見出し画像

どことも繋がっていない子。

文科省の出す不登校対策はかなり名案なんだけど、現場に届くのにあと何年かかるんだろ?

令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に
関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について、文科省の通知の中に盛り込んである不登校対策、支援は、非常に内容の濃い、とても良いものですが、現場にはこれがあまり届いていないのが現状。

・教育支援センターの整備
・校内教育支援セ ンター未設置校への設置促進
・ICT 環境整備
・教育支援センターのアウトリーチ機能など、総合的拠点機能の 強化
・アプリ等による「心の健康観察」で早期発見・早期支援
・情報発信の強化
・地域の相談支援機関等に関する情報の文部科学省 HP での一括発信
・学びの多様化学校設置経験者を自治体に派遣し相談・助言
・1人1台端末を活用した、子供の SOS 相談窓口の集約・周知
・いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂
・こども家庭庁とも連携し、 各自治体等の取組状況の調査を踏まえた国から各自治体等へ指導助言
・第三者性の確保の観点から委員の人選に関す る助言等を行う「いじめ調査アドバイザー」の活用
・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワー カーの配置充実
・COCOLO プランに基づく対策の継続 実施
・学校いじめ対策組織にスクールカウンセラー、スクー ルソーシャルワーカー、スクールロイヤー、スクールサポーター等の外部専門家を加え ることで組織的に対応する
・安心して学べる学校づくりを推進
・重大事態として把握する 以前にはいじめとして認知していなかった比率が約4割に上ることから、重大事態の発生の要因分析に努めるとともに、いじめ防止対策推進法の定義に基づくいじめの認知及 び早期発見、組織的対応を徹底すること等の対策
・個々の不登校児童 生徒の状況を適切に把握し、多様な支援の実施を推進
・教育機会確保法の基本的な考え方が学校の教職員等に十分に伝わっていない現状を踏まえ、国において作成した教育機会確保法の理念についてまとめたパンフレット等を活用
・保護者への情報提供方法を工夫する
・不登校というだけで問題行動であると受 け取られないような配慮
・支援に当たっては、不登校児童生徒や保護者 の意思を十分に尊重しつつ行う必要があることなど、法の正しい理解の促進に努め、そ の取組の促進を図る
・自殺者数については警察等の関係機関と連 携し、正確な実態を把握
・「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」に基づいた 遺族への説明を徹底

https://www.mext.go.jp/content/20231017-mxt_jidou02-000032315_a.pdf
5 初児生第 1 9 号 令和5年10月17日
令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に
関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について(通知)
の中からピックアップ

何なら私が先生方を集めて、これらにどういう意味があるのか、深いところを説明したいくらいです。

ただ、不登校の親から語られることに抵抗感があったり、先生はあくまで教える立場、親はそれを受ける立場、みたいな関係性が無意識にある先生は少なくないのかもしれない。そこが上手く伝わらない原因だったりする訳で・・・

不登校になったら第三の居場所へ・・・は安易な考え

「学校がだめならフリースクールがあるじゃない」
って、
「パンがないならお菓子を食べたらいいじゃない」
って言われてるのと同じこと。

こっちは子どもの命がかかっている状況なんですけど。

「学校に行けないなら、フリースクール」は最初にみんなが思うことだけど、現実はそういうことではないんですよね。

どこにも繋がっていない子が教育会議で話題にされにくい訳

第三の居場所作り、それをしばらくやってみて、どうだったんだろう?
子どもが安心できる優しい場所を新たに作って、不登校者数は減りましたか?

第三の居場所を作ってみた。
そして成果も出てる。
(と信じたい)

そう、誰もが最初に思いつくことをやって、それで成果が出ていると思いたいから、会議ではその成果(学校復帰者数)を発表し、拍手が出る。
「やっぱりそうか、学校復帰した子に何が良かったかを聞いて、次に繋げて行こう」
なんて話してる会議、何なの?
私ならそう思う訳です。

繋がれない子はどうしてあげようもないと思っておられるのか、考えてもなかったのか・・・
東近江市長に近い感覚で会議が行われているのが、多くの自治体の現実です。

あとね、繋がることが前提のマニュアルばかり。
これが出来たら苦労しない訳ですよ。

え?
出来ないのは自己責任ですか?
なら、繋がると苦しくなるので繋がりたくなくなります。

え?
そんなのワガママですか?

