10年前の向こう側の窓から見た景色。
コクピットの椅子に座って、たまに思う。よくここまで来られたな、と。
まだまだエアラインパイロットとしては駆け出しで、日々のオペレーションをこなすのに必死なので、あまり感傷が入り込む余地はないのだが、ふとした瞬間、たとえばその日の最後の便を終えて飛行機の外部点検をしている時や、キャプテンとフライトアテンダントが昼食を買いに出て行き、誰もいない飛行機の中で一人になった時などにふと思う。
約10年前に国内航空会社のパイロット自社養成試験全てに落ちたことが、全ての始まりだった。そ