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運動器の解剖学⑳(筋学)各論!Ⅱ頸部の筋について

頸部の筋については、無料公開中です。

頸部の筋の分類表

頸部の筋は、頸部の前方及び外側にあり,表層の浅頸筋と深層の深頸筋に分ける.

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※頸神経ワナAnsa cervicalis(⇒舌骨下筋群の頁)
※三叉神経は,第1枝(眼神経),第2枝(上顎神経),第3枝(下顎神経)からなる.
※脳神経cranial nerve(CN)は,第1脳神経~第12脳神経(CNⅠ~ⅩⅡ)まで左右12対ある末梢神経.
CNⅠ嗅神経,CNⅡ視神経,CNⅢ動眼神経,CNⅣ滑車神経,CNⅤ三叉神経,CNⅥ外転神経,CNⅦ顔面神経,CNⅧ内耳神経,CNⅨ舌咽神経,CNⅩ迷走神経,CNⅪ副神経,CNⅫ舌下神経

A. 浅頸筋

最も表層の浅頸筋,外側の外側頸筋,舌骨より上の舌骨上筋,舌骨より下の舌骨下筋からなる.

1.浅頸筋

頸部前面の最も表層にある四角形の板状筋.広頸筋platysmaが含まれる。皮筋(ひきん)※の1つ.

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※皮膚に付く筋を皮筋cutaneous muscleという.

2.外側頸筋

頸部前外側で広頸筋の深層にある.主に頭頸部の運動,吸息の補助に作用する.胸鎖乳突筋sternocleidomastoidが含まれる。

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・頭部の伸展では、環椎後頭関節の屈曲,伸展の運動軸よりも後方を筋が通り,頭部に対しては伸展作用となる.

3.舌骨上筋

舌骨より上にあり,舌骨を頭蓋骨や下顎骨に結びつける.全体として頭部の屈曲を補助する.顎二腹筋digastricus、茎突舌骨筋stylohyoid、顎舌骨筋mylohyoid、オトガイ舌骨筋geniohyoidが含まれる。

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舌骨下筋

舌骨より下にあり,嚥下(えんげ)や会話の際に舌骨,喉頭を引き下げる.全体として頸部の屈曲を補助する.胸鎖乳突筋sternohyoid、肩甲舌骨筋omohyoid、胸骨甲状筋sternothyroid、甲状舌骨筋thyrohyoidが含まれる。

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頸動脈三角carotid triangle

胸鎖乳突筋の前縁,肩甲舌骨筋の上腹,顎二腹筋の後腹で囲まれる三角形の部分.脈拍がよく触れ,ここで総頸動脈が内頸動脈と外頸動脈に分かれる.

頚神経ワナAnsa cervicalis

C1の枝は舌下神経と共通の皮膜に一部が包まれ上根superior rootを形成しC2,3の下根inferior rootと合わさって神経のループ(ワナ)を作る.舌骨下筋群とオトガイ舌骨筋を支配する.

オトガイ舌骨筋と甲状舌骨筋の支配神経は?

舌下神経支配のように見えるが,実はC1(C2)の神経線維が舌下神経に合して上根を経由した後,再び分かれたものから支配される.

「頭部の屈曲」「頸部の屈曲」とは?

 ①頭部の屈曲・伸展
環椎後頭関節による環椎と後頭骨の間での頭部の
動きで,頸椎の動きは関係しない.

 ②頸部の屈曲・伸展
頸椎の椎間関節,椎間板による頸椎の動きで,環
椎と後頭骨の動きは関係しない.

 ③頭部と頸部の複合屈曲・複合伸展
 上記①②の動きが複合して生じる場合.

B. 深頸筋

深頸筋は、頸部の深層にあり斜角筋群椎前筋群の2つに分ける.全て頸神経(前枝)の支配.

【斜角筋】

頸部の下外側の深層にあり頸椎の横突起から上位の肋骨に付き,頸部の側屈や吸息を補助する.前斜角筋scalenus anterior、中斜角筋scalenus medius、後斜角筋scalenus posteriorが含まれる。

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【椎前筋】

頸部前面の深層(頸椎の椎体前面)にある細長い筋.主に頭頸部の屈曲に作用する.頚長筋longus colli、頭長筋longus capitis、前頭直筋rectus capitis anterior、外側頭直筋rectus capitis lateralisが含まれる。

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頭頸部に作用する筋

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