離婚で壊れる子どもたち 心理臨床家からの警告 棚瀬 一代
親の離婚に巻き込まれた子供たちはその後、どのような発達の軌跡を描いていくのか、子供の本心を解き明かしていく。
実子誘拐ビジネスが親の問題であれば、この本は子供の立場の問題を明確にする。
2冊でセットだ。
子供の疑似成熟
親が離婚後、悲しみに打ちひしがれた状態(情緒的障碍者)に陥ってしまった場合、子供は親を何とか支えようと必死になるものだ。
その結果、成長が不自然に加速され「疑似成熟」してしまう。
疑似成熟してしまった子供の特徴は、年不相応の大人びた行動と、年不相応に幼稚な行動のアンバランスな併存である。
つまり、年不相応の部分が抜け落ちている。
結果、同年代の友達から見て何かおかしい存在であり、波長が合わない、浮いた存在になってしまう。
2~3年後親がまた元気を取り戻し、再び親として機能できるようになれば、子供は支えになれたことを誇りを感じ、親子にとって良い結果になる。
しかし、役割逆転した関係が5年10年と長期にわたって続く場合は、子供の払う代償は、あまりに大きい。
長期間親が立ち直れない場合は、無力感と同時に、親に対する怒りの感情が子供を苦しめることになる。
年不相応の部分が抜け落ちた成長をしてきたことによって、同年齢の友達がいなくなることが問題である。
見かけには大人びているにもかかわらず、内面は真の成熟に至っていらず、もろさを抱えている。
こうした不自然が成長の結果、いじめに遭ったり、不登校になったり、引きこもりに至ったりという、二次的な問題が生じてくる。
子供の幸せ
親の離婚は「夫婦の別れ」であって「親子の別れ」ではないということ。
こうした単純なことが離婚後忘れ去られていることから、多くの子供の不幸は生じてくる。
面会交流は別れた配偶者の祖父母にも権利を与えなければいけない。
子供はできるだけ多くの人たちから愛されるチャンスを与え、親の離婚に対する傷を癒し、健康な人生を生きていく上で、欠かせないことと認識しなければならない。
追跡研究
1997年アメリカで131人の子供を対象として25年に渡って離婚の影響を追跡研究した。
その結果、良心が離婚した場合、結婚している家庭と比べて、子供は反社会的行動や、権威者へのより直接的な攻撃行動、仲間との対人関係の困難さ、抑うつ状態、学習困難、中途退学者多い、心理的安寧感が少なく、行動上問題が多く、教育程度や、生活水準が低く、結婚生活の満足感が少なく、離婚する危険性そしてひとり親になる危険性が高く、心理的に不健康であることが多いと報告された。
現状
結婚の3分の1が離婚に至るほど、離婚が多くなってきた。
離婚の中で一番多いのは、結婚5年未満の乳幼児を抱えての離婚であり、全体の4割近い割合を占めている。
地域によっては、離婚家庭がクラスの3分の2もの多数を占めるようなこともある。
児童虐待
虐待の事実を知らされた場合は、虐待していたのが離婚した父親の場合、
父親が親権者であれば、母親(非親権者)は親権者変更の交渉ではなく、即刻、児童相談所に児童虐待通告をして、子供を一時保護してもらう方向に動くべきである。
そして、病院に入院させて精密検査を受け、虐待の証拠を集める必要がある。
親権剥奪、親権者変更はその後に求めればよい。
これは、児童虐待に絡んだ、親権者変更の手続きの鉄則である。
「言ってはいけない」の本の中で、子供の持っている才能を伸ばすには、友人の環境が大事とあった。
才能に関しては友人の環境で影響を受けるが、性格に犯罪に関してはより問題のある方の影響をうけるのだと感じた。
家庭環境に問題があれば、そちらにより影響をうけるのは当然だと思う。
よって、この二冊に矛盾は無い。
同じことを言っていると感じた。
前に「ニッポン気違い列島」を読んだときに、部落は村社会で生活していた。
7世帯を村として、2村でつまり14世帯を1部落という単位で、助け合いながら暮らす。
もちろん、ルールがあって破ると二度と部落には戻れない。
離婚もあるけど、村単位で子育てする。
江戸時代の長屋みたいなもので、江戸時代より規律は厳しい。
でも、のびのび子供たちは暮らし、大人になっても仕事をしてのんびり暮らす。
人を騙してたりもするけど、部落内では一切ない、世話役にきつくおこられるから。
核家族ではなく、このような形態に戻るのがいいのかもしれない。
子育ては村単位でするのがいいのだろう。
「ニッポン気違い列島」の一説で、小学校も出ていない、部落の方が
「良心」について3日考えて答えを出す。
良心とは、自分の中にいる他人。
良心があれば、、離婚で壊れる子供はきっと出ない。
この4冊の本はおすすめです。
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