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【Active Book Dialogue】『ZERO to ONE』感想レポート
こちらの本をActive Book Dialogueで読みましたので、感想レポートです。
ABDについてご存知無い方は、過去に書いたnoteに書きましたのでそちらを読んでみてください。
ちなみにこの本も勉強し放題制度で買いました。
ABDでしか読んでいないため、細部が異なる可能性があります。ご了承ください。
この本に期待していたこと
以前noteに書いた「センスは知識からはじまる」と同じく、先輩エンジニアからの強いおすすめを受けて買った本です。
おすすめされた以上の読書モチベは実はあまり無く、イノベーションを起こしたいというわけではないので、期待というほどの期待は持っていませんでした。
3行概要
新しいもの、よりよい手法を発明するのは人間だけの強み
隠れた真実を探し出し、新たなテクノロジーを生み出そう
競合するより、独占市場で戦おう
学び1:「持続可能な垂直的進歩に注力すべき」
水平的進歩と垂直的進歩という言葉が挙げられており、人間の強みは垂直的進歩にあるので、そこに注力せよということが述べられていました。
水平的進歩とはグローバリゼーションと置き換えられており、タイプライターを量産するような、既にある技術が広まっていく形での進歩です。しかしこの進歩はいつか必ず行き詰まる、持続不可能なものであるとも言われています。
垂直的進歩とは新しい何かを作ることで、これがテクノロジーであると述べられています。タイプライターではなくワープロを作り出すような、まだない技術を生み出す(ZERO to ONE)進歩です。これは持続可能ではあるものの、簡単ではないということです。
自分は『科学技術はもはや限界だ』という文脈の話を聞くと反発したくなります。この本を読んで、そういう事を言っている人にとっての科学技術とはグローバリゼーションを指していたのだなと気付きました。
科学が何故限界ではないのか、垂直的進歩と水平的進歩の違いで説明できるようになったのが、自分にとって大きな収穫でした。
学び2:「隠れた真実を追求する」
社会問題を例に挙げて、社会問題をターゲットにした企業がビジネス的になかなか成功しなかった理由を述べています。その理由はどの企業も似たような事をやって、ブレイクスルーを生み出せなかったからだということでした。
真に社会のためになるのは、隠れた真実を見つけ出した、これまでとは違うものであると繰り返し述べられています。
学び3:「コンピュータは人を代替しない」
コンピュータを愛する者は好意的に、そうでない者は否定的にですが、将来人間の仕事がコンピュータに置き換わっていく事を疑っていない中で、著者は「コンピュータは人を代替しない」と断言しています。
かつて大量移民があった時は、移民がそれまでいた人の仕事を奪う事はあったかもしれません。しかしコンピュータは自ら仕事を奪いに来ることも、人に何か対価を求めることもありません。
コンピュータによって人間が代替されることはなく、人間がより優れた価値を発揮できるようになるのだと述べられています。この主張は今別に読んでいる「人工知能は私たちを滅ぼすのか」という本でも述べられている内容で、あまり気付いていなかった部分かもしれないと思わされました。
まとめ
以前「センスは知識から始まる」を読んだ時は、「あっと驚く売れない商品」の話がありました。
その時に新しいアイデアは人に受け入れられる形でなければ、言い換えると時代を先取りしすぎてはいけないということが述べられていました。
一方でこちらの本では、時代を先取りしないと未来が無い、という警鐘を鳴らしています。そのために、徹底的に隠れた真実を追求せよと述べられています。
一見主張が異なるように感じましたが、どちらもアイデアを世に広めていく人の立場で書かれた本であるならば、どちらの言うことも矛盾しないのだと今は考えています。即ち、隠れた真実を追求して見つけ出したら、それを一般的に分かりやすい形にして広めることで商売として成功するという流れになるのでしょう。
自分は起業家を目指しているわけではないですが、テクノロジーの進歩のためには必要な視点だと思うので、その姿勢はインプットしようと考えています。
この本から得られるアクション
グローバリゼーションではなく、テクノロジーの進化に貢献する意思を持つこと。これまでも「ITエンジニア(=技術者)として自分にできることは何か?」と考えていましたが、その答えが出たように思います。
今自分がしようとしている仕事は垂直的進歩なのか水平的進歩なのか、グローバリゼーションなのかテクノロジーなのかを意識する。殆どの仕事がいまだに水平的進歩であるのは違いありませんが、垂直的進歩に貢献できる事も少なくないはずで、よりその比重を増やしていくことならば今からでもできる、と考えています。