キョー@《裏》社会科
プラトンとアリストテレスの融合によって、どうも現在の時間のありかたが決まったようです。というのも、イデア界から流れでた神の吐息のようなモノが、今度は地上へ染みだしていくように私たちの時間は設計されているからです。次々と「いま」を食べながら前方へ進んでいくのが、私たちの時間観ですが、これはまさしくイデア論の時間認識であって、古来の時間認識は、このような過去から未来へ直線で進んでいくものではありませんでした。 支配産業が農業から金融業へ いま私たちがつかっている時間は、定時法と
13世紀の「普遍論争(the problem of universals)」は哲学vs反哲学の闘いです。ここで哲学が勝利し、以後ヨーロッパ世界では哲学が主流となりました。恋愛も社会も哲学から設計されています。 哲学とは神聖なモノ、プラトンの創作したイデアのことだと以前に話しました。 →イデア論が不自然な世界をつくる これがややバージョンアップして、普遍論争の頃には「新プラトン主義Neo platonism」と呼ばれるようになっています。 ですが中身はおなじ。クルマな
1258年、バグダッドは破壊されつくしました。あのバグダッドが、です。アッバース朝の絶対的中心、つまりは当時の世界一の大都市、正確には、破壊された当時はやや勢いを落として若い国の勃興もあったので、現代でいえばロンドンのような都市。 モンゴル軍の襲来でした。子供もふくめて大量殺害、レイプも横行、ティグリス・ユーフラテス川は血で真っ赤に染まり、知恵の館の、世界最高峰の研究がつまった書物も焼きすてられ、今度は川がインクで真っ黒に染まったといいます。知恵の館はアッバース朝初期から4
19世紀、ヘヴンにもっとも近いはずの社会が創建されました。私たちが生きている「社会」です。「社会」とはヘヴン=天国の生まれ変わりです。 サン=シモンやカント、さらにさかのぼってデカルト。彼ら近代哲学者の仕事は、人間世界という作品をつくりあげることでした。そしてそれは成功した。 彼ら哲学者は、まるで神の世界にも似た聖なる世界を夢想していたんです。哲学というコトバには天上的に神聖な響きがあります。Godも社会もリーズンもマネーもおなじことで、すべて神聖世界の薫りが立ちこめてい
これまで、恋愛にしろ社会にしろ、イデアを土台とした信仰なのだということを見てきました。信仰なんですよ、こいつら。べつに恋愛や社会がなくとも幸せに生きられる世界もあります。 そしてこれらは、キリスト教の近代バージョンなのです。まさか近代人が、中世風の神様ごっこにつきあうわけはないから、バージョンアップでGodをリーズンReasonというものにすげかえたわけです。リーズンReasonは日本語で理性ですが、「あの人は理性的だねー。」というような、そんな生易しいモノが理性ではありま
「社会」の絵を描けますか? 「社会」の絵を描いてください。 といえば、ある人はビルの群れを思い起こすかもしれない。ある人は交差点を行きかう人々を思い起こすかもしれない。 でもそれ、ビルであり人であって社会ではないですよ。私は小さなころから「社会」というコトバの意味が分かりませんでした。ものすごくボンヤリした地球みたいなのが頭に浮かぶけど、でも「社会」は意味不明でした。「社会」は描けません。それもそのはず。社会は思想だからです。思想を描けるわけがない。概念なんだから。
神聖なモノはだいたいウソ 満たされない生活のなか、ついに現実と幻想が逆転してしまったのが現代人です。もう冬のはじめ、凍てつく新宿の華やかな幻想の群れ、酔った人々がはしゃいでいる。店頭、アニメの美少女が微笑んでいる。広告バスが、空虚なまでに明るい歌をたれながしている。幻想だらけの街。誰もが人生への実感を失っている。それでも貧乏人だって恋愛くらいします。恋愛は、人生の実感をひとときであれ回復してくれるから。 だからこそ「恋愛」という、新たにつくられた近代思想が、貧乏人にたいす
幻想を現実よりも大事にすることを、アイディアリズムIdealismといいます。『小学館ランダムハウス英和辞典 第1版』(小学館 1984年)は、Idealismを観念論、唯心論と訳しています。さらにむずかしい専門書などは、実在論と書いています。 誰が訳したのか知りませんが、実在もなかなか意地の悪い訳語ですね。実在、なんていわれても「はあ、そうですか」で終わってしまう。さらにタチの悪いことに、今度は実在で調べるとRealismなどと訳語がでてくる。もうなにがなにやら。なんでI
