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【5-1 (1)】泌尿器系 - 腎臓 解説

↑ 解剖学マガジン記事一覧(目次)

■ 第5章 消化器系 資料配付ページ(プリント・スライド)
<5-1  腎臓>
【5-1(1)】腎臓 解説
【5-1(2)】腎臓 一問一答
【5-1(3)】腎臓 国試過去問
<5-2 尿管・膀胱・尿道>
【5-2(1)】尿管・膀胱・尿道 解説
【5-2(2)】尿管・膀胱・尿道 一問一答
【5-2(3)】尿管・膀胱・尿道 国試過去問

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- 学習のポイント -
1. 腎臓の位置と固定装置
腎臓は腹膜後器官。右腎の方が左腎より1/2腰椎分低い。
腎筋膜、脂肪被膜、線維被膜 (腎被膜)の順におおわれる。


2. 腎臓の構造
肉眼構造:腎門は腎静脈、腎動脈、尿管が出入りする。
腎錐体(8〜12個の腎錐体が集まり髄質を形成)/ 腎錐体の先端=腎乳頭(集合管が開口)
一つの腎錐体とそれに付属する皮質を合わせて腎葉という。
組織構造:皮質:腎小体(糸球体+ボウマン嚢)が存在 / 髄質:ヘンレループが存在。
<血液の流れと尿の流れ>
血液:腎動脈 → 葉間動脈 → 弓状動脈 → 小葉間動脈 → 輸入細動脈 → 糸球体 → 輸出細動脈 → 尿細管周囲毛細血管 → 小葉間静脈 → 弓状静脈 → 葉間静脈 → 腎静脈
尿:ボウマン嚢 → 近位尿細管 → ヘンレループ → 遠位尿細管 → 集合管 → (腎乳頭) → 小腎杯 → 大腎杯 → 腎盂 → (腎門) → 尿管

腎小体+尿細管=ネフロン(腎臓の機能的単位)
濾過膜:内皮細胞、基底膜、足細胞突起

傍糸球体装置:緻密斑(遠位尿細管に存在し、濾液流量を監視)、傍糸球体細胞(輸入細動脈にありレニンを分泌)
レニン- アンジオテンシン-アルドステロン系(体液量を増やし、血圧を上昇させる → 濾液流量が上昇)
アンジオテンシンII:血圧を上昇させ、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促す
アルドステロン:腎集合管において、ナトリウムイオンと水の再吸収を促進させる

■ 1. 腎臓の位置

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.005

・腎臓は位置は成人男性で左腎が第11胸椎〜第3腰椎の上縁までの間に存在します。
・半分、肋骨に隠れるようにして存在。
右腎は左腎より1/2〜1腰椎分低い位置にあります。
 (右には大きな肝臓があるため)
・腎臓は上部に副腎を載せます。
・腎臓は腹膜後器官(十二指腸, 膵臓, 腎臓, 副腎 + 尿管, 下大静脈, 腹大動脈)

▶ 腎臓と性腺の脈管(その特徴)

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.006

・右腎動脈は下大静脈の背側を通り右腎門に入ります
・右腎静脈は左腎静脈より短い(下大静脈が右側を走行するため)
・右性腺静脈は下大静脈に直接注ぎます
・左性腺静脈は左腎静脈に注ぎます

▶ 腎臓に接する臓器の位置

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.007
【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.008

右腎に接する臓器
・肝臓
・十二指腸
・右結腸曲

左腎に接する臓器
・胃
・膵臓
・脾臓
・空腸
・下行結腸

※ 臓器の位置関係などは理屈で覚えにくいのでいきなり出題されると焦ります。位置を問うような過去問に出会った時に、必ず図で確認する習慣をつけておくと、だんだんと立体配置が理解できてきます。

▶ 腎臓をつつむ膜

腎臓は腎筋膜、脂肪被膜、線維被膜 (腎被膜)の順におおわれています。

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.009

腎筋膜(ゲロタ筋膜):密性結合組織の膜状の構造物。筋組織を包んでいるのではなく、腎臓・副腎をつつんだ脂肪被膜を覆う。前葉と後葉が腎の外側方で合わさり、さらに腹壁の筋群の内面を被う「横筋筋膜」へと続く。
脂肪被膜:腎臓・副腎をつつむ脂肪組織の塊
線維被膜 (腎被膜):薄く堅い結合組織の被膜で、腎臓表面を覆う。

■ 2. 腎臓の構造と機能

▶ 腎臓の外観

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.011

・腎臓の大きさは縦約10cm、横約5cm、重さ100gあまりで、ソラマメ型の器官です。
・中央内側部は凹んで腎門と呼ばれます。
・腎門では一般的に前面から、腎静脈、腎動脈、尿管という順番で並んでいます。(VAU)

▶ 腎臓の内部構造

<皮質と髄質>

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.012

皮質腎小体(糸球体+ボウマン嚢)が存在。血液が濾過されます。
髄質は8〜12個の腎錐体で構成され、尿細管や集合管の集まりとなっています。
(髄質にはヘンレループが存在)
・腎錐体の先端を腎乳頭といい、生成された尿が小腎杯へと放出されます。
・ひとつの腎錐体とその周囲の皮質をあわせて腎葉といい、腎機能の肉眼的単位です。

▶ 腎盂〜大腎杯〜小腎杯

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.013

小腎杯:腎乳頭の先端を取り巻き、排泄された尿を受け取ります。
大腎杯:小腎杯があつまり、2〜3個の大腎杯となります。
腎盂(腎盤):大腎杯が合流し、ひとつの腎盂(腎盤)となり、腎門より尿管へと続きます。

腎杯・腎盂・尿管・膀胱は移行上皮(まとめて覚える)

▶ 腎臓内の血管(葉間動脈と弓状動脈)

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.014

腎動脈:腎門より腎臓内に入ります(腎血流量(RBF)は、心拍出量の25%に達する)
葉間動脈:腎動脈から枝分かれし、腎錐体の間(腎葉の間)を進みます
弓状動脈:葉間動脈の続き。皮質と髄質の間を横走し、小葉間動脈を分岐します

【徹底的国試対策】5-1 泌尿器系 - 腎臓.015

小葉間動脈:弓状動脈から分かれ、皮質の中を上行し、途中で多くの枝を出す。
そして輸入細動脈として糸球体に入り、輸出細動脈として糸球体を出る。
糸球体:毛細血管の糸玉状のかたまり
輸出細動脈:尿細管を取り囲む毛細血管に再び分かれ、小葉間静脈、弓状静脈となって還る。

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