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【鳥貴族】もしも願いが叶うなら【焼き鳥センター】

1ヶ月に何回かある衝動的に焼き鳥食いたくなる激動

 先日髪を切った。彼氏のお母さんに紹介された店に行ったんだけど歩いてみると、行きつけの焼き鳥屋の近くだった。

あ、焼き鳥食べたい」

 煙の匂いに誘われそうになる。ふとした瞬間に、抑えつけていた何かがなくなって、どうしようもなく焼き鳥が食べたくなる。

 そんなわけでどうも皆さんこんにちは、お部屋ダンゴムシことおもちです。そんな異名をつけられたことは今までの人生でまだありません(なんなんだ)

 相変わらずのコロナコロナな毎日で、多少おさまってきたもののやっぱり外には出づらい毎日で、ままならぬ感じです。

 そんな中、おもちはある日、突然、焼き鳥を食いたい衝動に襲われていた。

 おもちはそもそも焼き鳥が好きだ。タレも好きだし塩も好き、酒飲みじゃない頃から好きなので細胞レベルで焼き鳥が好き。好きなものランキング上位。好きすぎて焼き鳥を焼くための卓上コンロを買った。いまだに大事に使ってる。

 細胞レベルで好きだけど、なかなか行けないから。今日は焼き鳥の話でもしましょうか。


焼き鳥の思い出

 焼き鳥、好きな割に人と食べた思い出があまりない。

 焼き鳥を食べる時、そこに酒が伴うとなぜかおもちはいつも一人だった。

 就活でボロクソ言われた帰りに食べた焼き鳥はよかった。今でもその店は好きで、たまにいく。

 あとはバイト先でフられまくって1人で入った店で一生焼き鳥突いて拗ねたこともある。もっとも、その日は、その後に、兄(虚偽)に拾われて、のちに「バイト先に先輩がいた」という事実がかなりのミラクルパスで明らかになるきっかけとなる飲みにいくことになるのだけどこの話は長いのでまた今度。

 閑話休題。いや、何度かは行ってるはずなのだけど。あまり印象的なことはない。焼き鳥がうまかった記憶に多分他愛もない話は負けてしまう。

 辛い時は肉が食べたいが一人でいたいものだから、多分それもあって私は一人。

 人との焼き鳥の記憶を頭の奥深くに潜ってみると、そういえば引っかかる記憶があって、親友たちとは何度か焼き鳥にいったな、と。


親友と焼き鳥と何もねーおもち

 さてこそ。親友の話をしよう。

 おもちには二人だけの親友がいる。共通の趣味のある、二人だけの実に尊敬できる親友たち。それぞれ夢があって、好きなものがあって、何もないつまらないおもちにはもったいない友人たちだ。二人の話はするかもしれないし、しないかもしれない。おもちの中に確かにいる二人なんだけど不思議な距離感で、おもちをかき乱しはしない、静かにいてくれる二人。だから一緒にいたいと思えるのだろう。

 閑話休題。そんな二人だが、これがまた不思議なのだけど、二人とも下戸で酒は飲まない。おもちだけが浴びるほど酒を飲む飲み会に嫌とも言わず付き合ってくれる。なんなんだお前ら最高かよ。

 下戸と飲むのは嫌いじゃないけどやっぱり気を使う。でも二人はこっちの酒に興味を持ってくれたり、きゃっきゃっと話してくれる。心地の良い二人だ。

 そんな二人と焼き鳥に行った最古の記憶はあくる年の年末だった。

 その年、おもちはすでに社畜と化していて、それなりに忙しい師走を送っていた。

 親友たちとは月一くらいでふにゃふにゃと遊んでいたのだけど、その頃のおもちは授業にバイトに掛け持ちのバイトに、と、一日予定をあけることすらままならなくてならばと計画されたのが忘年会を兼ねた焼き鳥だった。

 鳥貴族に行った。話の内容はあまり覚えて無いけど、おもちは金麦はビールじゃないなぁと思いながら飲んでいたことと煮卵を頼んだらきれいに整列した味玉がアホみたいに置かれて三人で爆笑したことは覚えてる。箸が転がっても笑う。

 それから時は流れ、次の年。やっぱりおもちは忙殺されていた。

 その頃のおもちは、さらにレベルを上げていて穴を埋め、また穴を埋め、パトロールをしてはバイトの休憩を回し、また穴を埋め、を繰り返していた。しかも卒論もした。卒論の話はまたいつか。

 そんな状態だったおもちは耐えかねて、

「死にそうだから焼き鳥食いに行きませんか」

 と、グループラインに送っていた。

「いいよ!」「良いですぜ」

 話早〜すき〜〜。

 そんなわけでウキウキで予定を組み、おもちはその日を迎えていた。

 予定は18時半、バイトはたまたま休みの日だから余裕だ。の、はずだった。


「人がたりない」


 死にそうな顔で上司から告白されたのは前日の17時であった。

 その頃のバイト先は少し阿鼻叫喚期間で、おもちは連日休みを出勤に塗り替えていた。

 しばらくスルーしていたものの、押しに弱いおもちは、「時短」の一言で結局、休日を勤務に塗り替えられた。

 当日。朝からの勤務を終え、ヒールをすり減らし、駅を走り、12月には似つかわしくない汗をブラウスに染み込ませながら、スーツのままふらふらとおぼつかない足取りで親友たちと合流して、焼き鳥センターとかいう神の店に向かった。

 焼き鳥センター、好きだ。謎のサワー、冷たい手羽先、何よりホッピーがあるのが良い。しかもこのホッピーがすごいのは、いわゆるナカがストップと言うまで注がれ続けること。最強。ホッピーは好きだ。ビールほどお腹いっぱいにならないし、飲兵衛っぽくて、なんだか心が躍る。

 色々あって疲れていたおもちは大好きなホッピーを目にして、調子に乗っていつもは外では決してしない、8:2ホッピーをした。

 もちろん、結果はヘベレケ。行きとは違う理由でふらふらと歩きながらなぜか、二人を抱きしめ、

「私は二人が大好きだから」

 と、宣言してみせた。なんなんだこの酔っ払い。

 やっぱりその日のことはあまり覚えてないけど、そんな本音をこぼしたことだけは覚えている。

 素面の二人は私を宥めながらそれを受け入れてくれて、ほんとうに寂しくなった。



 遠い土地、二人に会えなくなって。ふとひとりでそんなことを思い出したのは、多分またあの記憶にも残らない楽しい焼き鳥会をやりたいのだろう。

 願いが叶うなら、大好きな人と焼き鳥が食べたい。

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