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[解剖学編 Vol.15] 広背筋と肩甲骨の安定性について
こんにちは!コンさん@施術に役立つ解剖学の近藤優也です。
広背筋は背部全体を覆う大きな筋肉で、肩甲骨や上肢の動き、姿勢の維持に重要な役割を果たします。この筋肉が適切に機能しないと、肩甲骨の安定性が損なわれ、肩こりや姿勢不良、動作の制限が起こります。本記事では、広背筋の解剖学的特徴、役割、施術アプローチ、症例別のアプローチ方法を詳しく解説します。
1. 広背筋の解剖学的特徴
広背筋は、体幹と上肢を結ぶ筋肉で、背部の外側に広がる大きな筋肉です。
起始と停止
起始(きし):
第6–12胸椎棘突起(きょうついきょくとっき)
腰椎棘突起(ようついきょくとっき)
腸骨稜(ちょうこつりょう)
胸腰筋膜(きょうようきんまく)
停止(ていし):
上腕骨小結節稜(じょうわんこつしょうけっせつりょう)
神経支配
支配神経: 胸背神経(きょうはいしんけい)(C6-C8)
主な役割
肩関節の内転と伸展:
上肢を体側に引き寄せたり後方に引く動作をサポート。
肩甲骨の安定性のサポート:
肩甲骨の下制と内転を促し、安定した肩関節の動きを可能にします。
体幹の安定:
胸腰筋膜を介して骨盤と脊柱を安定化。
筋膜との連携
広背筋は、胸腰筋膜を介して大殿筋や多裂筋と連動し、全身の動きや姿勢に寄与します。
2. 広背筋の機能不全が引き起こす問題
弱化による問題
肩甲骨の不安定性:
広背筋の弱化により、肩甲骨が正しい位置を維持できず、肩こりや肩甲骨周辺の痛みを引き起こす。
動作の非効率:
引き動作(プル動作)がスムーズに行えず、スポーツパフォーマンスが低下。
過緊張による問題
肩の動きの制限:
肩甲骨の下制が強くなり、可動域が制限される。
腰部の緊張:
胸腰筋膜を介した過緊張が腰痛を誘発。
3. 広背筋をケアする施術アプローチ
① 筋膜リリース
広背筋の緊張を緩め、柔軟性を回復します。
手順:
クライアントをうつ伏せに寝かせます。
胸腰筋膜に沿って軽い圧を加えながら、筋膜をリリース。
肩甲骨周辺の筋膜も同時に緩めます。
② ストレッチ
広背筋の柔軟性を高め、動作をスムーズにします。
手順:
クライアントに両手を頭上に伸ばしてもらいます。
上体を側屈させ、反対側の広背筋をストレッチ。
15-20秒間保持し、呼吸を深めながらリラックスを促します。
③ 筋力強化エクササイズ
弱化している場合は、広背筋を鍛えるエクササイズを提案します。
エクササイズ例:
ラットプルダウン: 上肢を引き下げる運動で、広背筋を直接強化。
プルアップ(懸垂): 全体的な引き動作の強化に効果的。
4. 症例別アプローチ:広背筋の弱化による肩甲骨の不安定性のケース
症状
肩甲骨が外側に広がり、上肢の動作が不安定。
長時間のデスクワークで肩甲骨周りに疲労感。
アプローチ例
リリース:
胸腰筋膜と肩甲骨周辺の筋膜をリリース。
ストレッチ:
側屈ストレッチを指導し、柔軟性を改善。
筋力強化:
ラットプルダウンやプルアップを取り入れ、広背筋を強化。
5. 広背筋ケアの効果
肩甲骨の安定性向上: 広背筋が適切に機能することで、肩甲骨の位置が整い、動作がスムーズに。
姿勢の改善: 胸腰筋膜を介した体幹の安定が得られ、正しい姿勢が維持される。
動作効率の向上: 引き動作がスムーズになり、スポーツや日常動作のパフォーマンスが向上。
腰痛の軽減: 胸腰筋膜の緊張が緩和され、腰部への負担が軽減。
6. まとめ:広背筋ケアの重要性と次回予告
広背筋は、肩甲骨の安定性や引き動作に欠かせない筋肉です。そのケアを行うことで、肩や腰の痛みの改善、動作効率の向上が期待できます。
次回は[解剖学編 Vol.16] 菱形筋と肩甲骨の内転機能についてをお届けします!
質問やリクエストがあれば、ぜひコメントで教えてください!一緒に学び、成長していきましょう!