夢見がちな凡人は、どう生きようか?
マンガを読んで思う。
大事なものを守るために、ぼろぼろに傷ついても立ち上がって、信じ合う仲間と共に最後には何かを成し遂げる主人公、かっこいい。
テレビを見て思う。
非凡さと引き換えの苦しみは想像できないぐらい大きいのかもしれないけれど、自分にしかないものを磨き続けてきらきら輝くあの有名人、かっこいい。
そして、頭の中の私は思う。
マンガは結局空想だし、テレビの中の人たちは一握りの存在。
今の生活も、最高とは言えなくても結局はかなり恵まれている。
今あるものを愛そう。感謝しよう。小さな幸せを、たくさん見つけよう。
そして、心の中に潜む私は思う。
私が生涯かけて守りたい、磨き続けたい「それ」は、いつ見つかるの?
それから、今自分のまわりに転がっているものや、今携えているそんなに重くはないカバンに入っているものをひっくり返して、漁ってみる。
そうすると、その中に1つ、他よりも少しツヤがあって、色も少し私色味がかった石を見つける。そしてそれを今日から毎日磨き続ければいつの日かそれが輝き出すんじゃないかと、胸を躍らせる。
でも磨き始めてすぐ、手が止まる。
「あれ、少し私色味がかって見えたこの石って、よく見たらどこにでもたくさんある石じゃない?しかもこの種の石って、日々磨き続けるには時間も体力も足りないよ。何なら磨いたところで、やっぱりただの石ってなりそうな気がしてきた。」
そしてその石を、元のところにポイと投げやる。
少し経つと何かのきっかけでまたカバンを漁って、もしかしたら本当に輝く可能性がなくはない石を手にしては、ポイと投げやってを繰り返す。
僅かだけれど、少し長い間磨き続けられたものもあった。
けれどもやっぱり心から「それだ」とは思えなくて、磨くスピードは次第に衰えて、いつの間にか辞めてしまっている。
それでもずっと、探し続けてきた。
最近、興味深い石を見つけた。
この石は、今までとは形も色も全く違う一方で、これまで不完全ながらに磨いてきたものや、自分の中にあるものと無関係でもないように思えて、思い切って手に取ってみた。
磨き始めてみると意外なことに、今は磨くこと自体が面白いと感じられている。今までにはあまりなかった感覚だ。
もしくは、ポイと投げやることを繰り返してきたが故に、投げてしまわないようにどうすればいいかが分かってきたのかもしれない。
あるかも分からないものを、いい大人になってもずっと探し続けるのは滑稽だろう。
それでも、結果は誰にも分からない。
探し続けることで、探すこと自体の腕が上がる気もしているし、探して磨いてみる中で得てきたものは、無価値でもなかったりする。
そして、いい大人になっても未来にワクワクしていられるのは、嬉しいことだ。
夢みがちな凡人、いいじゃないか。
今は先述の石を、少しずつ磨き進めている。
この石が輝き出すのはまだまだ先になりそうだ。
磨くスピードが緩むときもある。
それでもまずは焦らずに、この石にワクワクする気持ちを忘れないように、
毎日毎日、磨き続けるんだ。
〜続〜