文学部哲学科を卒業した友人がいうには「哲学者に就職さきなんてないよ」。 そりゃそうでしょうね。哲学なんていっても、そもそもなんのことなのかわからない。だから「哲学者です」なんて名乗っても、イコール「何をやってるかわからない人」になってしまう。 哲学は、ここ日本ではほとんど変態マニアックな文学の一形態となされているんでしょう。ただコムズカシイだけの屁理屈として。けれどね、哲学とは「文学部哲学科」なんて意味不明のカテゴリーに封印されるモノではないんですよ。なんで文学のなかに哲
どうやら『社会人』というパターン化されたキャラクターが、現代日本には定着しているらしい。初めて街にでたおぼっちゃまが、いじめられないように、すれちがう人々の身のこなしから言葉づかいまで真似をしている状態。 真似を集めて集めて、パターン化した。パターン化の極端な例が、とびきりの笑顔マシーンです。 そして、もうため息出てくるレベルなんですが、このパターン化の性質についても、文化人類学者・ジェフリー・ゴーラーは見抜いていました。これも引用しましょう。 『日本人の性格構造とプロ
キョーです。 リブラの登場と時期を同じくして、金(ゴールド)とビットコインが急上昇。「これは何かあるな?」と思ったので分析します。 なお、こちらの文章は田中宇の国際ニュースの記事「フェイスブックの通貨リブラ:ドル崩壊への道筋の解禁」を下敷きにして書いています。 ドル崩壊のメッセージ リブラ登場はドル崩壊の公式メッセージです。 そのメッセージを受けた中国系金融筋が、ドルの最強ライバルである金(ゴールド)を爆買い。それで金(ゴールド)が急上昇しました。 かなり大きな時
マネーmoneyとか、社会societyとかいう単語は、ほんらい神聖なニュアンスを持つんであって、ここの感覚を理解できないところに、日本人の限界があるというか、いつまでも猿マネ民族として扱われる部分があるというか。 結局、「日本人は社会を理解できていないのに、社会を押しつけられている」という構図です。 僕も外食をしますが、たまに横柄な客を目撃することがあります。 なにやら大声のタメ口で店員に口をきいているんですよね。太った体でふんぞり返って。 僕は、文化人類学者のマネを
つい最近のことだから、誰もが知っているでしょうが「年功序列や終身雇用制は古い」という言説。これ初めにいわれ始めたのは2000年代初頭くらいでした。 ホリエモンとかのあの時期。僕は、高校生か、高校を卒業した頃で、へたくそな反逆の時期で、これらのプロパガンダを、鵜呑み(うのみ)にしていました。 「年功序列や終身雇用制は古い」。これこそ、日本封殺の伝家の宝刀(でんかのほうとう)です。文化人類学者・ジェフリー・ゴーラーがつくりあげ、ローレンス・サマーズが引き継いだ、共同体破壊の
アメリカの戦後日本統治の目的は、「地域共同体を破壊すること」でした。そしてそれは、完璧に実行されます。 小室直樹氏は『危機の構造 日本社会崩壊のモデル』(小室直樹著 中公文庫 1991年)のp163で、日本の村落共同体は、終戦とともに崩壊をはじめたと指摘しています。 これは、「歴史上もっとも成功した改革」と、マッカーサーが自画自賛する農地改革法のことをいっているんでしょう。 大きくいえばここで、日本の共同体は破壊されたんです。 いったん破壊されます。しかし、日本人は再
前回まで ○日本は「共同体」の究極進化系 ○日本人という生態系は、イギリス・アメリカ系の文化人類学者によって解析終了 ○とくに文化人類学者・ジェフリーゴーラーの日本分析『日本人の性格構造とプロパガンダ』が、戦後の処遇を決めた 「日本の敗北」は初めから決まっていた 『日本人の性格構造とプロパガンダ』に書かれた分析と占領政策は、ほとんどそのまま戦後日本に適応されています。 ゴーラーが『日本人の性格構造とプロパガンダ』を書いたのは、1941年から1942年にかけてです。
前回まで。 ○日本人は社会工学をほどこされた ○日本人を改造したのはスーパー理想主義者 「社会人」は戦後に生まれた そして、「数式は美しい」の連中が、日本に上陸しました。スーパー理想主義者たちです。 太平洋戦争で壊滅した戦後日本に、社会工学がほどこされました。 GHQの中のニューディーラーと呼ばれる連中が、戦後日本の青写真を描いたんです。現在の日本国憲法も彼らの手によるもの。 ニューディーラーは、僕にいわせれば、キリスト教の聖職者です。 『pre establis