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【7-1 (3)】内分泌系 国試過去問解説 ①解剖

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【8-1 神経系 - 神経系概論・脊髄】

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内分泌は問題がとても多いので、①解剖、②生理に分割しました。

解剖学 内分泌

■ 内分泌の特徴

<2015 あマ指 22>
内分泌腺の特徴はどれか。
 1.導管がみられる。
 2.ホルモンを分泌する。
 3.分泌腺は標的器官に隣接する。
 4.神経性調節より速やかに作用する。

【答え】2

1. 内分泌腺は導管を欠く
2. ○ 内分泌腺はホルモンを分泌する
3. 分泌腺は標的器官から離れている
ホルモンは毛細血管に分泌され、血流によって運ばれて離れたところにある標的器官に作用する
4. 神経性調節より穏やかに作用する

<2012 柔整 50>
ホルモンで誤っているのはどれか。
 1.生体調節機構をもつ。
 2.標的器官をもつ。
 3.消化酵素を含む。
 4.血液中に分泌される。

【答え】3

1.生体調節機構をもつ
(神経性調節に比べ作用がゆっくりで持続的)
2.標的器官をもつ
(ホルモンは血液により運ばれ、離れた部位の標的器官に作用)
3.○ 消化酵素を含まない
(消化酵素は外分泌)
4.血液中に分泌される。
(内分泌腺は導管をもたず、分泌物(ホルモン)は血液中に分泌される)

■ 下垂体(解剖)

<2021 あマ指 20>
神経性下垂体から分泌されるホルモンはどれか。
 1.カルシトニン
 2.成長ホルモン
 3.パラソルモン
 4.バソプレシン

【答え】4

1.カルシトニン:甲状腺 傍濾胞細胞より分泌
2.成長ホルモン:下垂体前葉(腺性下垂体)より分泌
3.パラソルモン:上皮小体(副甲状腺)より分泌
4.○ バソプレシン:下垂体後葉(神経性下垂体)より分泌

<1999 鍼灸 26 >
下垂体について正しい記述はどれか。
 1.視神経交叉の前方に位置する。
 2.下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。
 3.後葉には多数の有髄神経線維がみられる。
 4.中間葉は前葉と間脳との間に位置する。

【答え】2

1.視神経交叉の後方に位置する。
2.○ 下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。
  (視床下部ホルモンを下垂体前葉へ運ぶ)
3.後葉には多数の無髄神経線維がみられる。
4.中間葉は前葉と後葉との間に位置する。

<2001 鍼灸 22>
門脈系がみられる内分泌腺はどれか。
 1.松果体
 2.下垂体
 3.甲状腺
 4.副腎

【答え】2

毛細血管が集まり静脈となり心臓に戻る途中、再び毛細血管網となる血管系を門脈といいます。
通常、門脈といえば、脾臓や消化管からの血液を肝臓に送る肝門脈を指しますが、視床下部と下垂体前葉の間にも門脈の構造がみられます。
これを下垂体門脈といい、視床下部ホルモンを下垂体前葉に運びます。

<2005鍼灸 28>
下垂体について誤っている記述はどれか。
 1.トルコ鞍の中に位置する。
 2.腺性下垂体と神経性下垂体からなる。
 3.前葉には下垂体門脈系の血液が注ぐ。
 4.後葉には後葉ホルモン産生細胞がある。

【答え】4

1.トルコ鞍の中に位置する。
 (中頭蓋窩、蝶形骨 トルコ鞍の下垂体窩)
2.腺性下垂体と神経性下垂体からなる。
 (前葉:腺性下垂体/後葉:神経性下垂体)
3.前葉には下垂体門脈系の血液が注ぐ。
 (視床下部 → 下垂体門脈 → 下垂体前葉)
4.○ 後葉には後葉ホルモン産生細胞がない
 下垂体後葉ホルモン(オキシトシン・バソプレッシン)は視床下部の神経細胞で産生され、軸索輸送にて下垂体後葉まで運ばれ放出される。

<2016 鍼灸 25>
下垂体について正しいのはどれか。
 1.第4脳室底部に突出する。
 2.腺性下垂体は前方に位置する。
 3.神経性下垂体は咽頭に由来する。
 4.下垂体ホルモンは下垂体門脈系により標的器官に達する。

