シーツ寝袋:薄い。軽い。暖かい。
旅人が持っていくことのできる荷物は、限られています。よくよく必要なものを吟味して、極力負担をなくし、快適な旅を実現しなければなりません。
個人的には、その荷物を持って一日観光ができるかを基準にしています。そうすると、リュックサック一個の重さが5kg前後、30Lのリュックサックの容積の8割ほどだろうと思います。
宿を決めて、そこに荷物を置いて、軽装で観光に出ることが理想ですが、風来坊的な性格のためか、その宿に何泊するか計画予約を作らずに、その日その日にどこに泊まるか決めています。
そんなリュックサックの中に、旅のロマンと「快適さ」を詰め込まなければなりません。それは、狂おしい取捨選択の連続となります。
作家・旅人の蔵前 仁一(くらまえ じんいち)さんは、荷物の一つ一つをグラム単位で計量し、旅行に持っていくか決めると、氏の著作の中でありました。氏は、鹿児島県は霧島の古い旅館に生まれ、家業としては旅人に宿を提供する側であったのですが、彼自身の趣向選択として、「旅人」「旅行人」という生き方を選びます。
「同じ街の同じ宿に最低でも一週間ほど泊らなければ、他の旅人とも話ができないし、旅に必要な情報交換もできない。その街のことも分からない。」ということを著作の中で書いておられました。また同氏により、「旅行人」という雑誌を定期刊行されていました。その雑誌のクオリティの高さといったら。現在ではSNSの発達で、美しい異国の秘境の多くの写真は、簡単にスマホで見ることができます。しかし、雑誌「旅行人」に掲載された写真は一つ一つは、旅人が直に現地に飛び込む中で垣間見た珠玉のリアリティというべきものです。
蔵前氏がグラフィックデザイナーであることも、写真に現実世界の美を切り取ることを可能とせしめた理由の一つかもしれません。
さて、私の旅用リュックサックの底にいつも仕舞ってあるのが、下記リンクの旅行量シーツ寝袋です。このシーツ寝袋は文字通り、薄いコットンの生地で作られた長方形の寝袋です。側面と足部にかけて、L字型のファスナーがつけてあり、全て広げれば、ダブルベッドほどの広さになります。
重量は545gとあり、大変軽いです。一枚の厚みのないシーツですので、リュックの中でかさばりません。そして何より暖かいのです。
夏場のホテル24度前後のエアコン環境下で、Tシャツ短パンといった軽装でも快適に寝ることができます。ただ、エアコンを16−18度に設定すると、このシーツ寝袋ではやはり寒くて夜中に目を覚まします。
国内旅行では、漫画喫茶の個室ブースで宿泊することもあります。それでもこれがあれば、よく眠れるのです。
このシーツ寝袋の背面を前面に使用して、すっぽりと頭からつま先まで体に被せます。そして枕収納用の頭部の布部分を顔にちょうど被さるようにして、アイマスクのようにして照明を避けます。
またこうすると、自分の出す呼気が寝袋内部に滞留して、身体を少し暖かく保つことができます。さらには、エアコンの空気乾燥による咽頭部の乾燥を防ぎ、体調悪化を予防することができます。
あるいは、少し暑くて寝つきが悪い場合には、ファスナーを適時開けて涼しくします。側面のファスナーを開ければ、だいたいは解決します。これは実際にこれを使用してみて、自分にあった使い方を見つけ出すのが一番でしょう。
空港のフライトの待ち時間があり、そしてベンチなど寝転べるスペースがあるときは、このシーツ寝袋が大活躍します。ゆっくり身体を横にして、旅の疲れを癒すことができます。
または飛行機の中で、少し寝たいとき、これを足元から首元まですっぽり纏えば、たとえエコノミー席であっても、とても快適に眠ることができます。
快適な睡眠を確保すること、これは旅を成功させるのに必要不可欠な要素です。このお話が皆様のお役に立つことを祈念して、本日は失礼します。