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[解剖学編 Vol.17] 前鋸筋と肩甲骨の外転機能について
こんにちは!コンさん@施術に役立つ解剖学の近藤優也です。
前鋸筋(ぜんきょきん)は、肩甲骨の安定性や腕の動きを支える重要な筋肉です。この筋肉が弱化すると、肩甲骨が不安定になり、肩こりや巻き肩、肩関節の痛みにつながることがあります。本記事では、前鋸筋の解剖学的特徴、機能、施術アプローチ、症例別の対応策について詳しく解説します。
この記事で分かること
前鋸筋の解剖学的特徴と役割
前鋸筋の機能不全が引き起こす問題
前鋸筋をケアする施術アプローチ
症例別の具体的なアプローチ方法
1. 前鋸筋の解剖学的特徴
前鋸筋は、肩甲骨と肋骨をつなぎ、肩甲骨の外転(外側へ移動する動作)を担う筋肉です。
起始と停止
起始(きし):
第1~第9肋骨(ろっこつ)の外側面
停止(ていし):
肩甲骨の内側縁(ないそくえん)
神経支配
支配神経: 長胸神経(ちょうきょうしんけい)(C5-C7)
主な役割
肩甲骨の外転(前方への動き):
プッシュアップやパンチ動作で肩甲骨を安定させる。
肩甲骨の安定化:
大胸筋や僧帽筋と協力し、肩甲骨がスムーズに動くようサポート。
肩関節の動作補助:
肩を上げる動作(挙上時)において肩甲骨の動きをスムーズにする。
筋膜との連携
前鋸筋は大胸筋、僧帽筋、菱形筋と連携し、腕の動作や体幹の安定性にも影響を与えます。
2. 前鋸筋の機能不全が引き起こす問題
弱化による問題
肩甲骨の翼状化(よくじょうか):
前鋸筋が弱化すると、肩甲骨が浮き上がり、背中に突出する状態になる。
肩関節の不安定性:
プッシュアップやパンチ動作が不安定になり、動作の効率が低下。
過緊張による問題
巻き肩の促進:
過度に働くと肩が前方へ巻き込み、姿勢の崩れを引き起こす。
呼吸の制限:
肋骨への付着部が硬くなると、胸郭の可動域が制限される。
3. 前鋸筋をケアする施術アプローチ
① 筋膜リリース
前鋸筋の柔軟性を回復し、肩甲骨の動きをスムーズにします。
手順:
クライアントを仰向けまたは側臥位に寝かせます。
肋骨外側から肩甲骨内側にかけて軽い圧を加えながら、筋膜リリースを行う。
呼吸に合わせて圧を調整し、リラックスを促します。
② ストレッチ
前鋸筋の柔軟性を高め、肩甲骨のスムーズな動きをサポートします。
手順:
クライアントに壁に手をついてもらい、体をひねる。
片側の肋骨を開くようにストレッチ。
15~20秒間保持し、3セット繰り返す。
③ 筋力強化エクササイズ
弱化している場合、前鋸筋を鍛えるエクササイズを提案します。
エクササイズ例:
プッシュアッププラス: 腕立て伏せのポジションで肩甲骨を前に押し出す動作を加える。
セラバンド・プロトラクション: ゴムバンドを使い、前方へ押し出す動作で強化。
4. 症例別アプローチ:前鋸筋の弱化による肩甲骨の翼状化のケース
症状
肩甲骨が背中で浮き上がる。
腕を伸ばす動作が不安定。
長時間のデスクワークで肩や首の疲労が増す。
アプローチ例
リリース:
肩甲骨と肋骨の間の筋膜をリリースし、動きを改善。
ストレッチ:
胸郭の可動域を広げ、肩甲骨の位置を正す。
筋力強化:
プッシュアッププラスやセラバンドトレーニングを取り入れ、安定性を向上。
5. 前鋸筋ケアの効果
肩甲骨の安定性向上: 前鋸筋が適切に機能することで、肩甲骨の動きがスムーズに。
姿勢の改善: 肩甲骨の翼状化を防ぎ、猫背の矯正につながる。
動作のスムーズさ向上: 前鋸筋の強化により、スポーツや日常動作のパフォーマンスが向上。
肩こりや背部痛の軽減: 肩甲骨の位置が正しくなることで、首や肩の負担が軽減。
6. まとめ:前鋸筋ケアの重要性と次回予告
前鋸筋は肩甲骨の外転機能や安定性に欠かせない筋肉です。その適切なケアを行うことで、肩こりや猫背の改善、腕のスムーズな動きを実現できます。
次回は[解剖学編 Vol.18] 小円筋と肩関節の外旋機能についてをお届けします!
質問やリクエストがあれば、ぜひコメントで教えてください!一緒に学び、成長していきましょう!