【答え】2

1.視交叉の後方で、視床下部の下に突出する。
 (第四脳室は延髄・橋の背側と小脳の間なので、まったく位置が違う)
2.○ 腺性下垂体は前方に位置する。
 (前葉:腺性下垂体 / 後葉:神経性下垂体)
3.腺性下垂体口窩に由来(口窩 → ラトケ嚢 → 下垂体前葉)
  神経性下垂体は視床下部の神経線維が延びてきたもの
4.視床下部ホルモンは下垂体門脈系により下垂体前葉に達する
  下垂体ホルモンは一般の血管系により全身の標的器官に達する

<2020 鍼灸 23>
下垂体について正しいのはどれか。
 1.前葉の働きは視床下部の支配を受ける。
 2.後葉は乳腺刺激ホルモンを分泌する。
 3.神経性下垂体では下垂体門脈系が形成される。
 4.腺性下垂体は胎生期に神経管から独立してできる。

【答え】1

1.○ 前葉の働きは視床下部の支配を受ける。
 (視床下部ホルモンは下垂体門脈を経由し下垂体前葉に作用)
2.前葉は乳腺刺激ホルモンを分泌する。
 (乳腺刺激ホルモン=プロラクチン)
3.腺性下垂体では下垂体門脈系が形成される。
4.腺性下垂体は胎生期に口窩から独立してできる。
 (口窩 → ラトケ嚢 → 下垂体前葉)

<1998 柔整 2>
神経分泌物質を放出する器官はどれか。
 1.下垂体前葉
 2.下垂体後葉
 3.副腎皮質
 4.甲状腺

【答え】2

視床下部 室傍核・視索上核のニューロンで産生されたオキシトシン・バソプレシンが軸索輸送で下垂体後葉まで運ばれて放出される

<1999 柔整 18>
下垂体前葉から分泌されないのはどれか。
 1.メラトニン
 2.プロラクチン
 3.副腎皮質刺激ホルモン
 4.成長ホルモン

【答え】1

メラトニンは松果体から分泌

<2002 柔整 20>
下垂体ホルモンから直接の影響を受けない臓器 はどれか。
 1.精巣
 2.甲状腺
 3.脾臓
 4.乳腺

【答え】3

1.精巣:FSH → 精子形成促進 / LH → テストステロン分泌促進
2.甲状腺:TSH → 甲状腺ホルモン分泌促進
3.○ 脾臓(赤脾髄:古い赤血球の破壊 / 白脾髄:抗体産生)
4.乳腺:プロラクチン → 乳汁産生促進

<2003 柔整 20>
腺性および神経性の部位からなるのはどれか。
 1.上皮小体
 2.甲状腺
 3.下垂体
 4.精巣

【答え】3

前葉:腺性下垂体 / 後葉:神経性下垂体

<2004 柔整 19>
下垂体門脈系について正しいのはどれか。
 1.前葉で毛細血管になった血管が後葉でふたたび毛細血管になる。
 2.後葉で毛細血管になった血管が前葉でふたたび毛細血管になる。
 3.視床下部で毛細血管になった血管が後葉でふたたび毛細血管になる。
 4.視床下部で毛細血管になった血管が前葉でふたたび毛細血管になる。

【答え】4

下垂体門脈は視床下部ホルモンを下垂体前葉に運ぶ

<2005 柔整 22>
骨の伸長を促すホルモンはどれか。
 1.FSH
 2.ACTH
 3.LH
 4.GH

【答え】4

1.FSH:follicle stimulating hormone:卵胞刺激ホルモン
2.ACTH:adrenocorticotropic hormone:副腎皮質刺激ホルモン
 (adreno- 副腎 / cortico- 皮質 / tropic 刺激)
3.LH:luteinizing hormone:黄体形成ホルモン
4.○ GH:growth hormone:成長ホルモン

<2009 柔整 51>
下垂体前葉ホルモンが直接作用するのはどれか。
 1.膵臓
 2.松果体
 3.甲状腺
 4.副腎髄質

【答え】3

1.膵臓:血糖が直接、膵島に作用、あるいは自律神経系を介して調節
2.松果体:光刺激 → 視交叉上核 → 交感神経 → 松果体
3.甲状腺:TSH → 甲状腺ホルモン分泌促進
4.副腎髄質:交感神経節前線維 → 副腎髄質

<2011 柔整 51>
下垂体後葉で正しいのはどれか。
 1.皮質と髄質とからなる。
 2.神経内分泌系である。
 3.カテコールアミンを分泌する。
 4.腺細胞からなる。

【答え】2

1.皮質と髄質とからならない
2.○ 神経内分泌系である。
  下垂体後葉は視床下部(室傍核・視索上核)の神経細胞の軸索が延びたもの
3.オキシトシン、バソプレッシンを分泌を分泌する。
4.下垂体後葉には腺細胞(分泌細胞)はない
 (視床下部でオキシトシン、バソプレッシンが産生 → 軸索輸送 → 下垂体後葉で分泌)

