因の定義


 人工呼吸の首つり ケース1

 首つり自殺の老人が、3年前に喉頭がんの手術を受け、頸部の器官はそっくり摘出され、鼻や口から息を吸うのではなく、首の下方前頸部中央下端に一円玉ぐらいの人工呼吸器が作られ、その孔で息をしていた。
 つまり首の紐は、人工呼吸器よりも上にあった。

 側頸部を通る動静脈は、紐にかかった体重によって強く圧迫されるため、一瞬のうちに脳の血流は停止して急死する。
 同時に頸動脈洞や迷走神経なども圧迫されて、神経性の心停止、呼吸停止が起こって急死することも考えられている。

 呼吸ができなくなって窒息死するのではない。
 その前に神経性の心停止、あるいは脳の血液循環停止などが先行している。


 ケース2
 
 呼吸不全のため死亡とある記事で、長い間肺がんで闘病中であった。
 このような場合は、死因は「肺がん」である、
呼吸不全は間違った表現である。

 
 なぜならがんで死のうが、首つりで死のうが、青酸カリで自殺しようが、
死ぬ人は全て脳が麻痺して、肺麻痺(呼吸不全)、心臓麻痺(心不全)が起こっている。
 この三大重要臓器の永久的機能停止を「死」というのである。
 
 しかし、どのような死に方をしても、脳肺心の麻痺を死因として扱わないというのが医学的原則である。
 
 それでは死因は何かというと、この3つの臓器の麻痺を起こした疾病、原因が死因なのである。
 
 心臓を刃物で刺されて死亡した人は、心臓麻痺といえば、病死のように思われてしまう。
 やはり、「心臓刺創による失血死」と表現しなけれ死因にはならない。


 

階段上りの死


 「健康のために」階段を使う人がいる。
心臓の悪かった人が、突然死することあがある。
 健康増進のための運動で、ちょっとした拍子で突然死してしまうことがある。

そういう人がハードスポーツ、性交中に腹上死する危険性がある、注意すべきはスポーツだけではない。


 

赤ちゃんと扇風機


 生まれて間もない赤ちゃんは、自分で動くことができない。そのため、扇風機の風がストレートに顔に当たると、うまく息を吸えなくなることがある。
 一晩中、扇風機をかけっぱなしにしていると、体中の水分が奪われて乾燥してしまう。
 扇風機が首を振っていれば大丈夫だだが、一定の向きに固定させたまま風を当てておれば、裸に近い赤ちゃんは脱水で死んでしまう。


 

性行為で死ぬ男性で、死亡率が高いのは30代~40代


  年齢的には男性は、30代が最も多く、次に40代、50代、20代、60代の順になっている。
 女性は、50代~60代が多い。

 アルコールを飲んで、性行為に及ぶこともあるだろうが、統計的にもアルコールを飲んだ後の腹上死は、その3割に達している。
 酔うと感覚の鈍麻から性行為が長引き、心臓や血圧に悪影響を及ぼすので、死亡率が高いのである。

 電車の駆け込み乗車の直後に死亡するというのも、ありえない話ではない。

 

人の体温


 健康な人の平熱は、36度~37度以下である。
 体温の上昇は、41度の高熱になると、体細胞の障害、局所性出血、実質変性を起こし、昏睡状態や意識障害となり、42度が数時間続くと死亡する。
 42度という数字は、人間が生きていられる最高の体温であり、マラリアに冒されたとしても、そこまでしか上がらない。

 人間の体の各部はたんぱく質で構成されている。
 筋肉はもちろん、血液の成分血漿や骨の成分にまで、たんぱく質が含まれている。
 たんぱく質は42度になると、熱で凝固する。 
 ゆで卵が元の生卵に戻らないように、一度固まってしまったたんぱく質は元には戻らない。
 熱が高いときの尿は茶色になる。
 
 下に至っては、35度を下回ると筋肉が硬直を始め、33度以下になると血液循環が悪くなって、脳に十分な酸素が届かない酸欠状態を起こし、意識混濁や血液低下が始まる。


 

短気は早死に


 怒った時血圧がかなり上昇する。
そのため高血圧の人や心臓疾患などを持っている人は、心臓発作や脳出血を起こす危険性がある。 血管がもろくなっているひとは破れてしまう可能性は高い。
  長生きしたければ、普段から激しい怒りは抑えるように心がけることである。


 

ウジ虫はどこからわくのか


 においに釣られて、ハエがやってくる。
 卵を産みつける場所は、主に口の中、鼻の中、目の縁などである。
 
 

ボクシング 


 試合で、ボクサーがラウンドの途中のインターバルの時セコンドからアンモニタをかがされる。
 その刺激臭によって、一瞬にしてはっきり意識を取り戻すのだか、それを何度も繰り返していくとニオイが麻痺して、何も感じなくなる。



 他にも 安楽死についての見解、植物状態と脳死の違いや、泳げる人が溺れる原因がとてもためになりました。

 人間の体は未だ解明されていないことがほとんどで、手探りの状態であっても上野先生のような方がおられる御蔭で、我々は安心して生きてゆけるのでしょう。

 ゴルゴ13の遠隔射撃で、眉間を打と抜く方法は、終脳の植物状態にしかならず、即死しないというのはよくわかりました。
 ゴルゴは残酷だな・・・・。

 この本はおすすめです。


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