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PDCAもOODAも古い…⁉「使える」最新技法OBAパスとOGMAフローとは
大量のデータを使いこなし、急速に変化する市場のトレンドを先取りして常に優位な立場に立ち続ける強い組織を作るためには、意思決定のプロセスを大胆に進化させる必要があります。その代表的なアプローチが「OBAパス」と「OGMAフロー」です。これらのフレームワークは、従来のPDCAやOODAといったプロセス改善手法とは異なり、人間の力をフル活用し、変革を促進する新たな手法を提供します。
OBAパス:迅速な組織変革のプロセス
「OBAパス」は、従来のPDCAサイクルやOODAループとは異なり、迅速な意思決定を可能にする新たなアプローチです。このフレームワークは以下の三つのステップで構成されています。
Observe(観察)
OBAパスの出発点は「観察」です。余計な分析や計画を排除し、あるがままの現状を把握します。このシンプルなアプローチにより、過剰な分析や専門的偏りから解放され、市場の変化を敏感に認識することが可能になります。Believe(信念)
次に「信念」を形成する段階に入ります。ここでの「信念」とは、観察に基づく直感的な判断や結論です。従来のアプローチでは詳細な分析が求められるのに対し、OBAパスでは「信念」に基づいてスピーディに決断します。この信念は、個人やチームの経験や価値観を信頼して、即断即決を促進します。Announce(発表)
最後のステップは「発表」です。決定を実行するのではなく、その内容を広く伝えることを意味します。改善や検証のプロセスを省略し、決定事項を速やかに発表することで、組織の立ち位置を迅速に更新します。
OBAパスの特徴は、中間に「Decide」ではなく「Believe」を置くことにあります。これは、合理的な選択だけでは変革を促すことができず、変革には信念とビジョンが必要であるという考え方に基づいています。信念に基づいた意思決定が、企業の再生や変革を促進します。
従来の意思決定フレームワークでは、環境に組織をいかに適応させるかに重きを置いていました。しかし、そのような意思決定では、市場の急速の変化に追いつくことも困難です。OBAパスの考え方では、追いかける側と追いかけられる側を反転します。組織に環境を適応させ、変革のリーダーとして常に先頭で行動することができます。
このアプローチが効果を発揮するためには、OBAパスが必要な時にのみ適用される一回限りのプロセスであることが重要です。パス (path) とは出発地と目的地をつなぐ一筋の道を指し、終わりのないサイクルやループとは一線を画します。従来のように、常に組織に変革を求めることは職場を疲弊させます。そのような組織では変革が軽く扱われ、真に必要な時に適切に対応できないリスクがあります。OBAパスを採用する組織では、変革に適した時期を見極めるために、普段は余裕を持って定常状態を維持することが重要です。
変革がない時期には、Observeに集中し、効率改善ではなく可能性を探求する「アソビ」を推奨します。これにより、いざという時の機動性が高まり、意思の統一もスムーズになります。
OGMAフロー:持続的な最適化を実現する手法
OGMAフローは、持続的なプロセス最適化を目指す手法です。OBAパスが迅速な変革を促す一方で、OGMAフローは安定した最適化を実現します。このフレームワークは以下の四つのステップで構成されています。
Observe(観察)
最初のステップは「観察」です。プロセスやシステムの現状を把握し、データを収集して問題点や改善の余地を特定します。システム全体を広く見渡し、着目すべきポイントを見極める能力が求められます。Generalize(一般化)
次に、観察結果を一般化し、本質的なメカニズムを特定します。問題の根本原因を探る「なぜなぜ分析」と似ていますが、これから起こる未知の変化を捉える「汎化性能」と、対応に必要なコストのトレードオフの意識が重要です。Measure(計測)
一般化された知見をもとに、企業活動の状態を把握するための最適なパラメータを決定し、計測します。これにより、状況に応じて最適な構成が自動化される条件が整います。Automate(自動化)
最後に、観察・一般化・計測の結果をもとに、自動化された調整メカニズムを構築・改良します。意思決定を行わなくとも、環境の変化に応じてシステムが有機的に適応し、最適化されるようにします。
OGMAフローは、システムの複雑化を避けつつ、継続的な監視と緩やかなパフォーマンスのトレンドを感知し、必要に応じてパラメータを調整します。PDCAサイクルでは、次々と生じる新たな事態に振り回され、現場が疲弊するという問題がありました。さらに、PDCAを回すごとにシステムや業務フローが複雑化し、パフォーマンスが低下するという問題があります。OGMAフローでは、一般化と自動化を指向しているため、安定した最適化が実現します。
具体例: Apple による iPhone のデザイン思想とマーケティング
OBAパスの概念は、AppleやMetaのような、現代的大企業が実践している意思決定の手法やアプローチそのものといえます。
観察(Observe)
Appleは、ユーザー体験や市場トレンドに関する観察を重視しています。新製品やサービスの開発において、ユーザーのフィードバックや市場の動向を深く分析し、直感的に製品の方向性を決定します。市場だけでなく、開発中の試作品も入念にあるがままを観察し、フィーリングや使い勝手の問題を徹底的に洗い出しました。
信念(Believe)
Appleの製品開発においては、創業者であるスティーブ・ジョブズの「デザインは重要である」という信念や、ユーザー体験を最優先するという企業文化が色濃く反映されています。この信念に基づき、以前は存在していなかったスマートフォンという市場を作り出す決意を行い、初代iPhoneではキーボードを搭載しないという大胆なデザイン選択を行いました。
発表(Announce)
iPhoneの発表時には、「このデバイスがどのように個人の生活を変えるか」というテーマが強調され、スマートフォンが社会のあり方を根本的に変化させるという信念を効果的に伝達しました。Appleの製品発表イベントは、用意された原稿を読み上げるような発表とは正反対であり、事実よりも信念を伝えることを徹底しています。
おわりに
「OBAパス」と「OGMAフロー」は、それぞれが補完的な役割を果たし、現代ビジネス環境において効率と変革を両立させる強力な意思決定フレームワークです。OBAパスが迅速な意思決定と変革を促進する一方で、OGMAフローは持続的な最適化を実現します。この名称自体は私が新しく発明したばかりのものですが、先端企業ではすでに大いに実践され、目指されている考え方です。これらのアプローチを組み合わせることで、企業は変化に適応し、競争力を維持しながら成長を遂げることができるでしょう。