▶ 消化器系の全体像
消化器系は、口から肛門に至る消化管と消化液を分泌する消化腺(肝臓・胆嚢・膵臓)とからなります。
▶ 消化管の基本構造まとめ
■ 1. 消化管の基本構造
※ 消化管の筋層は内輪外縦が基本。例外として胃は内斜中輪外縦の3層構造です。
粘膜層は内腔を被う粘膜上皮、その下に粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下組織と続きます。粘膜下組織には粘膜下神経叢(マイスネル神経叢)があり、主に腺の分泌に関わっています。
筋層は内層が輪筋層、外層が縦筋層(内輪外縦と表現します)です。
輪筋層と縦筋層の間に、筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)があり、蠕動運動などの消化管運動に関わっています。
外側は漿膜または外膜。
漿膜は「漿液を分泌する膜」という意味で、ここでは「腹膜」のことです。つまり腹膜内臓器(胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸)や盲腸が漿膜で被われています。それ以外の十二指腸や上行結腸、下行結腸は結合組織性の外膜で被われています。
▶ 壁内神経叢(アウエルバッハ神経叢とマイスネル神経叢)
消化管壁内にある壁内神経叢を構成する神経系は腸神経系ともよばれ、外来性の交感神経や副交感神経による調節をうけますが、腸神経系自体が消化管を支配する完全な反射回路をもっているので、脳や脊髄から指令がなくとも、独立して基本的な諸機能を果たします。(自律神経を切断しても、消化管の基本的な運動は保たれる。)
※ 副交感神経(迷走神経)は節前線維が分布し、交感神経は主に節後線維が分布します。
■ 2. 口腔
※ 口唇は一般的に「くちびる」と呼ばれていますが、解剖学の定義としては口腔前庭の前全体が「口唇」と考えます(広義の口唇)。赤みをおびた「くちびる」(狭義の口唇)は「唇紅」といいます。
▶ ① 口蓋・軟口蓋
▶ ② 口峡と口蓋扁桃
・口峡:口を大きく開けた時にみえるアーチ。天井は軟口蓋 (口蓋帆) で、床は舌根。
・口峡峡部:口峡の最も狭くなる部分。前方のヒダを口蓋舌弓、後方のヒダを口蓋咽頭弓といいます。ふたつのヒダの間の凹みが扁桃窩で、口蓋扁桃が対をなして存在します。
▶ ③ 舌
▶ 舌の神経支配
舌の神経支配については、まずは味覚と味覚以外の感覚(痛い・熱いざらざらしているなど)に分けます。そして舌前2/3(舌体部)と舌後1/3(舌根部)に分けます。
▶ 舌乳頭
▶ 舌筋
※ オトガイ舌骨筋を支配する神経は舌下神経と記載がある本も多いですが、起始核は舌下神経核に由来せず、C1, C2より始まる頸神経ワナ上根に由来する線維です。(あはき教科書では頸神経ワナ支配)
▶ 舌下神経マヒ
▶ ④ 歯
歯の主体はゾウゲ質で、歯冠と歯根で被うものが違います。
▶ 歯の種類と数
<6歳児の乳歯と永久歯>
▶ 歯槽骨
▶ ⑤ 唾液腺
<耳下腺は顔面神経に貫かれます>
※ これは耳下腺を貫いているだけで、耳下腺の分泌にはなんら影響を及ぼしていません。
※ 耳下腺の支配神経は舌咽神経ですが、「耳下腺 → 舌咽神経」と丸暗記してしまうと、「耳下腺は顔面神経に貫かれる」と出てきたときに、「耳下腺 → 舌咽神経だから×」と間違えてしまいます。