【2-4(1)】循環器系 - 静脈系 解説
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【2-4 循環器系 - 静脈系】
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■1. 肺循環の静脈系
左右の肺から心臓に返る血液は、各肺門で2本ずつの肺静脈に集まります。
肺葉の数としては、左が2、右が3(左二右三)なのですが、肺静脈は左右ともに2本ずつです。そして、それぞれが左心房へと注ぎます。なので、左心房には4つの肺静脈の流入口が開いています。
「肺静脈には動脈血が流れる。」
「肺動静脈は肺の機能血管」
これはもう大丈夫ですよね。
【暗記用】肺と心臓,肺動脈と肺静脈 | 徹底的解剖学
■2. 体循環の静脈系
▶ 上大静脈と下大静脈(模式図)
まずは静脈系を模式図で確認します。
大動脈は1本ですが、大静脈は上大静脈と下大静脈の2本があります。
上大静脈のポイント
内頚静脈と鎖骨下静脈が合わさり腕頭静脈となります。つまり、左内頚静脈と左鎖骨下静脈が合わさり、左腕頭静脈ができ、右内頚静脈と右鎖骨下静脈が合わさり右腕頭静脈ができます。
そして、左右の腕頭静脈が合わさり上大静脈となります。
上大静脈は右側に寄っていますので、右腕頭静脈は短く、左腕頭静脈は長いです。
胸壁の血液、つまり肋間静脈を集めた奇静脈が上大静脈に注ぎ、その後右心房へと流入します。
また、外頚静脈は鎖骨下静脈へと注ぎます。
少し細かいようですが、予め知っておいてほしいことがあります。
外頚静脈は外頚動脈の血液を集めたものではなく、後頭部の皮静脈(後頭静脈と後耳介静脈)が合わさって出来ます。顔面静脈や顎静脈など、その他の外頚動脈由来の静脈血も内頚静脈へと注ぎます。
下大静脈のポイント
第5腰椎の高さで、左右の総腸骨静脈が合わさり、下大静脈となります。
途中、腰静脈や腎静脈などを受けながら、腹大動脈の右側を上行します。この図では、腰静脈は図示されていませんが、下大静脈へ流入するほか、上行腰静脈により奇静脈系へも連絡しています。
脾臓や消化管からの静脈血は門脈に集められ肝臓へと注ぐので、下大静脈へ流入する根(枝)は見た目にすっきりしています。
腎静脈は左右ともに下大静脈へ注ぎますが、性腺静脈(精巣静脈・卵巣静脈)は、右性腺静脈は下大静脈に、左性腺静脈は左腎静脈に注ぎます。
そして、横隔膜の少し下で数本の肝静脈が注ぎ、横隔膜の大静脈孔を通過して、胸腔へと入り右心房へと注ぎます。
【暗記用】上大静脈・下大静脈の模式図 | 徹底的解剖学
▶ 深静脈は伴行静脈として動脈と並んで走行する
一般的に身体の深部を走行する静脈は動脈と並んで走行します。これを伴行静脈といいます。
静脈の血圧は低いので血液が流れる力は弱いです。
動脈と寄り添って走行することにより、動脈の拍動により押され、静脈還流が促進されます。静脈にはところどころに静脈弁が存在するので、血液は一方向へと流れていきます。
骨格筋の収縮も静脈還流を促進させます。これを筋ポンプといいます。
このあたりのことは、循環器系の一番始めにお話しました。
動脈と静脈は一般的に一緒に走行しているので、基本的に動脈がわかれば静脈も推測できます。
この「静脈系」では、主に動脈とは違った走行をしている「静脈に特有の走行」についてみていきます。
▶ 静脈に特有な走行 ① 大動脈は1本だが大静脈は2本
さきほどは模式図でしたが、こちらは詳細なイラストです。
内頚静脈と鎖骨下静脈が合わさり腕頭静脈となります。
この図では、右腕頭静脈より左腕頭静脈のほうが長いことを確認してください。左腕頭静脈のほうが約3倍長いです。
肋間静脈を集める奇静脈が上大静脈に注いでいる様子も確認できます。
下大静脈をみてみます。
第5腰椎の高さで、左右の総腸骨静脈が合わさり、下大静脈となります。
ちなみに、腹大動脈が左右の総腸骨動脈に分かれる高さは1腰椎上、つまり第4腰椎の高さです。
腰静脈は下大静脈へ注ぐ他、上行腰静脈により上下が連絡し、奇静脈系へと連絡しています。奇静脈系が上行腰静脈を介して上大静脈と下大静脈を連絡する側副循環路となっている様子が確認できます。
この図では、右性腺静脈が下大静脈に流入している様子は確認できません。左腎静脈には左性腺静脈と左下横隔静脈が流入している様子がわかります。
また、この図では下大静脈が腎静脈のすぐ上で切断されているので、肝静脈は図示されていません。
【暗記用】上大静脈・下大静脈の全体像 | 徹底的解剖学
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