青木美希 「なぜ日本は原発を止められないのか」

「これまで政権を握ってきた人たちの証言の共通項をまとめると、脱原発を実行するには、『既存大手電力会社の経営悪化の懸念』、『いつか再処理するつもりだった使用済み燃料の処分』、『一部の米国勢力との関係』などの問題を解決しなければならない。だから、岸田政権は変えるのは面倒だし、既得権益を維持できる、と原発推進に戻してしまった」

「会釈してきた岸田首相に、小泉氏は、『憲法改正は3分の2ないとできないから無理だ。原発ゼロは総理が決めればすぐできる。できないことを言って、できることをやらないのはおかしいじゃないか』と言った。岸田氏は、苦笑しながら『総理が決めれば・・・』と復唱していたという」

「岸田首相は衆院予算委(2023年2月28日)で、『北朝鮮による度重なるミサイルの発射など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、政府の最も重要な責務として、国民の命、平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空、これは断固として守り抜かなければなりません』と述べた。

原発はミサイルに弱くて国防を危うくし、戦時にはウクライナのように人質ならぬ物質(ものじち)になる。攻撃や事故の際には国民の命や平和な暮らしを脅かす。領土にはいまだ住めない帰還困難区域がある状態だ。領海へは放射性廃棄物を流し続ける。大きな損失だ。 大地震や大津波、火山の予測が正確にできないなか、原発を使い続ける限り、事故リスクは決してゼロにはならない。

最大の責務を放り投げることは、政府の怠慢で職務放棄だ。

首相がやればできる。やらないからできない。

この国の将来の姿を真剣に考える人物が首相になる日は来るだろうか。 それとも、次の事故を起こすのが先だろうか」

「言論の自由を守ろうと普段から訴えている報道機関で、言論規制はあってはならないことだ。

会社からの最終拒否回答を受けても、私は挫けることなく、さらに取材を重ねていった。

原発問題は、声を大きく伝えてこなかった報道機関、原子力ムラの一角だったマスコミにも重い責任がある。長く新聞社にいる一員としても、ここで声をあげることに躊躇してはならない。忘れれば、政府は再び同じ道を歩む。私たちの税金を使い、忘却させようと する大きなキャンペーンが行われている。微力でも伝え続けていくしかない」


いいなと思ったら応援しよう!