そんな風にした親の責任、という価値観は根底にあるのかな。

私、人と関わろうとしないダメ親認定された感があったものな・・・
(色々言ってヤバい親認定された感も)


最近「繋がっていない子」が認識され始めたのはいいんだけど・・・

広島県教育委員会教育長の平川理恵さんがFacebookに【不登校の本当の問題】と題しての投稿がありました。

一番の問題は、「どことも繋がっていない子どもたち」がいること
学校にも、フリースクールにも、サードプレイスなどの居場所にも、どこにも繋がっていない子どもが一番不利益を被ると考えます。
子供は親を選べません。仮にホームスクーリングということで、保護者が大変しっかり自ら教育する方で学力の保証はできたとしても、親の価値観と同等の人間関係しか目の当たりにすることはできないということは世の中にいる「自分とは価値観が違う人」とは出会う機会がなかなかありません。世の中、様々な人がいるわけで、学校はある種「小さな社会」ですからミニ社会が経験できるのです。
ちなみに広島県教育委員会が昨年度創った県公立のフリースクールSchool Sには現在200人もの子どもたちが登録し、リアル・オンラインで学習しています。
この子達は学籍のある地元の学校には出席していないという理由で文部科学省の不登校調査には「不登校」扱いです。(学校では「出席扱い」であっても。ちなみに広島県公立高校の内申書は出欠欄を削除しましたのであまり出席扱いかどうか皆気にしなくなりました)
カウントの仕方は、これまでやってきたものにしていかないとデータとして成り立たないので仕方ないと思いますが、公私立のフリースクール等と繋がっている子たちは行政の支援や半ば手弁当で居場所を作ってくださっている心ある大人の支援が入っているものの、そうでない子たちが一番心配で一番問題だと思います。

平川理恵さんのFacebookより

この方、公教育に新しい風を吹かせてくださっていることは素晴らしいと思いますが、不登校のことは流石のこの方でも、ちょっと認識不足かな・・・と思ってしまう内容でした。

一番の問題は、「どことも繋がっていない子どもたち」がいること

・・・この問題提起のところは良かったんですが、
その次、

「どことも繋がっていない子どもたち」は親の価値観と同等の人間関係しか目の当たりにできない

「繋がっている子どもたち」には心ある大人の支援が入っているものの、そうでない子たちが一番心配で一番問題だと思います。

「どことも繋がっていない子どもたち」について書いてあることは
つまり・・・

どこかと繋がらないとヤバいよ

という一言だけですよね・・・

なんか・・・
繋がれなくてすいません・・・

何故繋がれないかというと、繋がると余計に辛くなるから

ということで、
繋がれ繋がれ言われてる有様なんですね。

最初は繋がろうとしたんですよ。
でもね、繋がったら辛くなったんです。

これいかに。

それが何故かをまず聞いてみて欲しい。
繋がることをやめた理由を。

心ある大人の支援?
それを得られる環境に連れていけない親のせい?

繋がりづらいのは、そういうとこですよ。

では具体的に、「繋がってない子」のために必要な対策

冒頭の文科省の提案の中から、繋がってない子のために必要な対策だけをピックアップしてみました。
(冒頭と大して変わってないように見えるでしょうけど)

・ICT 環境整備
・教育支援センターのアウトリーチ機能など、総合的拠点機能の 強化
・アプリ等による「心の健康観察」で早期発見・早期支援
・情報発信の強化
・地域の相談支援機関等に関する情報の文部科学省 HP での一括発信
・1人1台端末を活用した、子供の SOS 相談窓口の集約・周知
・いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂
・こども家庭庁とも連携し、 各自治体等の取組状況の調査を踏まえた国から各自治体等へ指導助言
・第三者性の確保の観点から委員の人選に関す る助言等を行う「いじめ調査アドバイザー」の活用
・COCOLO プランに基づく対策の継続 実施
・学校いじめ対策組織にスクールカウンセラー、スクー ルソーシャルワーカー、スクールロイヤー、スクールサポーター等の外部専門家を加え ることで組織的に対応する
・安心して学べる学校づくりを推進
・重大事態として把握する 以前にはいじめとして認知していなかった比率が約4割に上ることから、重大事態の発生の要因分析に努めるとともに、いじめ防止対策推進法の定義に基づくいじめの認知及 び早期発見、組織的対応を徹底すること等の対策
・個々の不登校児童 生徒の状況を適切に把握し、多様な支援の実施を推進
・教育機会確保法の基本的な考え方が学校の教職員等に十分に伝わっていない現状を踏まえ、国において作成した教育機会確保法の理念についてまとめたパンフレット等を活用
・保護者への情報提供方法を工夫する
・不登校というだけで問題行動であると受け取られないような配慮
・支援に当たっては、不登校児童生徒や保護者 の意思を十分に尊重しつつ行う必要があることなど、法の正しい理解の促進に努め、そ の取組の促進を図る
・自殺者数については警察等の関係機関と連 携し、正確な実態を把握
・「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」に基づいた 遺族への説明を徹底

文科省は上手くまとめて、大事なポイントが分かってらっしゃる。

でも現場ではできない。
中身の理解が進まない。
読解力が無いみたいに。
先生が忙しすぎるから?

文科省の言っていることが理解出来たら、先生の安心安全にもつながると思うんです。
先生の安心安全が守られないと子どもの安心安全は守られません。

これらをするために、人やお金が必要かもしれませんが、中身を理解しないまま進めても子どもも親も先生も、誰の得にもなりません。
学校と行政が、この中身を理解することが今一番必要なんです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?