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いもうと
わたしはまいちゃんを自分の子供のように育て、まいちゃんも姉のわたしを母親のように慕った。業間休みには1年2組まで会いに行き、放課後はわたしとわたしの友達とまいちゃんで遊び、夜は髪の毛の洗い方を教えて、交換日記では秘密を書きあった。
一度だけまいちゃんをひっぱたいたことがあった。初めて買ってもらった自分だけの観葉植物、大切に育てれば花が咲くよって言われて毎日成長を楽しみにしていた。ツルが伸びて少し邪魔になるくらい垂れた頃、まいちゃんが根元の方からはさみでちょんぎった。
「ゆりのはっぱ長くなってたから切ってあげた!」
と言うまいちゃんの頭を、バシンと一発やった。まいちゃんは大声で喚きおばあちゃんに泣きついて、わたしは手がジンジンした。目に入れても痛くないまいちゃんを泣かせて、大好きなおばあちゃんに怒られて、いつか咲いたかもしれない花は見られなくなった。
今はもう何ともなくなって、妹はわたしの葉っぱを切らないし祖母もわたしを怒らない。葉っぱはわたしの思うまま伸びて、今度は花を咲かすかも。
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