言ってはいけない 残酷すぎる真実 橘 玲
精神病は遺伝する。アルコール依存症も遺伝する。
なぜなら、背の高い親から背の高い子供が生まれる、歌がうまい親から、歌がうまい子供が生まれるのと同じだからだ。
だが、それは言ってはいけない。
「嘘をついてはいけません」と同じように
「本当の事言ってはいけません」
現代はそのような、世界になってしまった。
この本は本当の事、言ってはいけない事を、教えていただける本です。
統合性失調
統合性失調の遺伝率は双極性障害(躁鬱病)と並んで極めて高く、80%を超えている。
(統合性失調は82%双極性障害は83%)
犯罪は遺伝するのか
イギリスで1994年から3年間に生まれた5000組の双子の子供たちを対象に反社会的な傾向の遺伝調査が行われた。
結果は遺伝率は30%環境は70%あった。
ついで教師から「強制不可能」と証された、極めて高い社会性を持つ子供だけを抽出してみた。
犯罪心理学でサイコパスに分類される子供の場合、その遺伝率は81%で環境の影響は2割弱しかない。
その環境は、子育てではなく友達関係のような「非共有環境」影響とされた。
子供の極端な異常行動に対して親ができることは、ほとんどない。
アメリカでされた9歳の対象の調査でも
暴力性や異常性が顕著と見なされた子供の反社会的行動は、遺伝率96%。
イギリスの調査結果と整合的。
身長の遺伝は66%
体重の遺伝は74%
ダイエットに成功する人は、遺伝的に痩せている人だけ。
親の収入と子供の学歴
一般知能の8割、論理的推論能力の7割が遺伝。
知能の高い親は社会的に成功し、同時に遺伝によって子供は高学歴になる。
知能格差
アメリカではIQ75以下が知的障害と見なされる。
アシュケナージ系(ドイツ)ユダヤ人の平均はIQ112~115
ヨーロッパの平均100より高い。
アジア系アメリカ人のIQが、白人よりも高いという結果もある。
心拍数
心拍数の低さと反社会的な行動は相関する。
1,恐怖心のなさ
臆病で不安お感じやすい子供の心拍数は上がる。
心拍数の低さは、恐れの欠如を反映している。
2,心拍数の低い子供は高い子供より共感力が低い。
他人の立場に身を置くことが出来ない、いじめられたり殴られたりすると どんな気分になるが想像できない。
共感力の低い成人は他人の感情に無関心で、反社会的、攻撃的になりやすい。
3,刺激の追求
覚醒度の低さが不快な生理的状況をもたらし、それを最適なレベルに上げるために刺激を求めて反社会的行動に走る。
誰かを殴る、万引きする、麻薬に手を染める、などの方法で刺激を高めようとする。
心拍数で将来の犯罪を予測できる。
しかし、もしその子供が知能や才能に恵まれていれば、社会的、経済的にとてつもない成功を手にするかもしれない。
ベンチャー企業の立ち上げなど、恐れを知らない人間にしかできないのだ。
発汗しない子供は良心を学習できない。
自律神経系の恐怖づけ機能障害が、成人犯罪を導く因子として作用し得ることを示唆している。
しかし
賢いサイコパスはストレスにより、発汗する。
賢いサイコパスは、親密な社会関係を形成する機会を逃した場合、良心を学習する機会を失う。
犯罪と心拍数の関係は、脳は家庭や外的な環境よりはむしろ、体内の生理的な刺激から強い影響を受ける。
覚醒度の低い子供は無意識のうちにより強い刺激を求め、それが犯罪を誘発する。
男はモノを相手にした仕事を、女性は人とかかわる仕事を好む。
女子高は望まない妊娠が少ない。
女子高の女の子は、性的な意思決定に対して自律性を保てるのだ。
人間は幼少時代を供した異性には性的関心を抱かない。
両性生殖する種は全て、なんらかの方法で血縁度の高い異性とのセックスを避けている。
遺伝子と環境
子供の成長には「友達」が決定的な影響を与える。
全く同じ遺伝子を持っていても、集団内でのキャラが異なれば違う性格が生まれ、異なる人生を歩む。
英才教育を受けた神童も、幼少期に友達関係から切り離されると自己をうまく形成することができず、大人になると社会に適応できなくなり、せっかくの高い知能を活かすことなく凡庸な人生を終えてしまう。
親は無力。
だが、環境は与えることが出来る、子供の持っている才能の芽を摘まない環境を与える事。
知的能力を伸ばすなら、良い成績を取ることがいじめの理由にならない学校(友達集団)を選びべき。
女性の政治家や科学者に女子高出身者が多いのは、共学と違って「馬鹿でかわいい女」を演じる必要がないからだ。
芸術的才能を伸ばしたいなら、風変りでも笑いものにされたり、仲間外れにされたりしない環境が必要だろう。
おもしろかったです。
残酷な真実というよりは、子供を教育するのは大変なことだ。
教師の責任は重大だ。
最近、歴史小説を読んでいて思うが、有名な偉大で先見の明がある武将は、のきなみ本を主に兵法の本を、幼少のころに読み込んでいる。
読んでいない武将はほぼいない。
力で武功を上げた武将も、少なからず兵法を学んでいる。
それも、やはり、環境があったのだろう。
環境すなわち、学友が大切。
当たり前の事が一番難しい。
この本はおすすめです。