<2014 柔整 49>
下垂体後葉ホルモンはどれか。
 1.成長ホルモン
 2.プロラクチン
 3.黄体形成ホルモン
 4.バゾプレッシン

【答え】4

1.成長ホルモン:下垂体前葉
2.プロラクチン:下垂体前葉
3.黄体形成ホルモン:下垂体前葉
4.○ バゾプレッシン:下垂体後葉

<2015 柔整52>
下垂体ホルモンの支配下にないのはどれか。
 1.甲状腺
 2.上皮小体
 3.副腎
 4.精巣

【答え】2

1.甲状腺:TSH → 甲状腺ホルモン分泌促進
2.上皮小体:上皮小体の細胞が血中カルシウムイオン濃度を直接感知し、パラソルモン分泌を調節
3.副腎:ACTH → 副腎皮質ホルモン分泌促進
4.精巣:FSH → 精子形成促進 / LH → テストステロン分泌促進

<2020 柔整 72>
下垂体後葉ホルモンはどれか。
 1.オキシトシン
 2.成長ホルモン
 3.副腎皮質刺激ホルモン
 4.プロラクチン

【答え】1

1.オキシトシン:下垂体後葉
2.成長ホルモン:下垂体前葉
3.副腎皮質刺激ホルモン:下垂体前葉
4.プロラクチン:下垂体前葉

<2005 理作 1>
神経内分泌を行うのはどれか。
 1.下垂体前葉
 2.下垂体後葉
 3.甲状腺
 4.副腎皮質
 5.副腎髄質

【答え】2

※ 副腎髄質は神経堤に由来し、交感神経と発生が同一ですが、副腎髄質細胞は内分泌細胞として分化したパラニューロンとして扱い、一般的なニューロンとは区別します。よって「神経内分泌」を行うものとしては、ニューロンが分泌機能を担う下垂体後葉を選択します。

<2007 理作 19>
骨成長を促進するのはどれか。2つ選べ。
 1.抗利尿ホルモン
 2.甲状腺ホルモン
 3.副腎髄質ホルモン
 4.副甲状腺ホルモン
 5.成長ホルモン

【答え】2, 5

2.甲状腺ホルモン:GHとともに骨や歯の発育を促す
5.成長ホルモン:成長期に骨端での軟骨形成促進、蛋白質合成促進により成長を促す

■ 松果体(解剖)

<2003 鍼灸 25>
松果体について誤っている記述はどれか。
 1.間脳の背面にある。
 2.神経組織よりなる。
 3.上皮細胞の集まりである。
 4.メラトニンを分泌する。

【答え】3

1.間脳の背面にある。間脳の背面/第三脳室中央の後上壁
2.神経組織よりなる。神経細胞から分化した松果体細胞と神経膠細胞よりなる
3.○ 松果体は神経細胞から分化した松果体細胞と神経膠細胞よりなる
4.メラトニンを分泌する。視交叉上核でつくられる日内リズムを液性因子として全身に作用させる

<1998 柔整 10>
脳砂が沈着する器官はどれか。
 1.下垂体
 2.松果体
 3.甲状腺
 4.上皮小体

【答え】2

松果体は 7 歳前後が最も発達がよく、年齢とともに退行性変化を示し、脳砂とよばれるカルシウムの沈着がみられるようになる。

<2010 柔整 51>
メラトニンを分泌するのはどれか。
 1.甲状腺
 2.上皮小体(副甲状腺)
 3.松果体
 4.副腎皮質

【答え】3

1.甲状腺:
 濾胞上皮細胞:サイロキシン・トリヨードサイロニン
 傍濾胞細胞:カルシトニン
2.上皮小体(副甲状腺):パラソルモン
3.松果体:メラトニンを分泌し日内リズムを調整
4.副腎皮質:
 球状帯:アルドステロン
 束状帯:コルチゾール
 網状帯:副腎アンドロゲン

夜中にメラトニンをしっかり分泌するためには、日中に陽の光を浴びることが大切。日中に光を浴びることで視交叉上核が作り出すリズムが正常化され、夜間のメラトニン分泌が促されます。
メラトニンはセロトニンを原料として作られます。

■ 甲状腺と上皮小体(解剖)

<2000 鍼灸 25>
甲状腺について誤っている記述はどれか。
 1.後面には上皮小体が付着する。
 2.甲状軟骨に包まれている。
 3.濾胞構造が発達している。
 4.サイロキシンを分泌する。

