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文学賞の結果が出ました [後編]

起業家という道を経て、今は二作目の出版を目指している橋本なずなです。

そんな過程を経て書き上げた、原稿用紙123ページの作品。
テーマは【 母の死 】だ。

( ゴクリ… )

静かな廊下に響いた、唾を飲み込む大きな音。
私は心を落ち着かせるためにゆっくりと息を吸って、サイトを開いた。

前編はこちらから

【 最終ノミネート発表 】と書かれたページをスライドする。
一つ、二つ、三つとノミネート作品が流れて行く。

私のじゃない、私のじゃない、私のじゃない ―――——————— 


私の作品は、そこには無かった。


「 はぁー… 」

「 なるほどね。」


「 ごめんね、お母さん 」

小さな溜息は、母が拾ってくれた。


「 たっくん 」
『 ん… どう、やった…? 』

私はスマホの画面を彼のほうへ向けた。

『 ・・・なずな 』
「 うん 」

ぎゅゅゅうっと強く、優しいハグをした。

「 でもね、聞いて 」
「 今、私そんなに 悲しい とか 悔しい って感じじゃなくってね 」


文学賞、つまり “コンテスト” と呼ばれるものは、その半分が “運” の要素を孕んでいると思う。
ましてや文学という一種の芸術においては、明確な正解が存在しない。

天才と呼ばれる作家の本でも「 これが…? 」と懐疑的に思うことだってあるし、私のような何者でもなかった人間が評価を得られることもある。

コンテストでは、毎年審査員が変わると言われている。
そのため、前年度に高い評価を得た作品であっても、その時の審査員や時代的背景によっても良し悪しの定義は変わるのだ。


「 今年のノミネート作品のタイトル… なんか、見たところコミカルなものが多いんよね 」
「 これなんてほら、私の書いた作品の雰囲気とは全然違う 」

『 確かにな 』

「 私これ応募する前に、前々回の受賞作品読んでるんよ。それはユーモアもあったけど、話の内容的にはシリアスな場面も多くて 」
「 だから私の得意とする “生々しいノンフィクション” でも勝負できるかなって思ったんやけど… 今年は違ったみたい 」

『 そうかぁ・・・ 』

『 なんか腹立つな 』

「 え、そうかな? 」


「 だからこそ、面白くない? 」


私は、驚いた。
自分で言っておきながら、己の口からそんな言葉が出たことが。

私は “思い通りに行かないから、人生は面白い” みたいな考え方は嫌いだ。
人生単位で言うならば、思い通りに行ったほうが絶対良いに決まっている。

例えば、連日長蛇の列ができている、とびっきり美味しいラーメン屋さんがあったとしても、私なら並ばずに入られて程々に美味しいラーメン屋さんのほうを好むだろう。

苦労だ何だというものは、無いに越したことは無い。
あったほうが良いなんて言う奴は、ただのドМな変態だと思っている。

けれど、私は言った。
流動的な評価で左右されるものだからこそ「 面白くない? 」と。


その後、私はすぐに次の一手を打った。
夜中3時、ヘッドホンで爆音にWurtsの “NOISE” を聴きながらパソコンの文字を打つ手は弾んでいた。


「 ものを書くこと 」においても、苦労は好きじゃない。

けれど、嫌いじゃない。

好きなことの、好きじゃない部分も含めて好きでいられること。
それが、私の場合は「 ものを書くこと 」だけだから。

だからやっぱり、私にはこれしかない。作家という道しかないんだ。

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