古書泥棒という職業の男たち トラヴィス マクデード
1930年代 大恐慌時代
ロンム窃盗団は、宝探しに出向く。
漁るのは図書館の書架だ。
購入費用はかけず、自分で本の価値を見抜くことはできない。
価値のある本のリストが手渡され、図書館のどの書架に行けば見つかるか、どのように手に入れるか指示される。
スカウトされ、訓練を受けて有能と判断されたら、このリストを手にして、「図書館窃盗ルート」を往復することになる。
彼らは物腰が柔らかいわけでも、愛想がいいわけでもなく、本が好きでたまらないからこの道に入ったわけではなかった。
訓練を受けて経験を積んだスカウトなら、図書館に書架に並ぶ50冊~100冊の価値のある本を見抜けるようになり、慣れると、一日に3館の図書館から盗みを働くという荒仕事をやってのける。
適性や才能はさほど必要なく、窃盗団の主犯格だった、ハロルド・クラークは、彼らを「世知にたけた子供たち」と呼び、知能は関係ないと言っている。
要するに必要なのは度胸と自信、そしてゆったりしたコートだ。
時には追跡者を振り切る脚力も必要となる。
こうした条件を満たすと、彼らは世に送り出され、指示された本を求めて町から町へ移動する。
「手を休めるのは図書館と図書館の間だけ、訓練を受けた若者たちは、帽子を手にやって挨拶しながら図書館に入り、彼らが市長の子息か、あるいは赤の他人かを司書が思い出せないうちに、くすねた本とともに出てゆく。司書が不振に思って考えをめぐらす頃には、とっくに逃げ出しているだけでなくk、10マイル離れた別の図書館で、また丁寧に帽子を持ち上げているのだ」
中折れ帽の中他には、本泥棒必携の衣類は大き目のコート.。
ゆったりしたラグラン袖のコートには実に巧妙にフックや釣り紐やポケットが付いているので、大型特製本でもきちんと収まって、膨らんでは見えない。
代わりの本を持ってきてすり替えることもあった。
本泥棒の報酬は歩合
普通は一冊につき2ドル、本によっては最終的な売値の5%まで上がる。
新しい本なら歩合が上がる場合もある。
図書館泥棒は金の為の犯罪として穏健な行動だったから、実質的には正業とみなされていた。
コレクターの気持ちがわからないので、図書館の本を盗んでまでして、自宅の本棚に飾りたいっ気持ちがわからない。
本は新しい方が好きだ。
初版本に興味がない。
だが、この本ではその真逆の世界、本泥棒の実態、図書館や古書店、窃盗団との闘いである。
読んでいて手に汗に握る。
お、面白い・・・。
でも、図書館運営は大変だなぁ・・・・と心から思った。
この本はおススメです。