【答え】2

1.後面には上皮小体が付着する(左右2対、計4つある)
2.○ 甲状軟骨に包まれていない(甲状腺は甲状軟骨の前下面に存在)
3.濾胞構造が発達している(濾胞内はコロイドで満たされている)
4.サイロキシンを分泌する
 (サイロキシン(T4) 、 トリヨードサイロニン(T3))

<2003 鍼灸 27>
甲状腺について正しい記述はどれか。
 1.甲状軟骨の上方に位置する。
 2.前面に上皮小体がみられる。
 3.多数の濾胞がある。
 4.導管を有する。

【答え】3

1.甲状軟骨の前下面に位置する
2.後面に上皮小体がみられる
3.○ 多数の濾胞がある
4.導管を有さない

<2017 鍼灸 24>
甲状腺について正しいのはどれか。
 1.中胚葉に由来する。
 2.上甲状腺動脈は外頚動脈の枝である。
 3.下甲状腺静脈は鎖骨下静脈に流入する。
 4.傍濾胞細胞から出るホルモンは血中カルシウム濃度を上げる。

【答え】2

1.内胚葉に由来する。
 (胎生4週の始めに咽頭底の内胚葉が陥入して甲状腺の原基となる)
2.○ 上甲状腺動脈は外頚動脈の枝である
    下甲状腺動脈は鎖骨下動脈の枝、甲状頚動脈の枝
3.下甲状腺静脈は腕頭静脈に流入する
4.傍濾胞細胞から出るホルモンは血中カルシウム濃度を下げる(カルシトニン)

<2006 柔整 50>
カルシトニンを分泌するのはどれか。
 1.下垂体
 2.松果体
 3.甲状腺
 4.上皮小体

【答え】3

1.下垂体
 前葉:GH, PRL, TSH, ACTH, LH, FSH
 後葉:オキシトシン、バソプレッシン
2.松果体:メラトニン
3.○ 甲状腺
 濾胞上皮細胞:サイロキシン・トリヨードサイロニン
 傍濾胞細胞:カルシトニン
 ※ カルシトニンは甲状腺から分泌されるが、甲状腺ホルモンとはいわない
4.上皮小体:パラソルモン

<2009 柔整 50>
カルシトニンを分泌するのはどれか。
 1.下垂体前葉分泌細胞
 2.松果体細胞
 3.甲状腺傍ろ胞細胞
 4.膵島B(β)細胞

【答え】3

1.下垂体前葉分泌細胞:GH, PRL, TSH, ACTH, LH, FSH
2.松果体細胞:メラトニン
3.○ 甲状腺傍ろ胞細胞:カルシトニン
4.膵島B(β)細胞:インスリン

<2010 柔整 50>
小胞(ろ胞)を形成するのはどれか。
 1.下垂体前葉
 2.甲状腺
 3.副腎皮質
 4.膵島(ランゲルハンス島)

【答え】2

甲状腺は無数の濾胞があつまりできている。濾胞内はコロイドで満たされる。

<2021 柔整 69>
濾胞で構成されるのはどれか。
 1.下垂体
 2.甲状腺
 3.膵島
 4.副腎

【答え】2

甲状腺は無数の濾胞があつまりできている。濾胞内はコロイドで満たされる。

■ 副腎(解剖)

<1994 あマ指 26>
副腎について正しい記述はどれか。
 1.左右の腎臓の前面に位置する。
 2.髄質は皮質を囲む。
 3.皮質からはインスリンが分泌される。
 4.髄質からはアドレナリンが分泌される。

【答え】4

1.左右の腎臓の上面に位置する
 (ナポレオンの帽子のように、のっかっている)
2.皮質は髄質を囲む(皮は外、あたりまえ)
3.皮質からはアルドステロン・コルチゾール・副腎アンドロゲンが分泌される
4.○ 髄質からはアドレナリンが分泌される
 (アドレナリン・ノルアドレナリン)

<2002 あマ指 31>
副腎について正しい記述はどれか。
 1.ランゲルハンス島を有する。
 2.腎臓の内部に散在する。
 3.皮質と髄質とがある。
 4.リンパ性器官である。

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この大変な時代に医療従事者を目指す方々へ。時代は変化していますが、いつの時代でも大切なことは不変です。それは勉強を続けること。今日という日、今という時間を大切にすること。解剖学は医学の最も基礎となる学問です。

あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師をはじめ、柔道整復師、理学療法士・作業療法士や看護師、医師を目指す方々の解剖学国家試験対策のマガジ…

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