【2-6(2)】 循環器系 - リンパ系 一問一答
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【2-6 循環器系 - リンパ系】
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【リンパ系の全体像】
血管から染み出た液性成分は組織液となり、大部分は膠質浸透圧の作用で毛細血管に再吸収されるが、(約 %) はリンパ液としてリンパ管に回収される。
【答え】約10%
血管から血圧により、血液中の水分や電解質、糖やアミノ酸などが染み出て、組織液となり周囲を栄養いたします。
しかし、血漿タンパク質は分子量が大きく、血管壁を通過することができません。
すると、血管内の血漿と、血管周囲の組織液を比較した場合、血漿のほうが血漿タンパク質が含まれる分だけ、濃い液体ということになります。
水が移動できる膜を境に、薄い液体と濃い液体が隣り合う場合、濃い液体は薄い液体から水を引き寄せる力が働きます。これを浸透圧といいます。
血漿タンパク質によって生じる浸透圧が膠質浸透圧で、25mmHgあります。
膠質浸透圧のおかげで、一度染み出た血液中の水分が、ふたたび血管内へともどってこれます。
毛細血管の細動脈側では血圧が35mmHgです。よって血圧-膠質浸透圧で35-25=10mmHgが濾過圧となります。
一方、毛細血管の細静脈側では血圧は15mmHgしかありません。膠質浸透圧は変わらず25mmHgなので、15-25= -10mmHg が濾過圧となります。
マイナスなので、再吸収の力として働きます。
血管から染み出た液体の90%が毛細血管へと再吸収され、10%がリンパ液として毛細リンパ管に回収されます。
リンパ管は毛細血管では回収しにくい分子量の( い) 物質も回収できる。
【答え】大きい
リンパ管は毛細血管では回収しにくい分子量の大きい物質も回収できます。
毛細血管壁から血漿タンパク質は濾過されません。これにより、膠質浸透圧が生じて、染み出た液体が再び血管内へと戻ることができるのですが。。
タンパク質が濾過されないということは、逆に言えば、タンパク質のような大きな物質は毛細血管には吸収できないということになります。
そこで、リンパ管の出番です。リンパ管は毛細血管では回収しにくい大きな物質も回収可能。これこそが血管系とは別にリンパ系が存在する理由です。
リンパ系は、各組織内で( リンパ管)から始まる。
【答え】毛細リンパ管
リンパ系は、各組織内で毛細リンパ管から始まります。
毛細血管は必ず動脈と静脈に繋がり、行き止まりの毛細血管はありませんが、毛細リンパ管は先が閉じられた盲端の構造から始まります。
先ほどもでてきたとおり、毛細血管に比べて毛細リンパ管は内皮細胞間の隙間が大きいのが特徴です。それにより大きな異物も回収可能です。
リンパ管の途中には ( ) という濾過装置があり、リンパ内に異物や細菌が入り込むとそれらを捕獲し除去する。
【答え】リンパ節
リンパ管の途中にはリンパ節という濾過装置があり、リンパ内に異物や細菌が入り込むとそれらを捕獲し除去します。
リンパ管は大きな異物も回収可能であるということが、最大の存在理由です。その回収した異物を処理するための濾過装置がリンパ節です。
異物を回収し、処理して、必要であれば免疫応答を行なうことにより、リンパ系は身体の防御に大切な働きをなしています。
毛細リンパ管は輸入リンパ管と輸出リンパ管に挟まれる。○×
【答え】×毛細リンパ管は先端が閉じられた盲端より始まる
毛細血管は行き止まりはなく、必ず動脈側と静脈側で繋がっていますが、毛細リンパ管は先端が閉じられた盲端より始まります。
毛細リンパ管は毛細血管に比べて内皮細胞間の隙間が ( い)
【答え】大きい
毛細リンパ管は毛細血管に比べて内皮細胞間の隙間が大きいのが特徴です。隙間が大きいので、大きな異物も回収可能です。
太めのリンパ管は内膜と外膜の2層構造をとる。○×
【答え】× 内膜・中膜・外膜の3層構造
太めのリンパ管は静脈と構造が類似していて、内膜・中膜・外膜の3層構造からなります。
内膜:単層扁平上皮の内皮細胞
中膜:平滑筋
外膜:線維性結合組織
リンパ管は静脈と同じく弁をもち、周囲の動脈拍動や筋ポンプ作用により還流が促進される。○×
【答え】○
リンパ管は静脈と同じく弁をもち、周囲の動脈拍動や筋ポンプ作用により還流が促進されます。
毛細リンパ管以外のリンパ管はまわりを ( 筋) でおおわれており、それによって自発的に収縮することができる。
【答え】平滑筋
毛細リンパ管以外のリンパ管はまわりを平滑筋でおおわれており、それによって自発的に収縮することができます。これをリンパの能動輸送といいます。
血管の場合、静脈の血圧は低い(最も高い臍静脈で15mmHg、大静脈では5mmHg以下)ですが、それでも動脈側から持続的に血液が押し出されてくるので、流れができます。
しかし、リンパ管は盲端の構造から始まり、リンパ管だけで循環するようにはできていないので、押し出される力がどうしても欠けます。弁構造があり、周囲の動脈拍動や筋ポンプ作用により還流が促進されますが、リンパ管自身の収縮がリンパ還流の最も主要な原動力となっています。
【リンパ管の走行】
リンパ管は、皮下にある浅リンパ管と、からだの深部を走る中心リンパ管に大別される。○×
【答え】×
リンパ管は、皮下にある浅リンパ管と、からだの深部を走る深リンパ管に大別されます。
小腸粘膜の絨毛には ( ) というリンパ管が走る。
【答え】中心リンパ管
小腸粘膜の絨毛には中心リンパ管というリンパ管が走っています。
別名、中心乳糜腔ともいいます。
小腸で吸収された ( ) は血管に入らずにリンパ管に入る
【答え】脂質
糖とアミノ酸は毛細血管に吸収され、門脈に集められて肝臓へと行くのに対し、脂質は中心リンパ管へと入ります。
食事をとった後は、腸管からのリンパ管には脂肪滴を含む白濁したリンパ液が流れます。この白濁したリンパ液を「乳び」といいます。
中心リンパ管に吸収されたリンパは、小腸粘膜より腸間膜へと続く乳び管を流れ、最終的に腸リンパ本幹へと集まります。
その後、左右の腰リンパ本幹と腸リンパ本幹が合わさり、少し膨れて乳び槽を形成します。乳び槽から胸管が始まります。
胸管は大動脈裂孔より胸腔内へと入り、胸郭上口を抜け、左静脈角へと注ぎます。
【全身のリンパ本幹】
胸管は (A. と ) の、右リンパ本幹は(B. )のリンパを集める
【答え】A. 下半身と左上半身 B. 右上半身
胸管は下半身と左上半身、右リンパ本幹は右上半身のリンパを集めます。
下肢のリンパは ( ) に集まる。
【答え】鼠径リンパ節
下肢のリンパは鼠径リンパ節に集まります。
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